ようこそ帝国都市へ
~帝国都市エルブルグ~
「彰!彰!すごい街だよ!」
「そんなにはしゃぐもんじゃないぞ、って回りからじろじろ見られてるな」
ふと格好を見ると、ミゲルと形容しがたい変わった服を着ていて、自分は顔つきがあきらかに異質であり、その上身長が回りより高い。これは自分が高い訳ではない。中世の食生活の影響だろう。
「彰!中世ヨーロッパと言えばギルドでしょ?ギルドで冒険者登録して敵を倒すんだぁ!」
「そうだな、まずはギルドを目指そう」
ミゲルと僕は道沿いに歩いていく、すると冒険者ギルドと看板がたてられたお店が見えてきた。
ギルドの中にはいると漫画のような酒屋みたいな内装ではなく、どちらかというと騎士が集まる食堂のような場所だった
「冒険者ギルドへようこそ、ここでは主に提携している商人ギルド、各地の貴族、帝国都市からのご依頼をまとめてある施設になります」
「お姉さん!お姉さん!僕冒険者になりたい!」
「えっと...子供は...」
「大丈夫!僕は強いもん」
「そうですか...そちらの方は」
「僕は彰です。自分は戦えないので...」
「ええ!、てっきりそちらの方の護衛かと、体もがっしりされてますし」
そうか、ミゲルは変わった格好をしていて貴族にみられ、私は回りより身長が高いからひょろひょろの体でも戦闘能力があると思われているのか
「えーとわかりました、ギルド登録には小型銀貨3枚です。年会費は大型銀貨1枚になります。初年度は年会費は不要で、その他条件で不要になる場合があります。」
「わかりましたこちら小型銀貨3枚で」
さっきの馬車で金貨をくずせて助かったな
「それでは次にギルドのランクについて説明します。
ギルドランクは一人一人個別になります。ギルドランクは四段階にわかれます。
まずパートナー会員、基本的には帝国都市での雑用、牢屋や門の警備など重要度が低く、能力が求められない会員そして、年会費が不要です。
次にレギュラー会員、ここからが本格的な会員になります。実務試験にクリアすればなれます。主に護衛、町の警備、シルバー会員の補佐等です。
シルバー会員、レギュラー会員で実績を積むか、魔法が使える方がこのランクです。
最後にゴールド会員。ゴールド会員は魔導師や大規模パーティのリーダーがなります。」
「なるほど、会員登録だけではあまり意味がない感じなんですね」
「はいそうです、帝国都市では帝国から自立を許可されている背景により貴族に仕える衛兵がいません。その為、パートナー会員の方に町の警備の補佐をしてもらってるからです」
「それならミゲルのために試験を受けさせてもらいたいです」
「わかりました、試験は魔力量試験、剣術試験、筆記試験になります。魔力量試験はすぐできますので...あっ良ければ付き添いの方もどうぞ!魔力量をはかる石に手をあてるだけですので」
魔力量か...しかし私はそのままの体で来たが魔力はあるのかな
台車で水晶玉のようなものが運ばれてきた
「彰、先にやっていいぞ!」
あれ?いつもならミゲルがはしゃいでやりそうなものなのに、
私はそっと手を近づけた...がなにもおきない、やっぱり...
「あれ?おかしいですね、どれだけ低くても光は出るはずなのに...」
自分はすこしきまずそうにしながら手をはなした
「何ででしょうかね?つかれてるせいかな?」
「ふふーん、次は僕の番だ!」
そういってミゲルが手を近づけると水晶玉が太陽のような光を放ち、そのまま爆発した
「きゃー!」「なんだ、なんだ」
ミゲルが誇らしそうに言う
「これがミゲル様の力だ!」
「そんな...大型銀貨100枚はくだらない魔力水晶が...ってそんなことより!なんて魔力量!これはいきなりシルバーいや、ゴールド会員になってもおかしくありませんよ!」
回りに人が集まり騒ぎになる
「なんだって大魔導師の誕生か!?」
どうしよう...まあ私がこの世界に来たのはスローライフを楽しむためじゃないと思ってたし、今後の出世を考えれば悪くはないのか...って大型銀貨100枚はくだらないっていってたよな。まずい、金貨2枚とくずしてもらった銀貨しかないぞこれは...
「ミゲルはすごいやつだな!ああ、なんだからつかれてきたー(棒)もう宿に泊まるしかねぇ!それじゃ皆さん、また今度の試験で!」
僕はミゲルの首布をつかんでギルドを走り去った
「彰!彰!くるしぃよぉー!」
「はぁはぁ仕方ないだろもし魔力水晶弁償なんていわれたらどうする!?」
「それくらい僕が出せば...」
「ダメだ、お金を出せば貨幣経済が未熟な帝国都市に悪影響を与えるかもしれないし、魔力水晶事態をだすのもどっから仕入れたとなって怪しまれる。」
「はーい」
まさか俺TUEEEE、最強ですからをミゲルがやるとは思わなかったな...
