第1章 2話 ~Suzune Part~
「えっ!学校サボって来てくれたの?」
友花が私が学校をサボって来たんだと勘違いをしてしまったのでどうしてここに居るのかを説明をした。
「えっ?違うよ?
今日学校がお昼までだったんだ。
で、そろそろ部活の時間になっちゃうから
学校に戻ろーかなぁーって…思ってたの。」
友花は納得したようだ。
頷いてくれたから。
私と友花は同じ部活に入っている。
ちなみに、吹奏楽部だ。
私はフルート、友花はピアノを担当している。
私と友花はまだ1年生だけど何回か発表会に出た
経験がある。
初めは凄く緊張したけれど
二人で居たらその緊張は無くなって
凄くいい演奏が出来た。
学校でもよくお弁当を食べたり、一緒に帰ったり、
お泊まり会をした。
凄く楽しい時間が続いた。
でも…
今の私は知らない。
この時間が崩れてしまうことを…
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「うわ~部活終わったぁ~…」
一人で部室を出る。
いつもなら隣に友花が居るけど、今は
病院だし…
「上手に吹けなかったし…
今日本当に散々だなぁ…」
校門から出て行こうとすると、見慣れたセミロング
の黒髪が私を呼んでいた。
「凉音ー!!」
「あれ、楓?」
「そーだよ!幼なじみの顔忘れたの!?」
「いやいや覚えてるって…」
相変わらずテンション高いなぁ…
「ねぇ。」
「ひぃ!!??」
すぐ後ろから声がした。
ビックリして思わず声を上げると、後ろの主はすぅっと前に出てきて私の顔を覗きこんだ。
「お化けじゃないよ。」
「な、なんだ春奈か…」
呟くと、少し怒ったように長い黒髪が揺れた。
前髪の下から黒い瞳が見える。
「何だとは失礼ね。」
ぷぅっと頬が膨らむ
『見た目は大人っぽいのに性格で台無しにしちゃってんだよね。春奈って…』
「どうせ今私の事を“子供っぽい”とか思ってるんでしょう?」
「え゛!?いや違うよ!?いや違わないかもだけど…」
「春奈は影薄い上に小せぇからなぁ…
の癖に見た目は大人っぽいし?
なのに性格は子供っぽいし?もう訳わかんね~!!」
ケラケラと笑う楓。
既に少し怒り気味だった春奈のオーラが
どんどん倍増していく。
「ちょ、かえで…」
ドンッ
誰かにぶつかってしまった。
自分で言うのもなんだが、若干痩せ気味の私はすぐに倒れそうになった。
『やばっ…!!』
受け身を取ろうとして手を出した。
すると…
「えっ?」
傾いたまま私の体は静止していた。
「大丈夫ですか?」
上から綺麗な声が降ってきた。
振り向く。
目を見開く。
きっと。
きっと。
この時から。
私は…
…恋に落ちたんだと思います。