ep.1彼との出会い
不出来な小説かもしれないですか、
読んでみてください!
高校生活が始まってから、早8ヶ月。
あと5日で、年が明けてしまう。
彼氏もできてないし、運命の人にも出会ってない。
もちろんのこと、高校生活には夢があった。
少女マンガみたいに、あたしのことを一目惚れして告られるかもしれないとか、部活の試合で運命の出会いをするのかもしれないと。
でも、あたしのことを一目惚れして告ってきた男子もいなければ、部活の試合で運命の出会いをしたわけでもない。
まぁ、片思いしてる人はいるわけだが。
高校生活は少女マンガのように甘くはない。そう悟ったのは夏休みが終わった頃。
大学受験に追われる日々、複雑な友達関係、複雑すぎた恋人関係、重労働なバイト、厳しすぎる部活。なにより、少女マンガと現実とのギャップの差。
なんなんだこれは。
想像と違うじゃないか! こんなの望んでないぞと、部活も冬休みに入った今日、コタツで冬休みの宿題をしながら思った。
すると突然、ポケットが震えだした。携帯に着信がかかったのだ。
開いてみると、メールだった。
「今、まさん家で勉強会してんだけどくる?」
親友の楓からだ。まさっていうのは幼馴染の男子。
あたしはすぐ返信した。丁度、問題が難しくて1人でてこずっていたところだったのだ。
「行く! あたしも宿題やってた」
返信すると、まさの家へ行く準備をした。
***
走ってまさの家まで行く。幼馴染ってこともあり、うちからかなり近いところにある。
あたしは、すぐそこにある角を見ながら妄想した。
少女マンガとかだと、そこの角を曲がるとかっこいいイケメンの人にぶつかって……。そんな妄想をしてると本当に角から人が飛び出してきた。
走っていたあたしはぎりぎりのところで止まることができず、ぶつかってしまった。
「痛ってぇ……」
転んでしまったあたしは地面に手をつきながら、うなった。
「す、すいません! 大丈夫ですか?」
相手は、あたしに手を差しのべながら、謝ってきた。声からして、高校生ぐらいの男子のようだ。
少女マンガだとそれがかっこいいイケメンの人で……。そんな淡い希望を持ちながら相手の顔を見てみると、部活帰りなのか、部活の移動着を着ていたイケメンだった。
「あ、こちらこそ、止まれなくてすいません」
あたしは、思わずたじろいでしまった。まさか、こんな少女マンガみたいなことが起きるなんて。
運命の出会いだよ! やっと運命の出会いきたよ! なんて、あたしは1人で興奮していた。
「ほんとにすいません、俺これから友達ん家に行く途中だったんですよ」
さらに驚いた。目的も一緒だなんて。
「そうなんですか! あたしも友達ん家に行く途中だったんです」
あたしがそういうと、イケメンは目を丸くした。
「え……偶然ですね! 」
これじゃあ少女マンガみたいですね!
「そうですね! ……じゃあ、また! 」
また、とか言って、また会えたらもっとまた少女マンガみたいじゃん。もうこれ以上、そんなロマンティックなことが起きるわけないだろう。
「はい! 」
あたしは、まさの家まで歩いて行った。
さっきはきっと奇跡が起きたんだな。今日はいい日だったな。
そんなのんきなことを考えながら歩いていると、後ろから足音が聞こえた。ちらっと後ろを見てみると、さっきのイケメンがいた。
なんでいるんだろう? さっき、『友達ん家に行く途中』って言ってたし、友達の家が、まさの家の近くにあるのかな? もしかして、あたしに一目惚れしてストーカーとか!?
まあ、そんなことありえないのは知ってるんだけど……。
あたしは軽く、ハハハと笑った。まさの家の前まで行くと、インターホンを鳴らした。
「あれ? 君、まさの知り合い? 」
さっきのイケメンがまた声をかけてきた。
まさを知ってるの?
「そうですけど……」
「もしかして、まさん家に来たの? 」
「あ、はい……」
「俺もなんだ! 」
なんで、どういうこと? 今は、楓とまさが勉強会してるんじゃないの?
あたしが混乱していると、インターホン越しにまさの声がした。
「おーい、だれか来てんのかー」
あいかわらずの低い声で言う。
「あ、俺だよ。ついでに、女の子も来てるよ」
「おー海李か? お前ら会ったのか? 」
会ったのかって、人事だな。
あたしは、インターホン越しにいるまさにむかって、うんと答えると、勝手にまさの家に入った。
「海李ちゃんて言うんだ」
イケメンはつぶやくと、あたしの後を追ってまさの家に入った。