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1.はじめての

※全般的に、殺し合いや暴力行為につき注意

 ハタタカは目を覚ました。

「ハタタカ様! ハタタカ様!」

 擬人たちが寄り添い、若き勇者を抱き起こしていた。


 横を見たら、カンクロは床にいた。黒い水たまりの中に寝てて、ミシマが上に乗っかってて、震える銃口を向けられていた。

「応援を頼む!」

 ミシマが携帯に怒鳴っていた。珍しい、とハタタカは思った。

 カンクロは、なんの感情もない顔で、若き勇者の方を見た。

「どうだったぃ、殺された気分は」

 よくわからなかったので、返事できなかった。


 キッカケはわからない。ミシマと勇者業の復帰時期を話し合ってた時だった。

 カンクロは、ミシマから携帯電話を、ハタタカから耐雷服を、それぞれ受け取ってから急に静かになった。1号に「綺麗な水」をもらっていた気はする。

 急に言い出した。

「オメェ……俺が誰か、わかってねぇな」

「カンクロなのだ」

「…人殺しだ」

「でも勇者なのだ」

「人殺しだ。その気になりゃあ、オメェだって殺せる」

「でも」

 首がヒヤッとした。



「カンクロ?」

「ハタタカ様、離れてください!」

 充分離れていたし、擬人達が勇者をガードしていたが、ミシマは注意した。

「大丈夫なのだミシマ、私はちゃんと生き返ったのだ」

「だが、コイツはあなたを手にかけた!」

「オメェもそうしてやろうか」

 一瞬で、カンクロはミシマの銃を奪って腕を捻り、壁に押し付けた。

「やめるのだ! ミシマは死んでしまうのだ!」

「なら止めてみな」

 何かが折れる音がした。悲鳴。

「や、やめるのだ!」

「腕折っただけだ。次は首を折るぜ」

 擬人3号が、殺し屋に車椅子ごとぶつかった。


「2号、私を押せ!」

「わかった」

 擬人2号が、3号を殺し屋ごと別の壁に押し付けた。

「……この…」

「ハタタカ様、この男に雷を落としてください!」

「え?」

 3号に言われて、若き勇者は戸惑った。人にそんなことをしたら、お母様のように。

「今、ここでこの男を止められるのは、貴方の雷だけです! 彼だけは貴方の雷で死にません! ギギ…2号が押し負けない…うちに…」

 力自慢の2号がだんだん押されていた。3号の車椅子が軋み、車輪が外れる。

「う」

 お母様。

「うう」

 大好きなお母様。私が触ったせいで、酷い怪我をしたお母様。

 でも。

「うう…ああ」

 ミシマに酷いことをした。擬人も壊される。

 このままじゃ。

「あ、あああああ‼︎」

 ハタタカは、カンクロに思いきり体当たりした。


 そして泣いた。

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