表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄幸ポジションだけど幽閉ルートは断固拒否します  作者: つぶあん
シャポーの家は問題がいっぱい
18/81

番外編:ご飯を食べよう

「うわっ蜘蛛の巣!」

「だからお嬢様は休んでいてください!」

「何言ってるの、2人じゃ何も進まないじゃない」

私、メアリ、リリーの3人は出来る所から、まずは入り口と広間までの廊下を今日中に綺麗にすると決めた。選んだ理由は、絶対通る部分で、かつ動かすものも少なくて済みそうだから。

リリーが「まずは上からやって行きましょう」と指示をしてくれたので、壁に着いた燭台の煤を払うことから始めている。台に乗ってはたきがけをしたり、布で拭いたり、それからブラシのようなものでカーペットを梳かして・・・。

これは3人、しかも女2人と子ども1人では地獄のようだ。


ようやく一区切り着いた所で、トムが戻って来た。

「スチュワードさんは少しかかるそうだけど、アンナさんは明日にも来るってさ!」

トムはそう言って帽子を脱いだ。そして天井を向いて一言。

「ーー凄い明るくなったじゃん!」

その感想でこれまでの苦労が救われた気持ちになる。

「トム、アンナさんすぐ来れるって言うけど、どこにいらっしゃるの」

「この近所の自宅で暇してたらしいよ」

「お嬢様〜、メアリさ〜ん。ーーあ、トムも帰ってた〜。御夕食の準備ができたので、そろそろ大広間にお越し下さい〜」

少し前に食事の準備をすると言って台所に行っていたリリーからそう呼びかけられる。

「お嬢様、まずはシャワーとお召し替えをして下さい。私達は夕食の準備を致しますので」

「そうね。でも自分でやるからメアリは自分のシャワーと着替えをして、大広間に行けば良いんでしょう?トムも手を洗ってから来てね」

私のその言葉に二人は顔を見合わせていた。

「お嬢様、まさかとは思いますが『皆で』食べるとお思いですか」

「違うの!?」

「何処の世界に主人と一緒に食事をとる使用人がおりますか!」

メアリの叫び声が館に響くが、そこは譲らない。

「だって皆で食べた方が美味しいじゃない」

しょぼんとしてそう言うと、メアリは言葉をつまらせている。その姿をみてチャンスだと思い付け加えた。

「独りで食べるのは寂しいし・・・」

そう言うと、メアリは大きくため息をついた。そしてその姿を見ていたトムが「いいじゃん。お嬢様のご希望なんだから」とあっけらかんと言って皆で食事をする事となった。



そうと決まって、では30分後に大広間に集まる事となった。しかし私のお風呂は1人ではダメだと言われ、少し部屋で待たされた後、私は浴室に連れて行かれた。

お風呂くらい1人で入れると思うけど、貴族って面倒だ。


お湯を貼った浴槽に浸かり、じゃぶじゃぶと洗われていく。

目に入らないように丁寧に洗われて、とても気持ちがいいと上機嫌の中、浴室に蛇口とシャワーがあるのが目に入った。

そう言えば、王宮には蛇口もシャワーもあって(王宮の侍女さん達に洗われながら)普通に入浴していたが、今日お風呂に入る際にはメアリがお湯の準備をし、こうして洗ってくれている。多分、今頭に乗っている泡は、横に置かれている水差しを使って泡を流されるのだろう。

この家にはシャワーがないのかと思っていたが、あるじゃん。

「ねえ、メアリ。何故シャワーを使わないの?」

すぐさま聞いてみると、メアリは変な顔をした。

ただの飾りか、はたまた壊れているのだろうか。

「あれは使いものにならないんです。お嬢様触っちゃダメですよ」

「えー?だって使った方がメアリも楽じゃない」

止めるのを聞かず、浴槽から飛び出て裸のままでそこまで行って蛇口を捻ると・・・・

「キャーーーっ!!!」

弱々しい水量の濁った水と、そして虫が出て来たのである。

「だから触っちゃいけないと言ったじゃないですか!!」

「むっ虫がぁぁ」


私はげっそりとした顔で夕食の席に着き、リリーとトムが気まずそうにしている中で美味しいスープと黒いパンを食べた。

味は問題なかったが、無駄に細かい部分を歴史に忠実に作っているゲーム制作会社を呪いつつ、この家の上下水道の修繕を庭よりも先にする事を考えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