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《碧眼の花と緋の刃》軍に拾われた少女は、差別と陰謀の時代に抗い、愛を知る  作者: 伊太利ひなぎく
第1章

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第8話 後編《馴染む場所②》


出された2人分の定食の片方をソニアに持たせ、ユリウスはキョロキョロと辺りを見回した。


「クロイツァー大尉!こっちです!」


その声の方に振り返ると、ユリウスたちに向かって手を振るシュテファンの姿が目に入る。

ソニアを連れて彼らと合流したユリウスは、ソニアと共に揃って席に着く。


「遅かったっすね」


ヴェルナーの言葉に、ソニアは頭を下げた。


「申し訳ございません、私がもたついてしまったもので…」


そう告げるソニアに、ラルフは素早くフォローを入れる。


「あはは、仕方ないよ。ソニアちゃん、こっちの食堂初めてでしょ?」

「お、大尉と同じのにしたんだな。それ結構美味いんだぜ?」


ワイワイとそう話すギルベルトたちの横で、シュテファンが人数分のカップに何やら飲み物を注いでいる。


(中身は何なのかしら…)


そう思うソニアに、シュテファンはカップを手渡した。


「これ、ソニアさんの分です」

「あ、はい。ありがとうございます…」


よくわからないままカップを受け取るソニアを見て、ギルベルトはフッと笑うと口を開く。


「んじゃ、今日は嬢ちゃんのプチ歓迎会ってことで。ジュースで(わり)ぃが、とりあえず乾杯しようぜ」


ギルベルトがそう言うと5人全員がカップを掲げ、ソニアもおずおずとそれに倣った。

珍しくキョトンとした表情を見せるソニアが微笑ましく、ユリウスたちは思わず頰を緩ませてしまう。


「…ソニア、いつものポーカーフェイスが剥がれているぞ」

「あ…申し訳ございません」


ユリウスの言葉に、ソニアはスッと表情を消していつもの無表情に戻ってしまう。

そんな彼女の様子に、ユリウスは気まずそうに頰を掻いた。


(そういうつもりじゃなかったんだが…)


そんなユリウスの心中を察したシュテファンは、ソニアに声をかける。


「別に、謝る必要なくないですか?ソニアさんの歓迎会なんですし、もっと楽しそうにされて良いんですよ?」


そう言われたソニアは、戸惑いがちに口を開く。


「えっと…そもそも、歓迎会を開いていただく理由がよくわからないのですが…これはどういう状況なのでしょうか?」

「状況も何も、そのままの意味だって…。ソニアちゃんの仮配属を歓迎する会!」


ヴェルナーの言葉にソニアは理解できないといった表情で首を傾げ、その様子にラルフは苦笑いする。


「何というか…ソニアちゃんって色々ズレてるよねぇ…」

「…自覚はございます。申し訳ありません」


そう言って俯いてしまうソニアの様子に、ギルベルトはユリウスを肘で小突き、コソコソと声をかけた。


「ユリウス、部隊長だろ!この空気何とかしろよ…」

「俺にそう言われてもだな…」


そう言いつつも、ユリウスはじっとソニアに視線を向ける。


「…ソニア」


ユリウスの呼びかけに、ソニアは少し顔を上げて彼と目を合わせた。

それを確認したユリウスは、言葉を続ける。


「ヴェルナーも言った通り、これはお前の仮配属を歓迎するためのものだ。仮配属とはいえ、ウチに所属する以上は俺たちの仲間になったということだからな」

「仲間…」


何やら考え込みながら無言になってしまうソニア。

そんな彼女の様子を伺いつつ、ユリウスは頭を掻いた。


(どう話をしたものか…)


そう悩みつつも、ユリウスは再度口を開く。


「…簡単に言えば、俺たちは全面的にソニアの味方だということだ」

「味方、ですか…?」


怪訝な表情を浮かべるソニアに、ユリウスは小さく頷いた。


「そうだ。お前がまだ俺たちのことを信じきれないのは理解できるし、信じられるようになるまでいくらでも疑ってもらって構わない。…だが、必要な時に手を伸ばせば、俺たちがいるということだけは覚えておけ」


予想だにしなかったユリウスの言葉に、ソニアは思わず目を見開く。


「お前が困難な状況に陥っていれば俺たちも共に立ち向かう。理不尽な目に遭っているのなら、それを跳ね除けるための協力は惜しまない。何故なら、俺たちはお前の味方であり仲間で──」


