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《碧眼の花と緋の刃》軍に拾われた少女は、差別と陰謀の時代に抗い、愛を知る  作者: 伊太利ひなぎく
第1章

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第2話 後編《氷の少女と鬼教官②》


その日の夜。

一通りの業務を終えたユリウスは、訓練所へ向かうべく学生棟内の廊下を歩いていた。

自分が馬鹿げたことを考えているというのは理解していたユリウス。

が、それでもソニアの境遇を見ていると、どうしても放っておけなかった。


(とはいえ、たかが1学生を気にかけたところで──)


その時、ユリウスの思考を遮るように、訓練所の方からドンッという大きめの衝撃音が聞こえてきた。


「…っ!?」


何事かとユリウスは駆け出し、そのままの勢いで訓練所の扉を開く。

扉の開く音に驚いたのか、訓練所内にいたソニアは素早くユリウスの方へと振り返った。


「…クロイツァー大尉?」

「シュミット…」


見たところソニアに怪我はなく、ホッと胸を撫で下ろすユリウス。


(どうやら、事故ではなかったようだな…)


音の出所を探るべく訓練所内を見回すと、室内の反対側の端に置いてある訓練用の的から煙が上がっているのが目に入る。

その状況に、ユリウスは思わずソニアに声をかけた。


「…お前、ひょっとしてこの距離からあの的に当てたのか?」

「偶然ですが、その通りです」

「なるほど…」


ユリウスはそう言うと、ソニアとまだ煙を上げる的を交互に見つめる。


(シュミットは偶然と言ったが…魔術を狙い通りの軌道に乗せるなんざ、偶然できるようなことじゃない。この短期間で、最低限のコントロール能力を身に付けるとは…)


そう考え込むユリウスの様子に、ソニアは何事かと口を開く。


「大尉はどうしてこちらに?見回りにしては、まだ早いような気もいたしますが…」

「いや…今日は見回りでなく、シュミットに少し話があってな」


ユリウスはそう言うと、内心フッと笑う。


(…どうやら、俺の目に狂いはなかったようだな)


そう考えながら、ユリウスは真剣な表情でソニアをまっすぐに見つめた。

一方のソニアは、ユリウスからの思わぬ発言につい身構えてしまう。


(わざわざ私に話なんて…気付かないうちに、何かやらかしてしまったのかしら?)


そう不安に思うソニアは、恐る恐る口を開く。


「…お伺いいたします」


その言葉を確認したユリウスは話を切り出した。


「実は、お前のことを少し調べさせてもらった。どうやら、教官たちからあまりしっかりと指導を受けられていないようだな」


予想もしていなかったユリウスの言葉に、ソニアは思わず一瞬目を見開く。

表情を見られまいと、俯き気味に口を開いた。


「…はい、仰る通りです」


彼女が編入してから、既に約1ヶ月半。

ユリウス以外の指導教官からは質問にすら答えてもらえず、本当に必要最低限のことしか教えてもらえていない。


その理由が何故なのかということは、ソニア本人もきちんと理解していた。

幼い頃からその優秀さを長年周りから妬まれ続けてきたソニアだったが、学生までもが成人した人間で構成されている軍大学でも、同じような扱いを受けるとは思っていなかった…というのがソニアの本音なのである。


そんなことを考えながら、ソニアはちらりとユリウスを見上げた。


(大尉は、今のところ私に唯一真面目に向き合ってくださっている教官だけれど…それも、いつまで続くかしら…)


