彰と新たな仲間
彰視点
パーン!パーン!
僕は今、帝国都市エルブルグの郊外の森で、木に的を付け、リボルバーを撃つ練習をしている
「はあ、はあ、さすがは44マグナム、反動がすごいな...」
練習をしてはいるがほとんど的に当てることすらできていない...
パーン!パーン!
「おっ!的に当てれたぞ!けど...」
的には当たったがほとんど外れているような位置だった
「うーん、これじゃ人形の魔物に襲われた際、当てることができないな...うん?ああ、もう日が暮れてきたな...」
僕はため息をつきながらエルブルグへと帰還した...練習姿を見られていたとは知らずに...
次の日、また同じ場所で練習をしていた
パーン!パーン!
「昨日よりはましに...いやなってないな」
銃なんて日本に住んでいたとき、撃ったこともましてやさわったことすらない。銃の持ち方や構えかたも、本にかいてあるのを見ながら見様見真似でやっているに過ぎない。
「このまま続けてうまくなるのか~?」
すると小さい少女の声が聞こえてきた
「がんばって...」
「うん?なにか聞こえたような...」
すぐさま辺りを見渡すが誰もいない、それもそうだ、銃の練習の音を聞かれて、騒ぎになっても面倒だと思い、エルブルグからかなり離れた森で練習しているのだから。
「こう見ると、この森も不気味だな...小学生の時を思い出すなぁ、田舎に住んでたから森へ入って遊んだりしたっけ」
それからも毎日練習をして続けた...
パーン!!
「やった!やったぞ!一発だけだけど、真ん中に当たった!」
練習しはじめてから3週間、やっと的の真ん中に当てることができた。
「いやー、それにしてもどれだけ運動音痴なんだ自分は...3週間だぜ、3週間、それだけやってやっと真ん中に一発当てれたぜ!、多分たまたまだけど...」
するとまた少女の声が聞こえてきた
「すごいよ...私はずっとみてたから...」
僕はとっさに銃を構え回りを見渡す
「だ、誰だ!」
自分は怖くなり、足と手をガタガタ震えさせながら回りを見渡した
すると木影からキラキラとした宝石のようなはねを生やした、150cmぐらいの身長の、ぬいぐるみを持った女の子が現れた
「き、君は?」
自分は震えながら銃を向け、とりあえず誤射してしまわないようにトリガーから指を外し聞いた。
「私は...私はアフィナ、アフィナ•エリエスク...」
「こ、こんにちは、エリエスクさん、こんなところで何を?」
自分は銃を構えたまま質問した、おそらく人間ではないだろう、キラキラとした美しい羽を生やしているのだから
「あなたが練習してたのをずっとみてた...あんな大きい音はじめて聞いたから...」
自分はとっさに謝罪する
「ご、ごめんなさい!この森なら誰にも迷惑かけないとおもって...すぐ出ていくから...」
すると少女は答えた
「いかないで!私、お友だちいなくて寂しいの...」
彼女は亜人か魔人、機嫌を損ねてしまえば殺されるかもしれない...
「あ、ああ、わかった、一緒にいるよ!そ、そうだそんな遠くにいないでさ、こっちきて何してるか見る?」
「...うん、あとアフィナって呼んで...」
「わかった、アフィナ、僕の名前は彰、よろしくお願いします」
「彰さん...よろしくお願いします...」
それからの練習はアフィナが一緒に居てくれるようになった。しかし不思議な点が多い。彼女は木陰にか暮れてばかりで僕が食事に誘うと...
