表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

さまざまな短編集

とある整備の苦悩

作者: にゃのです☆

 戦車の大敵と言ったら何だろう?

 航空機? 所有の戦車で勝てない敵の戦車? 地雷? どれも違う。

 一番の大敵は“故障”だ。

 戦車は重い。とにかく重い。

 車体を支える転輪、駆動輪、履帯、シャフト、エンジンなどの駆動系統に負担がかかる。

 これらの故障で後方送りとなっている車輌は数知れず。

 今日も一輌。後方に送られてきた。


「げッ……まさかのこいつかよ……」

「ヒル。諦めよう。こいつは修理なんてレベルじゃない」

「ガランド……とりあえず、故障報告書をくれ。ここに来た以上やらなきゃいかん」

「まぁ、そうなるな。ほれ」


 報告書を確認する。

 車輌はエレファント重駆逐戦車。エンジン部分の火災、湿地帯で動けなくなり牽引車で引き揚げ時に火災発生しエンジン部分焼失。牽引車二台も牽引時にシャフトが折れる、オーバーヒートしたため修理へ回す。

 というもの。

 この戦車はモーターを使用したハイブリッド車だが、過大な重量で負担がかかりやすい。

 しかし、欠陥というわけではない。 

 むしろ、好評ということも聞いたことがある。

 だが、一度火災を起こしてしまうとエンジン部分はすべて取り換えねばならない。

 そのためには、エンジン部分の天板を外して、邪魔な砲身も取り外してしまわなければならない。

 で、一気に引き抜く。

 二基のエンジンを載せているが、どうしても砲身は取ってしまわなければならない。

 理由は寿命だから。

 撃ちすぎなのと、エンジンの火災による焼けである。

 牽引車に関してはまだ楽。

 そっちの二台は別な班がもう持って行ってしまっているから、自然にこいつの修理が回ってきたのだ。


「わかった。やるしかないだろ」

「だな。人とモノを取ってくるよ」

「わかった。少しでも作業を続けとく」


 こうして修理を開始。

 その直後、大型牽引車に引かれて来た戦車が一輌。


「げッ……ティーゲル」

「すまん! 地雷踏んで転輪とシャフトがイってるかもしれん」

「ああ……終わった。もっとひどいヤツが来た」


 この日の整備は終わることは無かった。

 夜遅くまでかかり、終わらず。

 次の日も続々と戦車が回収されて来た。

 戦争なんて早く終わっちまえ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