つい自虐的になってしまい、ソニアは再度俯く。

ユリウスは、そんな様子の彼女をじっと見つめながら話を切り出した。


「…単刀直入に言おう。シュミットさえ良ければ、俺がお前の個別指導を引き受けようと考えている。…とはいっても、俺の業務後空いている日だけにはなるがな」


唐突なユリウスの提案に、ソニアは顔を上げて少し驚いたような表情を見せる。


「私にとっては、非常にありがたいご提案ではありますが…」


そこまで言ったソニアは、一瞬ユリウスから視線を逸らせて言い淀むと、再度彼を見上げて口を開く。


「…私を指導したところで、大尉にとってのメリットは無いように思われます」

「は…?」


ソニアからの思いもよらぬ言葉に、ユリウスはつい怪訝な表情を浮かべてしまう。

そんな彼に向かって、ソニアは淡々と言葉を紡ぐ。


「指導教官や学生から遠巻きにされていることは、自分でも理解しております。そんな私の個別指導を受け持つとなると、大尉も周りから揶揄されてしまう恐れがあるかと存じます」


相変わらず表情1つ変えずにそう告げるソニアの様子に、ユリウスは深くため息をついた。


「お前な…メリットデメリットで個別指導を受け持つような指導教官がいるわけないだろう?」


ユリウスの返答に、ソニアは少し考え込んでから口を開く。


「であれば…大尉は見返りに何かを求めていらっしゃるのでしょうか?ただ、私が返せるものなど現時点では何も無いかと思いますが…」


予想外のソニアからの返答に、ユリウスは思わず一瞬目を見開いてしまう。


(この年齢でこんな発言が出るなんざ、この子は一体どういう育ちをしてきたんだ…?)


そんな動揺をソニアに悟られぬよう、努めて冷静さを保ちながらユリウスはソニアに向き直る。


「…見返りは必要ない。単に、見込みのある学生が、しっかりと指導を受けられていないというのは、軍としてかなりの痛手になると思ったまでだ」

「では…単なる善意、ということなのでしょうか…?」

「まあ、そういうことになるだろうな」


ユリウスの返答にソニアは少し困惑したような表情を浮かべ、ユリウスは首を傾げた。


「…どうした?」

「いえ…今まで純粋な善意というものをほとんど享受したことがないもので、どうお答えすべきなのか検討しかねると言いますか…」


ソニアは自分の今までの境遇を思い返しつつ、どう対応すべきなのかを思案する。


飛び級で中等教育までを早々に修了したソニアは、ずっと似たような環境に身を置いていた。

9割の人間は彼女に辛辣に当たるか遠巻きに見ているかのどちらか。

寄って来る残り1割の人間も、老若男女問わず何かしら腹に一物ある者ばかりだった。


そのおかげで、ソニアは普通の人付き合いであったり、他人を信頼するということを碌に経験できないまま、16歳という年齢を迎えていたのである。


黙りこくってしまうソニアの様子に、10も歳上の大人であるユリウスは彼女が長年置かれてきた境遇を、深く考えずとも自然と察してしまう。

柄にも無く、彼女のことを不憫だと思った。


「…シュミット」


不意に名を呼ばれたソニアは、考え込むのを止めて顔を上げる。


「わざわざ軍大学に来たからには、お前にも何かしらの目標や目的があるんだろう?」


そんなユリウスの問いかけに、ソニアは真剣な表情で小さく頷く。


「…はい」

「であれば──そのために俺を利用すれば良い」

「えっ…?」


ユリウスの言葉にソニアは思わず声を上げ、彼を凝視してしまった。


(この人は、一体何を言っているのかしら…?)


内心戸惑うソニアに、ユリウスは言葉を選びながら再度口を開く。


「…今の基礎が抜けている状態のシュミットが、この1年で全単位の取得を目指すのはかなり厳しい。もし俺の個別指導を受けるなら、その辺りを全て解決できるように基礎も応用も、更には実戦まで叩き込んでやる。…どうだ?」

「……」


無言で考え込むソニアに、ユリウスは補足を加える。


「…当然ながら、嫌なら断ってもらって構わない。異性の上官と2人きり、という状況を不安に思うのも理解できなくはないからな…。俺もお前に強要するつもりは一切ないから安心しろ」


