第1章 幸せ、不幸せ…
“Tomka Part”
『君は幸せ?
それとも不幸せ?』
耳から聴こえない声。
脳に直接入ってくるこの声の持ち主…
誰の物かは分からない。
でも、聴いたことのある懐かしい声だった…
私は言葉に出さずに脳内で答えた。
『分からない。』
『どうして?』
またその声は私に問いかけた。
何でそんなこと聞くの?
私はなんとなく、きずいていた。
…この声の持ち主が自分だってことに
でも…分からない振替をしていた
恐かったから…
真実を否定してしまっていた。
病気の事も…
その病気がいつか悪化してしまうこと。
命に関わる重い病気だって事も全部。
でも自分は…
“今は幸せ”
と言うことが出来ると思う。
“今”は…
幸せに生きて行く事が出来る。
だって…。
『大好き』で『大切』な人と一緒にいる事が出来る
だから…。
私は答えた…
『今だけは、凄く幸せだよ。』
脳から聞こえる声がだんだん小さくなる…
『君は…』
その後の言葉は聞けず私は目を覚ました。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「…友花!!!」
私は涼音の声で目を覚ました。
涼音の顔は心配そうな表情を浮かべた。
「涼?」
「…友花。」
涼音は私を抱き締めた
そして だんだん涼音の顔に
触れている所が湿ってきた
涼音が泣いていたのだ
そして 気がついた
…此処が病院で病室だということに
「涼…。泣かないで…。」
私は涼音を強く抱き締めた
何で、病室にいるのかと疑問を抱きながら。
「友花ぁ…。無理しないで…?
少しは私に頼って…?」
涼音は潤った目を擦って
涙を拭いた。
…涼に頼る?
「どうして?」
「友花病気が悪化しちゃうよ。
今日だっていきなり倒れちゃうし…
私、友花の力に成りたい
友花の役にたちたいの!!!!」
私の力に…。
あっ…あ…れ…?
気が付くと私は涙を流していた。
「すっ…すずぅ…
大好きぃ。心配してくれてありがとう。」
私は涙を流してその言葉を口にした
「当たり前だよぉ…
親友何だからぁ!!!!!!」
涼音はさっきよりも大きな声で泣いた。
そして私も。
「何で、友花ぁ…。
病気の事教えてくれなかったの?」
…それは。
君を心配させたく無かったから。
…それよりも。
「なんで私が病気だって事…知ってたの?」
「さっき、友花のお母さんが来てて、
そのときに教えてもらった。」
お母さんが…!?
知らなかったぁー…
「そうなんだ。」
「…で!!!!!!
なんで黙ってたの?」
…あっっっ。
私は涙を拭いながら言葉を絞り出した。
「涼に迷惑を掛けたくなかったから…
黙っててゴメンね。」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
“Suzune Part”
…迷惑?
迷惑なんて幾らでも掛けて良いのに…
大切な人だから。
ただ、ずっと支えていきたかった
それだけ。
「私だって友花に迷惑一杯掛けた。
でも友花は『親友は迷惑を掛け合っても 良いんだよ。』そう言ってくれた。友花にだけ迷惑を掛けていきたくない。たまには私を頼ってよ。』
私はそう言ったのだ。
やっと大事な人に自分の気持ちを素直に言えた。
いつの間にか私は泣いていた。
また涙だ。
私は思った。
「本当に良いの?迷惑掛けて…」
「良いよ。友花なら。」
「涼ありがとう。」
友花は私に静かな声で言った
大好きなこの声を守りたい。
大切な友香花を守れるような人になりたい
「私、そろそろ学校に戻るね。」