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《碧眼の花と緋の刃》軍に拾われた少女は、差別と陰謀の時代に抗い、愛を知る  作者: 伊太利ひなぎく
第1章

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第9話 後編《休日の邂逅②》


ソニアと共にレストランを出たユリウスは、軽く辺りを見回した。


「確か…例の店は、向こうの方だったはずだ」


その言葉にソニアはサッと時計を確認して口を開く。


「少し早そうな気もしますが、もう開いているでしょうか…?」

「微妙なところだが…閉まっていれば店先で待つとしよう。10分もすれば開くだろう」

「そうですね。それなら行きましょうか」


ソニアがそう返事をするとユリウスは店の方へと歩き始め、ソニアはその後を追った。


2人が店の前に辿り着くと、やはりまだ少し早かったようで入り口の扉は固く閉ざされている。

そのまま店先で開店を待つことにしたソニアたち。

ソニアがぼんやりと晴れた空を見つめていると不意にユリウスに腕を引かれ、つい驚きの声を上げてしまう。


「えっ?クロイツァー大尉──」

「少し黙っていろ」


ユリウスはそう言うとソニアを連れてすぐそばの路地に入り、大通りから彼女を隠すようにソニアの前に立った。

何事かとソニアがユリウスの後ろから僅かに顔を出すと、大通りの方から見覚えのある男3人が歩いてくるのが見える。


(あれって…さっきのナンパ男?)


そう思いつつ大通りをじっと眺めるソニア。

そんな彼女の様子に気付いたユリウスは、ソニアを自分の後ろに押しやり、小声で声をかける。


「ソニア、俺の後ろから一歩も出るな」

「す、すみません…」


ソニアはそう謝罪すると、大人しくユリウスの後ろに身を隠す。

ユリウスは男たちに気付かれないよう気配を殺し、3人が路地の前を通り過ぎて行くのを確認すると、路地から少し顔を出して彼らの姿が完全に見えなくなるのを待つ。

そこから念のためにその場で3分ほど待ってから、ソニアを連れて再度店の前に移動した。


「あの人たち、まだこんなところでうろついていたんですね」

「ああいう連中は、誰かが引っ掛かるまで声をかけ続けるからな…全くもって迷惑な奴らだ」


ユリウスはそう言いつつため息をつき、じっとソニアを見つめる。


「…ソニアは、交際するならきちんとした男を選ぶんだぞ?」

「えっと…まず無いとは思いますが、一応肝に銘じておきます」


苦笑いでそう告げるソニア。

そんな彼女を、ユリウスは少し不思議そうな表情で見つめる。


(ソニアなら、見た目だけでも言い寄って来る男が山ほどいそうなものだが…)


そう考えるユリウスの様子に、ソニアは首を傾げた。


「あの…何か?」

「いや、少し意外に思っただけだ。が、まだ16ともなればそんなものなのか…?」

「よくわかりませんが…世間一般では異なるのでしょうか?」


ソニアの言葉に、ユリウスは自身の中等教育学校時代を思い返す。


「…俺がお前くらいの頃は、周りの連中は『誰それと付き合った』だの『やっぱり別れた』だの…そういう話題で盛り上がっていることが多かったな。まあ、人によりけりだとは思うが…」


ユリウスがそう話すと、ソニアは何やら少し考え込んでいる様子を見せる。

ユリウスは思わず首を傾げた。


「ソニア、どうした?」

「いえ…やはり、私は周りとは色々とズレているんだなと改めて認識した次第です」


そんなソニアの発言に、ユリウスは小さく息をつく。


「お前の場合は仕方がないだろう。5年も飛び級してきたとなると、そもそも周りと話が合わなかったんじゃないか?」


その問いかけに、ソニアはコクリと頷く。


「…ご明察です。初等教育学校時代は、初めは皆さん興味津々で話しかけてこられたんですけど…結局は距離を置かれてしまいました。中等教育学校では初めから遠巻きにされていましたし、むしろ教諭陣も『(てい)のいいスケープゴートがいて助かる』といった感じで過ごしてきましたので、普通の学生生活というものがよくわからなくて…」


