いざ行かん異世界へ
目の前いっぱいに草原が広がる...
ああ、日本じゃない、それどころか地球じゃないんだな...
ふとミゲルを見ると僕よりもわくわくした様子で回りを見渡している
「彰!地上だよ地上!」
見た目相応の子供なような反応だ
「そんなにはしゃがなくても...」
「だって下界へ降りたのはずーと前なんだよ!」
そうはしゃぐミゲルを尻目に僕は今後どうしようかと考える...
「あっそうだ、彰!これ!」
「ん?、時計?」
「君に直接能力付与ができないから作ったんだぁ~これを使えばいつでも地球の全ての本がおかれている世界へ行けるんだぁ~今、時計とその世界を作ったんだよ!褒めて褒めて!」
さすが元大天使と言ったところか、ミゲルの頭を撫でながら
「さすがミゲルだね、すごい!」
ミゲルは誇らしそうにしている、私にも弟がいたらこんな感じだったのだろうか...家族、母さん...
いや考えるのはよそう
「彰これからどうする?いつもは転生者を地上に下ろすときは都市近くか、馬車に乗せてくれそうな優しい人の近くに下ろすんだけど...」
そうミゲルはいいながら指をつんつんしている。もしかして...
「まさか適当なところに下ろしちゃ...」
突然ミゲルが泣き出して言った
「彰、ごめんなさぃ、扉を使ったのは久しぶりだったからぁ、いつもは地上に送る際には体の再構成が必要だからぁ」
喜怒哀楽が激しい子だな...
「ミゲル、泣かないで、君がいるんだから大丈夫」
僕はそういってまた彼の頭を撫でた
「うん...ありがとう、まずは町を探さないとね!町を探すには...そうだ魔力感知を使おう、そうすれば近づいてくる馬車とか近くにある都市がわかる!」
え、でも力を使ってしまったら...
「あ、魔力関知を使ってもルキフェルにはばれないよ!地上に来たことはばれてると思うけど、魔力感知はパッシブソナーみたいな感じだから」
こいつ、僕心を読んだ?ミゲルが悪そうに笑う。まあ元大天使だしな
「それならさっさと探そう」
ミゲルが頭に手をあてて回りを見渡した
「彰!あっちに町がある!」
そういって彼は山を指を指した
「山の後ろに隠れてるみたいだね、どれくらいの距離かな~?」
「よしそれなら歩こうか、あっあとこの時代にあった服装をくれ」
ミゲルが指を軽くならすと服装が変わった
そしてミゲル、彰が歩きだした
歩きながら僕はミゲルに質問する
「今の時代って地球でいう何世紀ぐらい?」
「うーん、文明は12世紀ぐらいなんだけど、じつはこの世界でも似たような西暦があって...」
「この世界の西暦?」。
「うん、この世界でもキリスト降臨があったんだ、いわゆる主の神様だね。僕を作った人。それでこの世界の西暦だと3251年なんだ。君にあげた時計にもかいてるでしょ?」
ほんとだ
「この世界でもキリストが来てたのか...」
「まだ驚くことはあるよ、僕たち悪魔が降臨したのはちょうど500年なんだけど、それまでの歴史はキミのいた地球と似ていて、いにしえには大帝国ロマニエ帝国があったんだ、これはそう、ローマ帝国だね。他にもこの星の形は地球とほぼ同じだったり共通点が多いんだ、一種のパラレルワールドってやつさ、そして僕はこの世界では神様として崇められるようになったんだ~あっ、だから自分のことを神って言っても許してよね!半分事実なんだから」
「古代の帝国、ロマニエ帝国か...あと地形がほぼ一緒ってのはヨーロッパの地図ばっか見てた自分には助かるな」
そうミゲルと話しながら町を目指してあるいていった、が...
「彰~もうへとへと~」
そう言いながらミゲルはなにもない手元にコーラをだした
「おい!なにやってるんだよ~そんな簡単に力使ったらダメでしょ!っていっても現代日本に甘やかされてそだった自分もへとへとだけど...」
「いいじゃんこれくらい、彰にもあげる!」
彼は無邪気な顔で笑いながら目の前にコーラをだして見せた
「ありがとう、休憩したら歩くぞ」
「へい!親方!」
調子の良いやつだ
ガラガラガラ、馬車のおとが聞こえてきた
「ミゲル!馬車の音だ!乗せてもらおう」
「彰これ!」
そういってミゲルは金貨を渡してきた。
「おい!また勝手に作ったんじゃ...」
「これくらい大丈夫!転生者にはいつもサービスで渡してるから、優しい神様でしょ」
「それならいいか」
するとミゲルが道に飛び出してこの国の言葉らしきものを叫んだ
馬車が目の前で止まった
ミゲルと運転手がやり取りしているようだ、金貨を渡すと驚いた顔をし、快く乗せてくれた
「失礼します、って日本語でいってもわからないか...」
中には商人らしき人が乗っている、そしてふと気づいたのでミゲルに言う
「ミゲル、この国の言葉、わからないんだけど」
「忘れてた!普段は体の再構成をするときにインプットするんだよ!ほほいのほい」
そういうとさっきまで喋ってた言葉が嘘のようにわかるようになった
「いやはや、金貨一枚取り出して乗ろうとするとは...豪快なお客さんですぁ金貨を取り扱えるなんて私ぐらいの大商人だけですぞ、ふぉふぉふぉ」
「ウェネティ共和国で商人をしているカストじゃ、よろしくお願いしますぞ」
「お世話になりますカストさん、すみません、金貨しか持ってなくて...」
金貨一枚の価値はわからないが金を使っているのだ、恐らくは過剰であったに違いない。
「しかしこの金貨は東ロマニエ帝国の物...お二人さんは東ロマニエ帝国官僚ですかな?」
どうする?東ロマニエ帝国、つまり東ローマ、東ローマでは官僚は貴族みたいなものだ、もし貴族だと思われてしまえばめんどくさいことになるに違いない
「官僚、彰!官僚って響きカッコいい!」
「私は官僚じゃありません、この、よいしょ、ミゲル様の父上が官僚でお使いを頼まれた次第です」
ミゲルを抱き上げながらカストに言った
「なるほどそうじゃったか!私は東ロマニエ帝国の実情はよく知っておる、父が官僚でもお子さんが任命されるとは限らん!つまりじゃ、君に商談かけたり利用しようとはせんよ!」
この商人きれるな、私がめんどくさいと思った商談のことを察知した...
「私は東の遠い国と貿易してましてねぇ、またご縁があれば、ミゲル様の父上にもよろしくお願いいたします」