「ミゲル、魔力量、おまえなら隠せたりしたんじゃ」
ミゲルは目をそらしながら口笛をふく
「やっぱりかキサマー!」
「いたいいたい、頭グリグリは止めて!!」
宿屋へついた、この宿は食事も一緒にとれるらしい
「いらっしゃい、宿屋ひつじだよ」
「二人部屋お願いします」
「あいよ、食事付きで小型銀貨3枚だよ!」
銀貨の価値がわからないが、安いのだろうか...
「彰~お腹空いた~」
中世ヨーロッパの食事...
「先部屋へお邪魔しまーす!あ、あと食事要りませ~ん!」
といってミゲルをつかんで部屋へ入った
「どうして部屋へ入ったの!あのまま食堂で食べればよかったのに!」
「ミゲルちょっと待ってて」
そういって私は初めて特殊能力を使った。丸い扉が開き、自分のほしい本を想像し、適当な本をとりだす、そしてだしてきたのは
「中世ヨーロッパの食事?」
「ほら見ろミゲル、穀物を粥にして食べてたと...」
「え、まさか食堂でも...」
「ああ、ギルドにいたとき食べてるのを見たが固そうなパン、粥、あと、簡素なスープを食べてたぞ」
「彰、嫌だ嫌だ!美味しいものが食べたい!ステーキとかお寿司とか!」
「なんで日本料理が出てくるんだよ...まさか天界にいたとき」
「てへ、日本の食事召喚して食べてた」
「まぁ正直にいうが日本育ちでしたにこえてる日本人には中世の食事は無理だ...」
「へへ、彰もほしいんだぁ」
そういって彼はステーキとお寿司をだした。
「いただきます!」
といってミゲル食事をとり始めた
「天の父なる神様...」
僕は祈りをしてからステーキをいただいた。
次の日試験に呼び出された、昨日の大騒ぎがあったが幸い魔法水晶玉の弁償はいわれなかった。
「よし、君が水晶玉を爆発させたミゲルくんだね、ハハッ」
「はい、そうです!」
「子供らしい元気な挨拶だ!私は試験官のベルンハルトだ、よろしくお願いする」
試験官ベルンハルトとの試験が始まった、ミゲルは身長を考えればあきらかに大きいショートソードを軽々と持ち上げた
「おお、この見た目で短剣をそんなに軽々しく持ち上げるとは!」
「よし、試験開始だ、まずは振り...」
ミゲルの剣術はすごいのかひどいのかわからなかった。片手で軽々しく、見えない速度で振っているのだが、振ってる方向がバラバラでひどい有り様...
「終了!振りは恥ずかしい話だが全く見えなかった...凄まじい力なのはわかったが、振りの構えなど基礎的な部分がひどすぎる...うーむ、まあ次の試験は模擬戦闘だ」
ベルンハルトは木製の剣を持ってきた、そして先ほどとは違い鎧をまとっている
「次の試験は模擬戦だ、キミは初心者だからな、万が一私にぶつけて怪我をしないように鎧を着させてもらっているぞ、私に一発あてれたら勝ちだ」
「おじさん!手加減はしないよ!」
「よろしい!それでこそ男だ、さあかかってきなさい」
嫌な予感がする、神の手加減なしはやばいんじゃ...そう思ったときには手遅れだった、ミゲルは横腹を狙うように打撃を加えた、構えでバレバレだったのでベルンハルトは防御した...
「なに!?」
防御の構えで持ってた木の剣が簡単におれ
「ぐはぁ!」
どぉぉぉぉぉん!ベルンハルトは何十メートルも先にある民家に叩きつけられた
「彰...力の調整ミスちゃった...」
暴力はよくないと思いつつ、ミゲルを軽く殴る
「なにやってんだぁぁ!あんたは神、相手はただの人間!さっさと助けに行くぞ!」
ベルンハルトをどうにか助けだし、ミゲルがすぐさま回復魔法をかける、するとベルンハルトの傷が嘘のように消えた。
「私は...ああミゲルくん!キミは何者だ!?こんなバカじからにこの魔法、これは大魔導師が何人も集まってかけるパーフェクトヒールレベルの治癒魔法じゃないか!?」
「おじさんごめんなさいぃ...力加減をミスってぇ...ゆるしておじさん...」
ミゲルが大泣きしている
「ミゲルくん、泣くのはやめたまえ、私の未熟さが原因だ...ほらみろ元気だぞ!」
ベルンハルトはすぐさま立ち上がり、ミゲル前で踊って見せた
「うん」
どうにかミゲルは泣き止んだ
「これにて剣術試験は終了だ、私もいろいろ学ばせてもらったよ」
「おじさん、ありがとうございました!」
「うむ、元気な挨拶だ。次の試験も頑張りたまえ」
次は筆記試験、受付嬢が私に配慮してくれて試験内容を見せてもらえた
小型銀貨、大型銀貨、金貨の交換レート、この大陸エウロペ大陸の国の名前など基礎的な知識が求められる問題だった。
ついでに試験者じゃないからといろいろ教えてもらった
先ほど説明したとおりここはエウロペ大陸、僕たちがいるのが神聖ロマニエ帝国で東側に魔族帝国、帝国の南東にケンタウロス部族王国にフルバツカ王国、そしてその先に永世中立国のローマニエ連邦共和国、そのしたに東ロマニエ帝国、西側はカロリング王国、南は教皇領、北にエルフ王国とドワーフ王国、最後に北西の海を挟んでアルビオン連合王国。
通貨の交換レートは小型銀貨10枚が大型銀貨1枚、大型銀貨10枚が金貨1枚だ
そして試験が終わった
「100点満点中、25点!」
ええ、こいつこの世界の神なのに
「えーん、彰!ぜんぜんわからながっだぁ!」
どうやら降臨したときにロマニエ帝国のことを知っただけでそれ以外のことは全くなようだ...