苦笑いでそう話すソニアの様子に、ユリウスはこれまでの彼女の学生生活に大体の想像がついてしまう。


(こいつ、想像以上に人生苦労してきたんだな…)


そう考えると、チクリと胸が痛んだ。


「…加えて軍大学でもあの状況、というわけか」

「はい…」


俯き気味にそう答えるソニアの頭をユリウスはくしゃっと撫で、ソニアは思わず視線を上げる。

ユリウスはそんな彼女の目を真っ直ぐに見つめながら、フッと笑みを浮かべた。


「…それなら、部隊実習の間に他人との関わり方もきっちり学んでおけ。少なくとも、俺たちはソニアのことを爪弾きにするようなことはないんだからな」


その言葉にソニアは一瞬目を丸くすると、少し嬉しそうな様子で微笑んで口を開いた。


「ありがとうございます、大尉」

「気にするな。俺はお前の師匠として、当たり前のことをしているまでだ」


淡々とそう言い切るユリウスに、ソニアは何となく心が暖かくなるのを感じる。


「…私、大尉のもとで学べて、本当に良かったです。今後とも、ご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願いいたします」


そう言って深々と頭を下げるソニアにユリウスは小さく吹き出してしまい、ソニアは何事かと首を傾げた。


「えっと…?」

「…すまない。相変わらず、ソニアはお堅いと思ってな」

「あっ…すみません。気を付けてはいるんですけど、つい…」


ソニアは気まずそうに頬を掻き、そんな彼女の様子にユリウスは小さく息をつく。


「まあ、他の上官相手にはそのくらいの態度をとっておいた方が良いからな…お堅いのが悪いわけじゃない。ただ、抜ける時に肩の力を抜いておけ」

「努力します…」


ソニアがそう言って苦笑いしたタイミングで店の鍵が開く音がし、ソニアたちは店の方に視線を向ける。


「…入るか」

「そうですね」


そう言ったソニアとユリウスは、揃って店内へと足を踏み入れるのだった。



───────

────

──


小1時間ほどして店を後にしたユリウス。

綺麗にラッピングされた酒瓶を2本抱えて隣を歩く満足気な様子のソニアに、ついフッと笑ってしまった。

それに気付いた彼女はペコリと頭を下げる。


「ありがとうございました、大尉。おかげ様でプレゼントの用意も間に合いました」

「礼は必要ない。…父親に喜んでもらえると良いな」

「はい。…あの、大尉」


ソニアはそう言うと、抱えていた酒瓶を1本ユリウスに差し出した。


「2本は重いか?それなら俺が両方持って──」

「あの、そうではなくて…この1本は大尉の分です」

「は…?」


ソニアからの思わぬ言葉に、ユリウスは呆気に取られてしまう。

そんな様子のユリウスを見たソニアは、少し慌てた様子で口を開く。


「えっと、今日1日大変お世話になったので、そのお礼と言いますか…」

「いや、礼をされるようなことは何もしていないぞ…」


ユリウスが少し戸惑い気味にそう言うと、ソニアはフルフルと首を横に振る。


「ナンパ男からも助けていただきましたし、お昼もご馳走いただいて…プレゼント選びにも付き合っていただいた挙句、お酒の購入代行までしていただきましたよ?」

「まあ、それはそうだが…」

「せっかく代理購入していただいたものを返すような形になってしまうのですが…お納めいただけますか?」


少し不安気にユリウスを見上げるソニア。

そんな彼女の様子に、ユリウスは軽く悩んだ結果、酒瓶を受け取ることにした。


