第1章 3話 ~Suzune Part~
「ぅあっえっえっとぉ~!!」
急いで体勢を立て直しぶつかった男子生徒に頭を下げる
「すいませんでしたッッ!」
「え゛?いや、そこまでいわなくても大丈夫
何だけど…。」
「お兄ちゃん!!!!」
春奈が声を上げた。
楓と私はポカンと固まる。
「え…春奈、お兄ちゃんいたの…?」
私も顔を上げてぶつかった人と春奈を見比べる。
「確かに…似てる?」
「春奈、友達?」
「うん。お兄ちゃんの同級生だよ。
クラスは違うと思うけど…」
すると男子生徒はこっちを向いて言った。
「夜島雫。14R。
妹がお世話になっていたみたいで…」
「あっいえ、こちらこそ…私は糸松です。12Rの」
「ちょーっす、五月楓でーす!!!!」
自己紹介を終え皆揃って黙りこむ。
すると雫さんが口を開いた。
「糸松って、糸松凉音?」
「うぇっ!?」
急に話を振られて間の抜けた声を出してしまった。
「まぁ、はい。凉音ですけど…
何でご存知何ですか?」
「ぷっ」
「え゛!?」
雫さんが吹き出した。
『やばいやばい何か私言ったけ失礼なこと
え゛えええそんな急に吹きだえ゛えええ!?!?」
「あ、あの…何か変な事でも私言いました…?」
「いや……くくっ……有名だからさ……っ」
「有名?凉音が?」
「凉姉ってそんなにすごいの?」
「いやいやいやないって!! 」
女子3人でコソコソ話していると雫さんが、
「美人なのに堅苦しいからっ…ははっ…『残念美女』だって…ははは!!」
……え?
「ざっざんねん!?」
「ひゃははははははは!!!!!!!!
すっ凉音っ“残念”ってぇぇ!!!!!!!!!!」
「くっ…凉姉…ふふっ…」
『う゛ぅ゛~…!!!!!!!!』
何かすッッッッごい恥ずかしいぃぃぃぃぃぃ…!!!!
『それにしても…』
「…ん?何?」
雫さんがボーッとしてる私に気付き声を
掛けてくれた。
「えっいえ、何でも…」
『美人とか』
……嬉しいかな。
「そっそういえば楓、何でこんなとこで
待ってたの?」
「んぁ?あぁ、そうそう!!!!
今日うちの家でお偉いさん方とパーティーするんだけど、どーも若い子いないらしくて。
友達連れてこいって言われてさ。どう?来ない?」
楓は国内でも有数のお嬢様。
一度家に遊びに行った事があるけど、もう玄関からリビングまで5分はかかった。
うちのマンションは3歩しかないと云うのに…
「行きたいけど…服が…」
春奈が心配そうに声を上げる。
確かに、偉い人がパーティーに私服は……
かと言ってドレスとか勿論ないし…
「あ~そこら辺は大丈夫!!
うちに大量あるし、メイクとかもうちのメイド
超上手いから。先輩もどうですか?イケメンの
男友達、連れてきてくれてもいいですよ?」
「え、俺?あ~…」
「行こうよ、お兄ちゃん!!
楓、私達兄妹でいく!!」
「おい春奈…!!!!」
「おっけ~い!凉音は?」
「えーっとぉ…」
皆行くって言うしなぁ…。
特に用事もないし…
「…行く、かな?」
「ぅおっしぇい!!!!
じゃ、じゃ、雫先輩は誰か友達連れてきます?」
「あ~…うん。いる。」
「何人すか?」
「1、2 ……4人、うん、4人。」
「おっけ~いっす!
んじゃ、今夜7時に校門前で!!
じゃーねぇー!!!!」
楓はさっさと走って行った。
『パーティー…か』
茜色の空を見上げて、一人溜め息をついた。