そんなユリウスの気遣いも、気遣われることに慣れていないソニアにとっては余計に戸惑う要因となってしまう。


(何て答えれば良いの…?大尉のご提案はありがたいけれど、でも私は…)


返答に迷う様子のソニアを見て、ユリウスは少し寂しげにフッと笑った。

そんなユリウスの表情に、ソニアはチクリと胸が痛む。

そんな彼女を余所に、ユリウスは再度口を開く。


「…すまない、困らせてしまったようだな。この話は忘れて──」

「あの!」


話を切り上げようとしたユリウスの言葉を遮って、ソニアは声を上げた。

少し驚いたユリウスは言葉を切ると、じっとソニアを見つめて彼女の発言を待つ。

ソニアはそんなユリウスをまっすぐに見つめ返し、遠慮がちに口を開いた。


「あの…でしたら、お言葉に甘えさせていただいてもよろしいでしょうか…?」


十中八九断られるだろうと考えていたユリウスは、ソニアの言葉を意外に思い少し目を丸くする。

そんな彼を、ソニアはまっすぐに見つめた。


(私にこれほど真剣に向き合ってくれた人は、今まで1人もいなかった…。人を信じるのは怖い。でも…ほんの少しだけ、この人を信じてみよう)


そう決意しながら、真剣な表情でユリウスの返答を待つソニア。

そんな彼女の様子に、ユリウスは思わずフッと笑ってしまう。


「ああ…もちろんだ。ただし、俺の弟子になる以上は一切手加減するつもりはないからな」

「はい、承知いたしました。クロイツァー大尉、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます」


ソニアはそう言うと、ユリウスに向かって深々と頭を下げた。


「早速だが…シュミットの現状のレベルを確認しておきたい。1度手合わせ願えるか?」

「はい、承知いたしました」


ソニアの返事に、ユリウスは彼女から少し距離を取る。


「よし…型は問わないから、お前の好きなようにかかって来い。わかったな?」


ユリウスの指示にソニアはコクリと頷き、2人は互いに礼をすると手合わせを開始する。

しばらくの間、ソニアと手合わせを続けていたユリウスは一旦止めの合図を出す。

指示通りに動きを止めたソニアに、ユリウスは追加で指示を出した。


「次は…もう1度、さっきの的に魔術を当ててみろ」

「はい」


ソニアはそう答えると深呼吸をし、炎魔術を展開させると遠くの的に狙いを定める。

ソニアがそのまま火球を放つと、それはまっすぐに的に向かって飛んでいき、中心部からは外れたものの何とか的の端の方に当たった。

ユリウスは、その一部始終を真剣な表情で眺める。


「照準合わせに時間をかけすぎではあるが…随分とコントロール力が改善されたな」

「ありがとうございます」

「手合わせの方も動きは悪くないが…やはり基礎が抜けている分、随分と粗が目立つ。はっきりと言えば隙だらけだ」

「…申し訳ございません」


相変わらずストレートな物言いのユリウスからの指摘に、ソニアはつい俯いてしまう。

シュンと肩を落としたその様子に、ユリウスは小さく息を吐くと、そっと彼女の頭にポンッと手を乗せて言葉を続けた。


「とはいえ、今の状態はシュミットのこれまでの状況を考えれば仕方のないことだろうな。だが…俺の見立てでは、お前は基礎を固めれば間違いなく格段に伸びる」

「そうでしょうか…?」

「ああ、俺が保証しよう。ただし、これまで通り講義はきっちりと受けた上で、俺の個別指導にも何が何でも食らいついて来られれば…の話だがな」


そう語るユリウスを、ソニアは顔を上げてまっすぐに見つめ、コクリと頷く。


