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私からの忠告(巡査・頭山怛朗の活躍 外伝)

作者: 頭山怚朗
掲載日:2016/03/05

 私が家から出ようと玄関ドアを開けると目の前に宅急便の配達員が立っていた。正直、私はぎょっとした。

「頭山怛朗さんですね? 」と、配達員。

「あぁ」と、私。

「すみません。さっき電話した時出られなかったのですけれど、ひょっとすると思いまして」

 そう言えば、電話が鳴っていたことを思い出した。

「よかった……。いいですか、お届け物です! 」と、配達員。

「あぁ」と、私は曖昧に答えた。

 “生もの メロン”と配達員が持つ箱に書かれていた。

「あぁ」と、私は再び曖昧に答えた。

 配達員はメロンの箱を渡し、サインをするように促した。

「お、お金は…… 」と、私は言った。

「えっ? クレジットか何かで支払済みだと思いますけれど……。受け取りのサインだけいただければ結構ですけれど…… 」 配達員は怪訝そうに私の顔を見た。人付き合いの苦手な私は思わず視線を逸らした。

 私は箱に書かれた<あて先>の名前を見ながらサインした。


 キッチンのカウンターの上にそれを置いた。“生もの メロン”の他に“なるべく早くお食べください”とも書かれていた。実は、私、メロンが何より好きだ。食べたくなった。クール便で送られてきたので、美味い具合に冷えていた。私は我慢できなくなった。幸いなことに包丁は簡単に見つかった。


 メロン一個、食べ終え窓から外を覗くと家の前の道路で中年の女が二人立ち話をしていた。

 人付き合いの苦手な私は女達が消えるのを待ってから家を出ることにした。

 ソファーに腰掛けているうちに少し眠くなった。立ち上がり窓から外を見ると、先の女達はまだ話をしていた。仕様がないので再びソファーに腰掛けた。メロンでお腹が膨らみ、部屋の中は丁度言い具合に暖かだった。眠気が私を襲った。私は、つい、目を閉じた。


 玄関が開く音で私は目覚めた。部屋の中は薄暗くなっていた。

 私は寝込んでしまったようだ。

 男が部屋の中に入ってきた。開口一番、男は言った。「お前、誰だ? 」

“あぁ、この男が本物の頭山怛朗だな”と、私は思った。

 それから“この男、バナナマンの日村に似ている”とも思った。

“この男なんら勝てる! ”とも……。

 私はたまたまそこにあったバットで住人の男に殴りかかった。ただ、振り下ろしたバットを相手のバナナマン日村は難なくよけ、逆に私は足をすくわれ倒され、そのまま捕まってしまった。

 

 ここで何のことやら分からない読者のために少し説明しよう。

 私は空き巣に入り、家から出ようとしたところを宅急便の配達員に止められ、メロンを受け取り勝手にそれを食べ、食べ終わるとはさっきにはいなかった家の前の道路に人がいるので出られなくなり、ソファーの腰掛けているうちに寝込み、挙句、帰ってきた住人の“バナナマンの日村似”の巡査に“現行犯”として手錠をかけられ逮捕されたのだ!


「何で逮捕されたのか理解できない」と供述したけれど、誰も、弁護士すら相手にしてくれなかった。

 私は今回のトラブルの他にも幾つか窃盗に関わっている、中には帰宅した住人と鉢合わせし半殺しにしたこともあったので、今、四方を高い壁で囲まれた建物の中にいる。当分、ここから出られない。

 それで、これから空き巣に入ろうと計画している人(そんな人、少ないかも知れない?! ひょっとすると一人もいないかも知れないけれど)に幾つか忠告したい。

 一、空き巣に入るのなら警官宅は止めた方がいい!

 二、空き巣に入ったらメロンなんか食べてないでさっさと逃走すべし!

 三、人は外観で判断してはいけない!


ヤフーブログに再投稿予定です。

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