「それなら、ありがたく頂戴するとしよう」


ユリウスがそう言うとソニアはホッとしたような表情を浮かべる。

その様子にユリウスはフッと微笑んだ。


「…お前は随分と義理堅いんだな」

「そうでしょうか?父から『きちんと礼は返しなさい』と言われてきましたので、こういうものなのかと…」

「話を聞けば聞くほど、お前の父親は随分と厳しい人間のように思えるが…」


頭を掻きつつそう言うユリウスに、ソニアは「そうなんです…」と苦笑いする。


「礼儀とか敬語とか…そういうことには特に厳しくて。子供の頃から、徹底的に躾けられてきました」

「ソニアが歳不相応な敬語を使うのはそのせいか…だが、警察の方はそこまで上下関係は厳しく無いだろう?」

「あ、えっと…」


ソニアはそう言うと黙り込んでしまい、そんな彼女の様子にユリウスはハッと表情を変えた。


(しまった、プライベートに踏み込み過ぎてしまっただろうか…)


そう考えたユリウスは、話題を変えようと口を開く。


「…それで、この後はどうするんだ?実家か寮に帰るなら送っていくが…」

「父と時計塔前で待ち合わせをしているので、このまま向こうで待とうかと考えています」

「なるほどな…何時くらいになるんだ?」

「えっと…」


ソニアはそう言いながら時計を確認する。

時刻はいつの間にか16時を過ぎており、(そろそろ向かった方が良さそうね…)と考えつつユリウスに向き直った。


「夕方頃の待ち合わせ予定なので、今から向かおうかと…」

「…それなら、待ち合わせ場所まで送ろう」


ユリウスの提案に、ソニアは即座に首を横に振る。


「いえ、流石にそこまでお世話になるわけには…!」

「あのな…お前を1人にしておくと、また妙な連中が寄って来るだろう。お前の父親が来るまで付いててやる」

「でも──」

「行くぞ」


ユリウスはそう言うとスタスタと歩き出してしまい、ソニアはどうしたものかと考え込みながら彼の後に続くのだった。



10分ほど歩くと時計塔の前に辿り着き、ソニアは少し焦った様子でユリウスに声をかける。


「あの…本当に1人で大丈夫です!父もすぐ来ますから…!」


ソニアの様子にやれやれと息をつくユリウス。


(別に、こうも焦らなくても良いだろうに…)


そう思いつつ、ソニアに向き直って口を開く。


「駄目だ。その少しの間が命取りになることもあるからな」

「ですが、これ以上大尉にご迷惑をおかけするわけには──」


そんな彼女の言葉を遮るように、低い男性の声が聞こえてきた。


「ソニア、待たせたな」


その声にソニアの顔がサッと青ざめる。

そんな彼女の様子に、ユリウスは何事かと声の方へと振り返った。

目の前に立つ人物に、ユリウスは思わず目を見開く。


「メーゲンブルク中将…?」


そう声をかけられたルーファスも、目を丸くしてユリウスを凝視した。


「は…?クロイツァー大尉…?何故お前がこんなところに…」


そう言うルーファスは思わずソニアの方へと視線を向ける。

少し顔を青くさせながら、ユリウスとルーファスを交互に見つめるソニア。

そんな彼女の様子に、ルーファスは思わず頰を掻く。


(どうも、俺は最悪のタイミングで合流してしまったらしいな…)


何となくの状況を察したルーファスは、ため息まじりに口を開いた。


「さて…どうしたものか…」


ルーファスは気まずそうに頭を掻きつつそう呟くと、ソニアとユリウスを交互に見やる。


(こうなった以上、きちんと説明するしかあるまい…)


