一人ぼっちのワニ
スランプを直すためにリハビリ?中にできた作品。
何故海なのにワニかというと亀とかだと普通過ぎてつまらないかと思ったので……
一応、小さい子でも読めるような絵本っぽく書きました。そのせいで変な部分があるやもです。
では、初童話どうぞ!
ある日、一匹の小さなワニがいた。
海にプカプカ、小さなワニが一匹。
沢山の生き物がいるはずの海には、ほんの少しの海草と小魚だけ。
周りには島すらない。
話しかけても海草と小魚は答えてくれない。
大きな海で小さなワニは一人ぼっち。
海草も小魚もみんな食べてしまってワニのお腹の中。
海にはなんにもいない。
寂しいワニは旅に出た。
世界はとっても広いもの。きっと何処かに誰かがいる。
そう思って旅に出た。
何日も、何日も。
行けども行けども誰もいない。
どこを見ても島はない。
あるのは海と青空だけ。
青い青い世界だけ。
プカプカ、ワニは旅をする。
何年も、何年も。
どんどんワニは大きくなった。
しかし周りは誰もいない。
それでもワニは旅を続けた。
何十年も、何十年も。
ワニはとっても大きくなった。
寂しい心も大きくなった。
ワニはお話したかった。
ワニは喋る練習をした。
誰かに会えたらお話できるように。
今日もワニは旅をする。
喋る練習をしながら、旅をする。
何百年も、何百年も。
ワニはとってもとっても大きくなった。
けれども涙は枯れちゃった。
それでも、寂しさ残ってる。
心にずっと残ってる。
海には海草も小魚もなくなった。
お腹はいつしか鳴らなくなった。
海には何にもいない。
空にも何にもいない。
それでもワニは旅をした。
何千年も、何千年も。
ワニには、自分の大きさ、分からない。
とっても大きくて振り向けないから、体が見えない。
けれども、動けば大波できた。
これでは誰かに会っても波に流されてしまう……
そう思ったワニは、動けなかった。
もうワニには、旅ができなくなった。
しかしここには、何にもない。
ワニはここでじっと待つ。
誰かが来るのをじっと待つ。
どれだけ待ったか、分からない。
何時しか、波の音も聞こえなくなった。
水の冷たさも分からなくなった。
海の匂いもしない。
だんだん眠たくなってくる。
目が開かなくなったワニは真っ暗闇にひとりっきり。
ワニの心には何にもない。
寂しくて悲しくて、心はいつの間にか空っぽだった。
ワニにはもう、なんにもない。
大きな空と海さえない。
なんにもない。
いつしかワニは眠っていた。
深く深く、眠っていた。
もう二度と、目覚めない。
それから何日も、何年も、何十年も、何百年も、何千年も経った。
けれどもワニは、動かない。
ずっとずっと眠ったまま。
けれども周りは賑やかだった。
世界に生き物あふれてた。
ワニの背中にあふれてた。
ワニの体はおっきな地面になっていた。
みんながそこで生きていた。
それでもワニは、気付かなかった。
近くにいるのに気付けなかった。
ワニはいつも一人ぼっち。
ずーっと何にも気付かない。
だからワニはずーっと一人ぼっち。
いつまでもいつまでも、一人ぼっち。
プカプカ、海に浮かんでる。
静かに静かに眠っている。
とても物悲しい話になってしまいました。
最初は救いのある終わり方にしようと思っていたんですけどね。バットエンドのようになってしまいました。
でも、伝えたい事は書けたとは思います。伝わるかは別ですけど。
探しているモノや大切なモノは近くにある。けれど気付かないもの。
……誰しも、気付けてない事って多いんじゃないでしょうか?
このワニさんのように、近くにあるのに気付けない。
分からないだけで結構多いと私は思います。
皆さんの周りには何がありますか?
皆さんの目には何が映りますか?
ワニさんが見えなかったもの、皆さんは見つけられると良いですね。
当たり前は当たり前でなかったりするかもしれない。気付かなきゃいけないことはそこら中に散らばっているのかも。
うーん、書きたい事が分からなくなってきたのでこの辺にしておきます。
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