「アフィナ、そろそろお昼だから食事にしようと思うんだ、ほらパン持ってきたんだけど食べない?」
「私は、大丈夫...」
「そ、そっかぁ、それじゃ僕一人で失礼するね...」
彼女は朝から晩まで一緒にいてくれる。だが食事をしているところを見たことがないのだ
それからもアフィナは銃の訓練を見てくれていた
次の日
「そうだ!アフィナも銃、撃ってみない?」
アフィナが少し笑っていった
「やってみてもいいの?」
「もちろん!ほら見てるだけじゃ寂しいだろうし...」
僕は弾をリロードし、彼女にリボルバーを渡す
彼女が不思議そうにリボルバーを見ている
「...結構重たい」
自分はリボルバーについての説明をし始めた
「これは回転式拳銃っていう武器なんだ、ほらここ」
自分はリボルバーのシリンダー部分を指して説明する
「ここに弾が入ってて、コッキングするとシリンダーが回転するから、回転式拳銃なんだ」
彼女が不思議そうに聞く
「コッキング?シリンダー?」
僕は謝りながらリボルバーについて説明する
「ごめん!専門用語で説明してもわからないよね、コッキングはこのハンマーを...」
僕はそれからアフィナにリボルバーの使い方を説明した
「すごい威力が出てたけど...意外とシンプルなんだね...」
「そうだね、回転式拳銃は仕組みはシンプルなんだけど内部機構は意外と複雑なんだ、ほらこの小さな部分にシリンダーを回転させる仕組みがあったりするからね」
「そうなんだ...このしりんだー?は何でわざわざ回転させるの?」
「そうだね、弾ってのは粗悪だったりしてトリガーを引いた際に弾が発射されないことがたまにあるんだ。でもリボルバーはこのシリンダー、薬室というんだけど、薬室自体が回転するから、もし不発弾でもコッキングしてトリガーを引けば薬室が回転して次の弾を使えるから問題なく使えるんだよ」
「すごい...手で持てるものなのによく考えられているんだね...」
「僕がリボルバーを持っているのは、もし危険な生命体の遭遇した際、確実に弾を撃てる道具が必要だからなんだ」
彼女がまた不思議そうに聞く
「普通、魔法や素手で戦わないの?」
「えっ?」
魔法はまだしも素手で戦う?ムリムリ、魔物相手に素手で戦うなんて普通不可能だ、彼女は一体何者なんだ
「そんなの無理だよ!僕は魔法も使えないし、ましてや素手で戦うなんて...だから護身用でリボルバーを持ってるんだ」
「そうなんだ...人間って弱いんだね...」
人間って弱い!?まあ、翼を生やしてる時点で彼女は人間じゃないからな...
「そうだね...あっ説明ばかりしてたけど、あの木に向かって撃ってみてよ」
そう僕がいうと彼女は片手で銃を構えた
「片手じゃ反動が強くて...」
自分がいいかけた時だった
パーン!!
銃弾はまっすぐ的の真ん中に飛び、そしてこのときの彼女の腕は微動だにしていなかった
「す、すごい...全くぶれてないや、そして的のど真ん中」
「意外と簡単...」
「アフィナはすごいね!、僕は練習してもぜんぜんダメだったから...」
「人間さんは弱いから...仕方ないと思う...」
自分よりも20cm近く身長が低い女の子に弱いっていわれるのは複雑な気持ちだなぁ
「いやー、人間が弱いっていうより自分がとくにダメダメなんだよ!自分は運動音痴で誰にも期待されてなくて...挙げ句の果てには犬を離しちゃって...」
自分で言ってて悲しくなってきてしまい、柄にもなく泣いてしまった。母さんや友人に会えないと思うと余計に涙が出てきてしまった
「母さん...」
「彰さん、大丈夫?...ごめんなさい、彰さんはずっと頑張っててすごいと思う...」
僕は涙をぬぐった
「ごめんね、突然泣き出したりして...」
「いえ...彰さんを泣かせたのは私のせいだから...」
「そんなこと無いよ!アフィナのせいじゃない。僕が弱いだけだから」
「彰さんは弱くない、ずっと銃の練習していたの私、みてたから...」
「ありがとう」
「彰さんに銃返すね、彰さんに必要なものだから」
「ありがとう、よーし!もっと練習頑張るぞ!」
その日もアフィナが隣にいて練習をして見てくれていた
次の日
「アフィナ!今日も練習しにきたよ!アフィナ!アフィナ?」
いつもならいるはずのアフィナが居なかった
「あれ...いつもなら僕のこと待ってくれてたのに...」
辺りを見渡して見ると地面にアフィナが持っていたぬいぐるみが落ちていた
「これは!?アフィナが大事そうに持っていたぬいぐるみ!?もしかして何かあったんじゃ?」
僕は森の奥を見つめた
「この森は魔獣が寄りつかない森だと聞く、だから安全だと思って練習してたのだが...うーん、考えても仕方ない。試しに森の奥へ行ってないか探しに行こう」
僕はリボルバーを構えながら森の奥へ進んでいった
「この森はギルドの人が安全と言ってたとおり、リスやキツネしか出てこないな...」
僕はそのまま足を進めた、数十分歩いたころだろうか、森の奥になにやら建物が見えてきた
「あれはなんだ?古びた屋敷?」
森の奥にあったのはところどころが壊れている、古びた屋敷だった
「アフィナがここにいるのかな...」
僕は恐る恐る扉に近づき、扉を開けた
キィィィ...