そう判断したルーファスは、ソニアとユリウスに声をかけた。


「…2人とも、付いて来なさい」


その言葉に、ソニアとユリウスは無言でルーファスの後に続くのだった。



───────

────

──


自宅にソニアたちを連れて来たルーファスは、2人をリビングのソファに腰掛けさせた。

キッチンで2人分のコーヒーと1人分の紅茶を用意し、リビングへと戻る。

それぞれの前に飲み物を置くと、自身もコーヒーを片手に2人の正面に腰を下ろした。


ルーファスがコーヒーのカップに口を付けると、ソニアとユリウスもぎこちない様子でそれに倣う。

しばらく様子を伺っていたルーファスは、意を決して口を開いた。


「どこから説明したものか…」


そう言うルーファスに、ユリウスは恐る恐る声をかける。


「あの…ソニアは中将のご息女、という認識でよろしいのでしょうか…?」


ちらりとソニアに視線を向けつつそう言うユリウスに、ルーファスはコクリと頷く。


「…そうだ」

「ですが、2人は苗字が──」

「当然だろう。ソニアは偽名で入学しているからな」

「は?偽名ですか…!?」


ユリウスは目を丸くしてそう言うと首を傾げる。


「何故、わざわざそんなことを…?」

「理由はいくつかあるが…最大の理由は、ソニアを上層部のいざこざに巻き込まんためだ。幹部連中が教会派の連中と小競り合いしていることは、大尉も知っているだろう?」

「小競り合い…」


ユリウスはそう呟くと(以前、ギルベルトがそんな話をしていたな…)と思い返す。


「教会派の人間にソニアを利用されないため、ということですか…」

「早い話がそういうことだ」


ルーファスはそう答えると、ソニアに視線を向ける。


「…ソニア、お前は俺と大尉の関係性に気付いていたのか?」


そう問われたソニアは小さくコクリと頷く。


「この間、部隊実習の調査書のサインを見て…そこで、父さんが大尉の直属の上官だって知ったの」


そう言うソニアの言葉に、ユリウスは思い出したように口を開く。


「なるほどな。あの時ソニアの様子がおかしかったのは、そういうことだったのか…」

「はい…。あの時点でお話しするかどうか悩んだのですが、父がまだ大尉に話してない以上は、私から言うべきでは無いと判断しまして…」


ソニアはそこまで言うと、ユリウスに深々と頭を下げた。


「大尉…黙っていて、申し訳ありませんでした」

「いや…ソニアが謝罪することじゃないだろう?事情があったなら仕方がない」


ユリウスはソニアの頭にポンッと手を置きつつそう答えると、ふと何か気付いたような表情で彼女をじっと見つめる。


「ひょっとして…中将がわざわざ俺を第3学年の指導担当に推薦されたのは、ソニアがいたからか…?」

「えっ…?どういうことですか?」


驚いた様子でそう言うソニアに、ユリウスは頭を掻きつつ答える。


「俺は、基本的に第1学年の魔術訓練課程の担当なんだ。何故か今期は第3学年の担当で、どういうことなのかと疑問には思っていたんだが…」


そう言うユリウスの言葉をルーファスは気まずそうに頰を掻きながら聞いており、その様子にソニアは少し呆れ気味に口を開いた。


「父さん…そういうのって、職権濫用に当たるんじゃないの?大丈夫なわけ?」

「…あの学年は、大尉の指導を受けたことが無かったからな。特に怪しまれんだろう」

「では、やはり中将は…」


そう言うユリウスに、ルーファスは申し訳なさそうな表情で向き直る。


「すまんな、大尉。お前くらいの指導でなければ、ソニアが1年で士官養成課程に進むのは無理だろうと判断したんだ。大尉の指導についていけんようなら、ソニアも所詮はそこまでだった…という証明にもなるしな」

