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コジイン
「あれ・・・?」
「ここどこ・・・?」
昔から、僕は孤独だった。親も兄弟もいなくて、「コジイン」というところで育ってきた。だから外に出ると、楽しそうにしている家族の姿が羨ましかった。「僕もあんな家族が欲しい。兄弟だけでもいいから」そう思っていた。
だから僕には「コジイン」に入ってから数年後、多分5、6歳の頃からある友達がいた。
それは、僕に似ている。とても似ている、つまり双子のようだ。よく一緒に遊んだりお話ししたりした。でもその子は本当にいる訳ではない。その子は僕が作ったつまり「カクウノキョウダイ」である。僕はいつもその子の姿をスケッチブックに描いていた。お絵描きはいつもその子である。その子は僕そっくりに描いた。だって僕だけの、僕しか知らない兄弟だから。そして暫くするとその子の名前も決めた。「その子」という他所の子みたいな感じで呼ぶのは可哀想だから僕に似た名前をつけた。だって兄弟だから。僕が「紅寿」だからその子は「白寿」。