古びた扉の音が響き渡る
「すみません...誰か居ますか...」
僕は小声で聞く、恐怖で足をガタガタさせながら、辺りを見渡す
「誰も居なさそう?...とりあえず、アフィナが居るかもしれないからな、奥へ進むか...」
僕は廊下を歩き、次々と部屋を見ていく
「人が住んでいる様子はないな...」
そして最後の大部屋に入った
「ここが最後の部屋か...」
キィィィ
最後の部屋は大広間と行った感じで家具も何もないだだっ広い部屋が広がっているだけだった、しかしある二つのものを除いて
「なんだ、あの奥の棺みたいなのは...」
僕が一歩足を踏み入れた
「フッフッフ」
背後から笑い声が聞こえてきた、僕は振り向くのが怖くて、唾を飲んだ
「だ、誰だ!」
リボルバーを構え振り向く、が、誰もいない
「気のせいか...?」
少しほっとし振り向こうとしたとき、何者かに後ろから肩を捕まれた
「ぎゃぁぁぁぁ!」
自分は尻餅をつきながら振り返った
そこに居たのは自分と同じ身長ぐらいで、アフィナと同じ羽を生やした男だった
「お、おまえは誰だ!?」
男が頭を下げて挨拶した
「私はカロル•エリエスク伯爵、吸血鬼です」
エリエスク?アフィナの父親だろうか?いや、待て吸血鬼だと
自分はすぐさま立ち銃口をカロルに向けた
「き、吸血鬼だと!?」
カロルは不気味な顔で笑っている...すると目の前から消え、一瞬で僕の後ろに立った
僕は冷や汗をかいた
「いやはや、獲物が、のこのこと我が屋敷にきてくれて感謝しますよ...」
カロルは僕の腕と頭をなでまわすようにさわった
僕はとっさに走りカロルに向けて銃口を向け、震え声で言った
「ぼ、僕は美味しくないぞ!お、おまえなんか銃弾で蜂の巣にしてやる!」
カロルは笑いながら答える
「そんなおもちゃで何ができると?銃弾なんか簡単によけれますよ」
さっきの動きの速さから見ればそうだろう、自分が気づかないうちに背後に回られたのだから
カロルはお辞儀をしながらしゃべった
「簡単な話です、私たち吸血鬼には血が必要、だから高貴なる私達のために死んで欲しいだけですよ...」
「ば、バカをいうな!誰が簡単に命を差し出すか!」
カロルは少し怒った顔でしゃべる
「それなら、力ずくで奪うまで!」
カロルが僕に向かって走り出そうとしている
「お父さん!止めて!」
後ろから少女の叫び声が聞こえてきた、アフィナの声だ
カロルは少し動揺した顔を見せたが、僕を殺そうとする手を止めそうにない
僕は44マグナムリボルバーのトリガーを引いた...
パーン!!!
銃弾が風を切りカロルの足へ命中した
「ば、バカな!?」
カロルは足を押さえ込みその場に倒れた
「お父さん!!!」
アフィナが叫び、カロルのもとへ近づく
僕は動揺しながら、アフィナと共にカロルへ近づいた
「お父さん!何でこんなことしたの!」
アフィナが泣き顔で聞く
「我々吸血鬼は人間とは相容れない存在...人間の血を得ねば死んでしまうのだぞ!?」
「でもだからって...」
僕はとっさに服をや破いた
「彰さん、何を...」
「アフィナ!銃弾が足に当たっただけだ、お父さんはまだ助かる。早く止血をするんだ!」
さっきまで僕を殺そうとした吸血鬼を僕は今助けようとしている
「そんな、お父さんはあなたを殺そうとしたのよ...」
「相手が誰であろうと関係ない、目の前で苦しんでいる人が居るんだこれくらい助けれんでどうする!?」
僕はしゃべりながら、破いた布を足に巻き付け、強く絞る、幸い弾丸を足を貫通しており、取り出す心配は無さそうだ
「ありがとう...感謝する...」
アフィナは父親に対して問いただす
「なんで、なんでこんなことを...」
「血を得るためだ...」
「けど、人を殺すなんて...」
「アフィナは知らないだろうが、私は何人も人を殺し、そしてその血をアフィナにも与えていた、今日も同じことをしたまでだ」
アフィナは悲しそうな顔をしている
「でも、せっかく友達になれたのに...」
「アフィナ、これは吸血鬼の宿命だ。仕方の無いことなんだ...」
僕は腕をつき出した
「血ぐらい、死なない程度ならいくらでもやる!わざわざ人を殺そうとするな!」
アフィナが嬉しそうに答える
「彰さん...ありがとう...」
カロルが驚きながらしゃべった
「自分の血を渡そうとするとは...あなたは変わり者だ」
「変わり者で結構、昔から僕は回りから浮いたへんなヤツなんでね」
その後カロルとアフィナに血を分けた
僕はふらふらになりながら立つ
「ちょっと血吸いすぎなんじゃないかい?」
カロルは申し訳なさそうに答える
「すまない、銃弾を食らった際出血したのもあって...」
ああ、間接的に僕のせいか...