「全然気を落とす必要はありませんよ、筆記試験は文字をかけないかたも多くて多くはゼロ点ですから。そしてゼロ点の方には識字教育をしてるっていうギルドの背景があるんです!文字をかけた時点で合格ですからお気になさらずに」
「そうなの?」
受付嬢がミゲルの頭を撫でながら慰める
「ミゲルさんは立派ですよ~」
「僕、冒険者がんばる!」
ほんと喜怒哀楽が、激しい子だ...
「ギルド長のアルノーだ、ミゲルくんキミのテスト結果を発表する。合格!そして飛び級でシルバーランクだ!」
驚いた、てっきりゴールドにでもなるかと思ったのに
「ミゲルくん、本当はゴールドにしようと思ったのだが、ゴールドは経験が求められる仕事が多い。その為シルバーにしてもらったぞ」
なるほどな、まあお気楽なミゲルがゴールドで何を起こすかわからないからな...
「アルノーおじさん!ありがとうございました!僕、冒険者としてがんばる!」
はぁ、とりあえずは一段落かな...
ドン!
「ここにすごい魔力を持っている子供がいると聞いた!」
神官らしきひとが大声で現れた
「まぁ、こんな子が出てきたらこうなりますわな」
「キミか!私は司教からお迎えに上がるよういわれてきたものだ」
「こんにちはおじさん」
「おお、おじさん!?私はまだ21だ!消しておじさんではない、お兄さんと呼びなさい」
いい人そうだな
「私の名前はライマーだ貴殿の名前は?」
「僕?僕はミゲル、ライマーさんよろしくね!」
「ミゲル!?発音が違う国では聞いたことはあるがまさか神様と同じなだとは!?」
まあこいつが本人だからな
「ミゲルくん!ぜひ教会にきてくれ!司教や、大司教、それどころか枢機卿へ...」
「ライマーお兄さん、彰と相談してからでもいい?」
「彰?ああ、キミの護衛だね!いや、相談となると保護者?いや、それにしては若すぎるし、兄弟には見えないし...」
「彰は友達だよ!待ってて!」
「友達?まあとりあえず急いでくれ」
そうゆうとミゲルが私のもとに近づいてきた
「彰どうしよう」
「難しい問題だな...一つ聞きたいことがあるミゲル自分が神様だとばらすのか?」
「僕は...もともと啓蒙神として統治しようとしたんだ!だからばらすのは...」
「そうか...」
もし神だとばれて、教皇領のトップとして祭り上げられたならばルキフェルとの対立は避けがたい...しかし逆に教皇と対立するようなことをしてしまえば、悪魔だの魔王だのでっち上げられてミゲルが地上にいれないかも...
「なら、ミゲル耳をかして、ゴニョゴニョ」
「うん、わかった」
ミゲルはライマーのほうへ向かった
「ライマーお兄さん!」
「どうだい、一緒にきてくれるかい?」
「一緒に行くのはムリ!逆にライマーお兄さんが僕たちと一緒に冒険して!」
「な、なにぃぃ!?まあ、キミのことを定期的に報告できるからそれでも問題ないか?私自身こんな子供を教会に縛り付けたくはないし...よしわかった一回司教と相談してくる。」
「ありがとうお兄さん!」
そういうとライマーは帰っていった
次の日ライマーが帰ってきた。
「ミゲルくん!私が君のことを定期的に本国へ報告することを条件に教会に来なくてよいこととなった。これからよろしく頼む、ああ、改めて自己紹介もしよう。私はライマー、神父だ。これからよろしくお願いする」
現地のそれも聖職者が仲間になるのはありがたい。聖職者は知識人。ミゲルの教育などもしてくれるそうだ。この世界の教会の腐敗度はわからないが教会が味方に付くのは心強い。
とりあえずドタバタ劇は終わった