「自分が学生の(ふるい)掛け要員であることは自覚しておりますので、その辺りは問題ありませんが…」


ユリウスはそう答えつつちらりとソニアに視線を向け、彼女は小さくため息をつきながら口を開いた。


「父さん…まだ私が軍で働くことに反対だったのね」

「当たり前だろう…大事な1人娘が従軍なんざ、父親としては心配しかない。お前が現場に出ることを避けたくて、技術班にも就ける工学部を敢えて選ばせたんだが…」


ルーファスはそう言いつつユリウスに目を向け、ため息まじりに言葉を続ける。


「大尉、お前ソニアの本配属も検討しているのだろう?」


その問いかけに、ユリウスは気まずそうに口を開く。


「その辺りに関しては以前お伝えした通りなのですが…申し訳ございません、そんな事情があるとは露知らず…」

「いや…向こうでのソニアの状況を聞く限り、致し方なしといったところだからな…」


ルーファスはそう言うと、ユリウスに頭を下げた。


「ソニアが世話になったな、礼を言わせてくれ。大尉さえ良ければ、これからも(ソニア)をよろしく頼む」

「中将…」


ユリウスはそう呟くと、少し考え込んでからルーファスに向かって一礼する。


「…承知いたしました。自分でよろしければ、引き続きソニアをお預かりいたします」


そう言うユリウスの言葉にルーファスうんうんと頷くと、ソニアに疑問を投げかける。


「それにしても…ソニア、何故あんな所で大尉と一緒にいたんだ?お前たち、2人で出かけるような仲だったのか?」

「父さん…私にそういう気がないことくらい、わかってるでしょ?実は…」


ソニアが一通りの説明をすると、ルーファスは深く肩で息をつく。


「なるほどな、そういうことか…」


そう言ったルーファスは、苦笑いしつつユリウスに向き直った。


「休みの日にまで、この子のお()りをさせてしまってすまんな、大尉」


その言葉に、ユリウスは素早く首を横に振る。


「いえ…あの状況で彼女を1人放置しておくのは、自分としても流石に気が引けましたので…」


少し気まずそうにそう告げるユリウスの言葉を聞きながら、ルーファスは呆れ顔でソニアに目を向けた。


「ソニアもソニアだ。もう少し、服装だの何だのには気を付けんか」

「そんなこと、私に言われても困るわよ…。私がそういうのが苦手だってことは、父さんが1番よく知ってると思うんだけど…」


少し口を尖らせてそう言うソニアに、ルーファスは気まずそうに頭を掻く。


「まあ、そこは否定せんが…」

「それに、この服って父さんから貰ったものよ?着ちゃダメなような服、プレゼントしないでよね…」

「…すまん、そこに関しては俺も悪かったな」


申し訳なさそうにそう言うルーファスを、ユリウスはじっと見つめる。


(仕事に厳しい中将も、養子とはいえ1人娘には随分と弱いんだな…)


そう意外に思うユリウスの様子に、ソニアは首を傾げた。


「…大尉?」

「いや…ソニアは随分と可愛がられているようだと思ってな」


ユリウスはそう言うと、スッとソファから立ち上がってルーファスに向き直る。


「…中将、一通りの事情は伺えましたので、自分はそろそろお暇させていただきます」

「そうか?もう少しゆっくりしていってくれて構わんぞ?」

「いえ…流石に親子水入らずを邪魔するほど、野暮ではありませんから」


苦笑いでそう告げたユリウスは、隣のソニアに視線を向ける。


「ソニアはしばらく実家でゆっくり過ごせ。わかったな?」

「はい。…今日は本当にありがとうございました」

「礼は必要ない。…また休暇明けにな」

「承知いたしました。大尉、お気を付けて」


その言葉にユリウスがコクリと頷くと、ルーファスはユリウスを玄関まで送っていき、ソニアもその後に続く。

ユリウスは一礼するとメーゲンブルク宅を後にし、ソニアとルーファスはその姿が見えなくなるまで見送ると、揃って室内に戻った。


リビングに置かれていた酒瓶を、ソニアは改めてルーファスに差し出す。


「父さん、誕生日おめでとう」


そう言われたルーファスは、プレゼントを受け取りつつ表情を緩ませる。


「全く、お前は…。だが、良い師に恵まれたな」


静かにそう呟くルーファスに、ソニアは微笑みながら小さく頷くのだった。

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