「…はい。日々精進いたします」


ソニアの返答に、ユリウスは満足気にフッと笑った。


「とりあえず、個別指導は原則夜19時からということにしておくか…。場所はここで構わないな?」

「はい、問題ございません」

「よし…シュミット、今日はもう寮に戻って休め。明日の夜、またここに来るように。指導内容はそれまでに考えておく」

「はい、何卒よろしくお願い申し上げます。では、本日はこれで失礼させていただきます」


ソニアはもう一度丁寧にユリウスに頭を下げ、訓練所を後にする。

去っていくソニアを見送ってから、ユリウスも自分の執務室に戻った。

執務室の扉を開けるとまだ残っていた隊員がおり、ユリウスは声をかける。


「ギルベルト…お前、まだ残っていたのか?」


ユリウスの部下であるギルベルト・ベルクマンは、少し驚いた様子でユリウスに目を向けた。


「ユリウス?お前こそまだ残ってたのか?他の奴ら、全員帰しちまったぞ…」


気まずそうに頭を掻くギルベルトを余所に、ユリウスは自分のデスク周りを片付け始める。


「今日の業務は完了しているからな、全員帰して問題ない。俺は訓練所に少し用事があっただけだ」

「はぁ!?訓練所ぉ!?」


ギルベルトは思わず声を上げてしまう。


「何だってあんなところに…学生棟のだよな?」

「そうだ。…実は、学生の個別指導を引き受けることになった」


予想もしていなかった言葉に、ギルベルトは目を見開く。


「何だ、その顔は…」


ユリウスが眉をひそめると、ギルベルトは目を丸くしたまま口を開いた。


「個別指導?お前が?…何かの冗談だよな?」

「…俺が冗談でこんな事を言うと思うか?」

「いや、思わねぇけどよ…」


ギルベルトはそう言いつつ、少し考え込みながら腕を組む。


「…お前、今まで学生の指導なんざ興味なさそうだったじゃねぇか。講義も無駄に厳しいしよ…一体全体、どういう風の吹き回しだ?」

「お前には関係ないだろう…」

「いや、あるだろ!?自分の弟子がどんな学生に目ぇつけたのかってのは、師匠としてはすこぶる気になるじゃねぇか」


ギルベルトはニヤッと笑い、その様子にユリウスは思わずため息をついた。


「…そういう理由なら話す気はないな」

「まあそう言うなって、個別指導についてアドバイスしてやるからよ。お前、こういうことには疎いだろ?」


ギルベルトからの提案に、ユリウスはふと考え込む。


(確かに、ギルベルトの言うことにも一理あるな…)


そう判断したユリウスは、デスクからソニアに関する資料を取り出すとギルベルトに手渡す。

ギルベルトは受け取った資料の最初のページを見て、再度目を丸くした。


「…顔で弟子選んだのか?」

「ギルベルト、お前な…」


少しムッとした表情のユリウスに、ギルベルトはついケラケラと笑ってしまう。


「ま、お前に限ってそれはねぇか。とはいえ、こりゃあ2重の衝撃だな。ユリウスが個別指導ってだけでも驚きなのに、まさかその相手が女子とは…」


ギルベルトは真剣な表情でソニアの資料を読み込んでいく。


「…なるほどな、例の特例措置で入った子か。…にしても、この子も大変だな。今年1年で、3年分の訓練課程の単位取る必要があんのか…」


ギルベルトはページをめくりながら、ユリウスに視線を向ける。


「んで?何でこの子をわざわざ弟子にしようと思ったんだ?大変そうだから…なんて理由じゃねぇんだろ?」


その問いにユリウスは一瞬考え込む。


(ギルベルト相手なら、別に構わないか…)


