2.暴れたらどうする?
※引き続き暴力注意
ハタタカが泣き止んだ頃には、やって来た対魔軍がミシマを手当てし、3号を工場に送り、ボロボロの服のカンクロを拘束していた。
「なんでカンクロを連れてくのだ?」
「危ねえからに決まってんじゃねえか」
連れてかれる本人が質問に答えた。
「ミシマに、ごめんなさいしてないのだ?」
「するかよ。オメェ殺したことも謝んねえからな」
ハタタカは殺し屋を見つめた。なんの感情もない顔。
「謝るのだ。カンクロ、手伝ってくれるって約束したのだ。ここでいなくなったら嘘つきなのだ」
「嘘つきで結構だぁ……また俺が暴れたら、オメェどうすんだぃ」
カンクロの肩から流れた黒い血がウネり、拘束具を切った。
ハタタカは、今度はすぐカンクロに触った。
そして、やっぱり泣いた。
「トドメさす度に泣いてんじゃねぇよ」
カンクロは何事もなかったように起き上がった。
「だってイヤなのだ…カンクロ、生き返っても、イヤなのだ…」
「イヤでもやれなきゃ、大事な奴らが死ぬぜ」
「…それも、イヤなのだ」
「じゃあ頑張んな」
拘束具をかけようとしていた軍の人たちを蹴散らす。
カンクロが人から離れた瞬間に、ハタタカは三度目の雷を落として、また泣いた。
※※※
ハタタカが目を覚ますと、自分のベットだった。泣いてるうちに寝てしまったらしい。
「ハタタカ様」
心配げな1号に大丈夫と答え、ベットから出た。
「カンクロは?」
「ご自分の部屋におられます」
確かにカンクロは部屋にいた。
ただし、手と足に拘束具をつけられ、さっきと違う服になってて、部屋はボロボロで、数人の兵隊さん達が見張っている。ハタタカが部屋に来ると、兵士達に緊張が走った。
「やっと起きたかぃ泣き虫」
「うん」
「さっきも暴れたの、気ぃついたかぃ」
「え、ううん」
「気楽なこって。オメェが寝てる間に、俺が悪さしたらどうすんだよ」
ふと前に、夜中に魔物が出て起こされ、眠くて大変だったのを思い出す。
「次は、起きるのだ」
「口だけなら、なんとでも言えらぁな」
そして殺し屋は縛られたまま体を捻り、体を抑えてた兵士に頭突きして、出た鼻血で拘束具を切った。
暴れる殺し屋に耐雷服の兵士が数人飛び乗った所を、ハタタカが触れる。
イヤすぎて涙が出た。何故こんなことをしなきゃいけないのか。
「ハタタカ様」
「勇者様」
擬人たちだけでなく、屈強な兵士たちもハタタカを心配していた。みんなだって、カンクロから殴られ蹴られ斬られていたのに。
ハタタカは頑張って泣くのをやめた。