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1つめの方法

彼女を笑わせることができる人を、僕はまだ知らない。

まして、そんな人があらわれないことなんて、知るよしもない。

彼女と出会ってからの6年間、僕は彼女の笑ったところを見たことがない。

そして7年めの大学生活が半年以上も過ぎ去った秋、いまだに彼女は笑わない。

そこで僕は考えた。

彼女を笑わせるための方法を。


1つめ


彼女は笑顔にはなる。

ただ、バカみたいに笑ったりしなければ、クスリともしないのだ。

それどころか、彼女は苦笑いすらしないのだ。

どうしたら笑ってくれるだろうか。

最初はまず、面白いものを見せてみよう。

そのためには、彼女との交遊を深めよう。

そう考え、ノートにまとめると、授業が終わっていたことに気付く。

昼、一人で歩いている彼女を見つけた。

「あの、ちょっといいですか?」

後ろ姿の彼女に声をかけると、上半身だけをひねって僕の方を見る。

「なにか?」

このときの彼女も笑顔だ。

「いや、ちょっと見てほしい動画があるんだけど、面白いか面白くないか教えてくれない?」

「はぁ、いいですよ。」

そう言って僕の用意していたケータイ端末に彼女が目を落とすのを確認してから、僕は再生ボタンを押した。

数十秒間があり、僕的にはこれを見たら深夜ずっと笑っていられる動画を見終わると、彼女は極めていつもの笑顔でいった。

「おもしろかったです。ありがとうございました。」

「あぁ、いえ、こちらこそ。あの。」

「はい?」

「もしよろしかったら、僕と連絡先交換しませんか?」

そこで僕は初めて見た。彼女の、6年間以上の思いが詰まっている笑顔を。

「いいですよ。」

「本当に?だって僕周りから見ると変人ですよ?」

「だってあなたは変人じゃないでしょ?」

「そうですけど。」

「なら、いいですよ。」


一つめ方法、「連絡先を交換する」

僕はそれをノートに写しながらケータイをずっと見つめていた。


恋というのは難しいものですね。

降られた経験しかない私ですが、これからも読んでいただいたのであれば有難うございます。

たまたま読んでくださったかたも有難うございます。

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