そう判断すると、ユリウスは素直に話を切り出した。


「敢えて理由をつけるなら…()()()()()()()()()、だろうな」


ユリウスのその言葉にギルベルトはハッと表情を変えると、資料内の成績欄のページを開く。

2年間の教育課程講義の成績と、ここ1ヶ月半の訓練課程講義の途中評価に目を通すと、深くため息をついた。


「なるほどな、そういうことか…」


ギルベルトはポツリとそう言うと、ユリウスの頭をくしゃくしゃと撫でる。


「よくやった。偉いぞ」

「…ギルベルト、それは止めろ」

「へーへー、わかったよ…」


ギルベルトは、フッと笑いながらユリウスの頭から手を退けた。


「…で、いつから個別指導始めるつもりだ?」

「シュミットには明日と伝えておいた」

「は?マジで?なら、今日のうちに指導方針決めとかねぇとマズイな…。嬢ちゃんの現状は?」


ユリウスは、現在のソニアの訓練での状況を詳しく説明する。

うんうんと相槌を打ってメモを取りながら真剣に話を聞いていたギルベルトは、ユリウスが一通りの話を終えると少し考え込んだ。


「なるほどな…となると、最優先は各学年での単位の取得か。残りの講義回数を考慮すると…まずは基礎を1週間みっちり叩き込むべきだな。1年の講義分の単位はそれで事足りるはずだ」

「1週間で何とかなるか…?」

「お前の話を聞いた感じだと、魔術も武術も人並み以上にこなせるポテンシャルはありそうだからな…多分問題ねぇ。無理そうなら、最長1週間半に延ばしとけ」


ユリウスはそう言うギルベルトの提案をしっかりとメモする。


「2年の分の単位に関しては試験対策をメインに置いて、3年の方は応用に比重を置いた方が良さそうだな。基礎が済んだら、その2つを半々で進めてみたらどうだ?」

「第2学年の試験対策か…講義概要を1度確認しておく必要があるな」

「傾向が変わってなけりゃ、1年の基礎を少し発展させた程度だからな…そう難しくねぇはずだ。もし変わってたら、そん時はまた考え直すぞ」

「わかった。…第3学年は応用だけで良いのか?」


そう尋ねるユリウスに、ギルベルトは少し呆れ気味に口を開く。


「あのな…3年の魔術講義はお前が担当だろ?基礎的なことなら、講義中に追加指導すれば良いじゃねぇか…」


ハッと気付いたユリウスは(言われてみれば…)と納得する。


「相変わらず、お前は自分が指導教官やってる自覚が薄いよなぁ…。まあお前の場合は、『学生を(ふるい)に掛ける』って面で重宝されてんだろうけどよ」

「悪かったな…」

「いや、別に(わり)ぃとは言ってねぇだろ…ま、もうちょい意識を変えた方が良いのは確かだけどな」

「…善処する」


ユリウスが素直にそう答えたのが意外だったのか、ギルベルトは一瞬目を見開いてからフッと笑う。


「…とりあえず、一旦はこれをベースにやってみな。わかんねぇことがあれば遠慮なく聞け」

「ああ。…すまないな、ギルベルト」

「良いってことよ。弟子が困ってる時に力を貸すってのも、れっきとした師匠の役目だぜ?」


ギルベルトがニッと笑ってそう言うと、ユリウスは真剣な表情で考え込む。

そんな彼の様子に、ギルベルトは思わず苦笑いしてしまう。


(ま、ユリウスが損得抜きで弟子のために動けるようになるかどうかは、特例措置の嬢ちゃんの成長ぶり次第だろうけどな…)


そう心の中で呟きつつ、ギルベルトはスッと席から立ち上がった。


「じゃ、俺はそろそろ帰るわ。ユリウスはどうすんだ?まだ残るのか?」

「そうだな…もう少し、指導内容を考えてみようと思う」


その返答に、ギルベルトはフッと笑って口を開く。


「そうか…まあでも、あんまり根を詰めんなよ。お前の最優先事項は通常業務なんだからな」

「ああ、わかっている」

「なら良し。じゃ、また明日な」


ギルベルトはそう言ってヒラヒラと片手を振りながら執務室を後にする。

執務室に1人残ったユリウスは、ソニアの個別指導の内容をあれこれと考え始めるのだった。

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