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姫希はそんな様子を、恐怖と罪悪感に支配されながら見ていた。
何で……
本当は私がやったのに…
怒られるなが怖くてちょっと嘘ついただけなのに、すぐにバレて怒られると思ってた……
クラスメイト達も私がやったの見られていたのに、どうして?
「あ……」
何か言葉を口にしないとダメなのに、ごめんなさいって私が謝らなければダメなのに……でも、次は私がこんな風に攻められるの?
恐怖が、言葉を紡いでくれない。
ふと、姫希は双子の瞳がすがるようにこちらを見ているのに気付いた。
「っ!」
その瞬間、優越感が体の中を駆け巡った。
気分が、高揚してくる。
みんな、あの子達より私が好きなんだ。だから私をかばってあの子達を悪者にしてくれたんだ……私は、特別?
特別……?
だったら、自分が悪い事をしてもあの子達のせいにしても許される?
………でも……
でも、自分が悪い事をしたのならちゃんと謝らないとダメなんだよね?
そう、少しの罪悪感に囚われるが
あの子達のせいにしたらおかしいくらい、自分を信じてくれる。自分を悲劇のヒロインにしてくれる……
何度か同じ状況が起きた時、罪悪感は消え去り自分は何をしても許されると、間違った考えに姫希の支配されてしまった。
姫希の物を壊した、と詰め寄られている双子を悲しげに見ながら………
手で隠した口元に、ゆっくりと歪んだ愉悦に満ちた笑みを浮かべた。