しかしこれからどうしよう、吸血鬼である二人のために血を与え続けるのは不可能だ...
これはライマーとミゲルに相談するしかないな...
「カロルさん、アフィナさん、僕は一旦都市へ帰ります。そしてなかまたちでカロルさんとアフィナさんの血液問題をどうにかできないか考えてみます」
カロルが嬉しそうに答える
「ありがとう、私は君を殺そうとしたのに...」
「人間誰しも...って吸血鬼か...みんな苦しいときは必死になるものです。気にしないでください。それじゃ...」
「待って!」
アフィナが叫ぶ
「私も...私もつれていって!」
カロルが驚いた顔をしてアフィナに聞く
「アフィナ!?何を言っているんだ!人間についていくなんて...それに羽がついているんだすぐに吸血鬼だとばれて殺されるだけだ!」
「大丈夫、お父さん。羽は上からフードマントをかぶって隠すから。私は彰さんとお友だちになったの、だから彰さんについて行きたい」
「ううむ、私は彼を殺そうとした、だが彼は私を助けてくれた...わかった...アフィナももう子供じゃないからな」
「ありがとうお父さん!」
おいおい僕に許可はとらないのかよ...まあ、いいけど
「彰さん...これから一緒によろしくお願いします」
「こちらこそ、改めてよろしくお願いします、アフィナ」
そして僕たち二人は帝国都市エルブルグへと帰還した
「彰~!って誰!?」
数日後ミゲルとライマーが帰ってきた
「詳しいことは宿屋で話すよ」
僕たちはいつも泊まっている宿屋ひつじへ向かった
「うーん!帰ってきたぞー!」
ミゲルが元気よく部屋へ入り、僕たちも部屋へと入った
僕はアフィナについて説明する
「こちらはアフィナ、森で友達になったんだ」
「よ、よろしくお願いします...」
アフィナが不安そうな顔で小さく僕に質問する
「彰、あの人って聖職者だよね?お父さんから聞いたことがあるの、吸血鬼は聖職者に退治されるって...」
そうか、まずいな、吸血鬼であることを隠し続けることは難しいし...僕が考え込んでいるとはミゲルがアフィナのフードを取ってしまった
「こんなフードをつけてると顔が見えないよ!って羽!」
まっ、まずい!羽が!ライマーに退治される!
「おや、なんと吸血鬼の女の子でしたか!」
ライマーは軽く驚いた顔をする
「止めて聖職者さん、退治しないで!」
アフィナは震え声で答える
ライマーは笑って答えた
「そんな、退治なんて!そもそも私は戦えませんし、大丈夫ですよ!あと私は"改革派"ですから...」
改革派?ライマーが気になることをボソッと言った
とりあえず、僕はことの経緯を詳しく話した
「なるほど、しかし新しい仲間が欲しいとは言ってましたがまさか、吸血鬼をつれてくるとは思いませんでしたよ」
ライマーは笑いながら喋る
「こんにちは!吸血鬼のアフィナちゃん!僕ミゲル!よろしくね!」
「よろしくお願いします...ミゲルさん...」
「ああ、私はライマー、神父です。アフィナさん、よろしくお願いします」
「ライマーさんもよろしくお願いします...」
ふう、一時はどうなることかと思ったがアフィナも仲間として溶け込んでくれるかな
とりあえず、アフィナの父親について話さなければ
「ってことで、吸血鬼だから血に困ってるんだ」
ライマーが少し考え込んだ後に答える
「うーむ、それならローマニエ連邦共和国へ送るのが一番でしょう。ローマニエ連邦では吸血鬼も一般的に暮らしていると言いますから」
おお、ここでもローマニエ連邦共和国か
「今現在のお金だと船で一人だけならローマニエ連邦共和国に行けるお金は用意できます、アフィナさんのお父さんには船に乗ってもらいましょう」
アフィナが嬉しそうに答える
「ライマーさん、ありがとうございます」
その後我々は再び森へ戻り、ことの経緯を説明してカロルに船のチケットをわたし、我々は森をあとにした
新しくアフィナが仲間となった。これから新しく4人での冒険が始まる...