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君と私の桜影  作者: 崎川由依可
5/8

第1章 3話 ~Suzune Part~

「ぅあっえっえっとぉ~!!」

急いで体勢を立て直しぶつかった男子生徒に頭を下げる

「すいませんでしたッッ!」

「え゛?いや、そこまでいわなくても大丈夫

何だけど…。」

「お兄ちゃん!!!!」

春奈が声を上げた。

楓と私はポカンと固まる。

「え…春奈、お兄ちゃんいたの…?」

私も顔を上げてぶつかった人と春奈を見比べる。

「確かに…似てる?」

「春奈、友達?」

「うん。お兄ちゃんの同級生だよ。

クラスは違うと思うけど…」

すると男子生徒はこっちを向いて言った。

「夜島雫。14R。

妹がお世話になっていたみたいで…」

「あっいえ、こちらこそ…私は糸松です。12Rの」

「ちょーっす、五月楓でーす!!!!」

自己紹介を終え皆揃そろって黙りこむ。

すると雫さんが口を開いた。

「糸松って、糸松凉音?」

「うぇっ!?」

急に話を振られて間の抜けた声を出してしまった。

「まぁ、はい。凉音ですけど…

何でご存知何ですか?」

「ぷっ」

「え゛!?」

雫さんが吹き出した。

『やばいやばい何か私言ったけ失礼なこと

え゛えええそんな急に吹きだえ゛えええ!?!?」

「あ、あの…何か変な事でも私言いました…?」

「いや……くくっ……有名だからさ……っ」

「有名?凉音が?」

「凉姉ってそんなにすごいの?」

「いやいやいやないって!! 」

女子3人でコソコソ話していると雫さんが、

「美人なのに堅苦かたくるしいからっ…ははっ…『残念美女』だって…ははは!!」

……え?

「ざっざんねん!?」

「ひゃははははははは!!!!!!!!

すっ凉音っ“残念”ってぇぇ!!!!!!!!!!」

「くっ…凉姉…ふふっ…」

『う゛ぅ゛~…!!!!!!!!』

何かすッッッッごい恥ずかしいぃぃぃぃぃぃ…!!!!

『それにしても…』

「…ん?何?」

雫さんがボーッとしてる私に気付き声を

掛けてくれた。

「えっいえ、何でも…」

『美人とか』

……嬉しいかな。

「そっそういえば楓、何でこんなとこで

待ってたの?」

「んぁ?あぁ、そうそう!!!!

今日うちの家でおえらいさん方とパーティーするんだけど、どーも若い子いないらしくて。

友達連れてこいって言われてさ。どう?来ない?」

楓は国内でも有数のお嬢様じょうさま

一度家に遊びに行った事があるけど、もう玄関げんかんからリビングまで5分はかかった。

うちのマンションは3歩しかないと云うのに…

「行きたいけど…服が…」

春奈が心配そうに声を上げる。

確かに、えらい人がパーティーに私服は……

かと言ってドレスとか勿論もちろんないし…

「あ~そこら辺は大丈夫!!

うちに大量あるし、メイクとかもうちのメイド

超上手いから。先輩もどうですか?イケメンの

男友達、連れてきてくれてもいいですよ?」

「え、俺?あ~…」

「行こうよ、お兄ちゃん!!

楓、私達兄妹でいく!!」

「おい春奈…!!!!」

「おっけ~い!凉音は?」

「えーっとぉ…」

皆行くって言うしなぁ…。

特に用事もないし…

「…行く、かな?」

「ぅおっしぇい!!!!

じゃ、じゃ、雫先輩は誰か友達連れてきます?」

「あ~…うん。いる。」

「何人すか?」

「1、2 ……4人、うん、4人。」

「おっけ~いっす!

んじゃ、今夜7時に校門前で!!

じゃーねぇー!!!!」

楓はさっさと走って行った。

『パーティー…か』

茜色の空を見上げて、一人溜め息をついた。

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