そこまで言ったユリウスは突然言葉を切り、不意を突かれたように目を目開いてソニアを見つめた。

ユリウスが真剣に話すのをじっと眺めていたギルベルトも(ユリウスがあんな顔するなんざ珍しいな…)と思いつつソニアに目を向け、驚きの声を上げる。


「嬢ちゃん!?大丈夫か!?」


ソニアは目を丸くしたままポロポロと涙を流しており、ギルベルトの言葉に少し動揺したように口を開いた。


「…あれ?私、何で……?ぐすっ…ひっく」


涙を止めようと必死に目を擦るソニアの様子に、他の隊員たちも慌て始める。


「ソ、ソニアちゃん、とりあえず落ち着こう。ね?」

「いや、サヴォイア曹長が落ち着いてくださいよ…!」


オロオロとするラルフに、思わずシュテファンがツッコミを入れ、その様子にソニアは震える声で口を開く。


「すぐ止めます…。ぐすっ…少し、お待ちください…ひっく…」

「あー…こりゃしばらくはこのままな感じっすよ、多分…」


ヴェルナーが頭を掻きつつそう言うと、ユリウスは少し考え込んでから席を立つ。


「…お前たちは、昼飯を済ませてから戻ってこい。ソニア、行くぞ」


ユリウスは泣き続けるソニアの手を引いて、そのまま食堂を後にする。

その足で自身の執務室に戻ると、ソニアを休憩スペース内のソファに座らせた。


「…ソニア、大丈夫か?」

「…はいっ、ごめんなさい…ぐすっ…」


そう答えるソニアの涙は止まる気配がなく、ユリウスは突然のことに戸惑いつつも一旦彼女が少し落ち着くのを待つことにする。

こういう時にどうすれば良いのかよくわからないユリウスは彼女の横に腰掛けると、静かに泣き続けるソニアの背中を少しぎこちない動きでそっと撫でた。


(こいつ、やはり声を押し殺して泣くタイプなのか…)


そう思ったユリウスは、なるべくキツイ言い方にならないよう言葉を選びながらソニアに声をかける。


「ソニア、泣く時くらいは自分の好きに泣いたらどうだ?無理に声を抑える必要はないんだぞ?」

「ですが…ぐすっ…」

「…どうせここには今俺しかいないんだ。遠慮する必要はない」


ユリウスがそう言うと、彼を見上げていたソニアは目にいっぱいの涙を溜めて、バッとユリウスにしがみついた。


「おい、ソニア…!?」

「大尉っ…私……うわぁぁん!」


ソニアはそのまま声を上げて泣き出してしまう。

抱きつかれるとは思ってもみなかったユリウスはソニアの突然の行動に驚きつつも、じっと彼女の様子を伺う。

激しく泣き続けるソニアは、いつもよりも随分と幼く見えた。


(これが、本来の年相応なソニアの姿なのかもしれないな。いつも、どれほど自分を抑えて過ごしていたのか…)


ユリウスは彼女の頭を優しく撫でつつ、そう考え込むのだった。


しばらく経ち、少し落ち着いた様子のソニアの顔を覗き込みつつ、ユリウスは彼女に声をかけた。


「…ソニア、少しは落ち着いたか?」

「はい…すみませんでした。お見苦しいところを…しかも、大尉の制服まで汚してしまって…」


申し訳なさそうにそう言うソニアの言葉に、ユリウスは自分の胸元に目を向ける。

彼の制服はソニアの涙でぐっしょりと濡れており、思わず苦笑いしてしまった。


「気にするな。この程度、乾かせば良いだけのことだ。それに…人間、泣きたい時は泣くのは当たり前だからな。見苦しくも何ともないだろう?」

「ですが、この歳になってこうも大泣きするなんて…」


少し恥ずかしそうな様子で俯くソニアの頭に、ユリウスはそっと手を乗せる。

それに反応してふと顔を上げるソニアと、ユリウスはしっかりと目を合わせた。


「…恐らくだが、お前も限界だったんじゃないか?日頃から苦労しているようだったしな」

「そうでしょうか?苦労しているつもりはないのですが…」


ソニアの言葉に、ユリウスは思わず眉間に皺を寄せる。


「お前な…軍大学でのあの状況、苦労していないはずがないだろう。全く…ソニアは、もう少し自分のことを労ったらどうなんだ?」

「自分のことを労る…ですか?」


よくわからないというような表情でそう言うソニアに、ユリウスは小さくため息をつく。


「前々から疑問に思っていたんだが…お前、そんなに抑圧された環境で育ってきたのか?ソニアの生き方自体が、自分を押し殺しているように感じるぞ」


ユリウスの言葉に、心当たりのあるソニアは俯いて黙り込んでしまう。

そんな彼女の様子に、ユリウスは思わず腕を組む。


(…やはり、家庭環境にも難ありというわけか。こいつは相当な苦労人らしいな…)


そう納得しつつ、ユリウスは話を切り出した。


「一応確認だが…親から虐待されてはいないな?万が一そういう事実があるならば…お前が未成年である以上、俺には通報する義務がある」


そんなユリウスの言葉に、ソニアは素早く首を横に振って否定する。


「いえ、そういったことは一切ございません。むしろ、父には良くしてもらっております」

「…他の家族からの扱いは、そうでもないということか?」


ユリウスの問いに、ソニアはどう答えるべきなのか悩んでしまう。

ちらりと顔を上げると、ユリウスは真剣な表情でソニアのことを見つめていた。


(…この人は、本気で私なんかのことを心配してくださっているのね)


そう判断したソニアは、素直に自分の身の上を話すことにする。


「…父子家庭ですので、他の家族はおりません」


ソニアの言葉に、ユリウスは僅かに目を見開いた。


「そうだったのか…?すまない、立ち入ったことを聞いてしまったな…。だが、それなら尚更、自分を押し殺すような生活をする必要もないだろう?」

「その…私は父の養子なので、日頃から可能な限り父には迷惑をかけたくないと考えて生活していたものでして…」

「は…?」


予想外の事実に、ユリウスは思わず驚きの声を上げてしまう。


(つまり…ソニアは家の外では爪弾きにされて、家庭では養父を気遣って自分の境遇を伝えられない、という環境で育ってきたのか…)


そう考えつつ、ユリウスはソニアに向き直る。


「…なるほどな、そういうことであれば納得がいく」


そう言ったユリウスは、ソニアをじっと見つめながら腕を組んだ。


「…長年、1人で抱え込んでがむしゃらに生きてきたわけか。どおりで、人付き合いだの何だのが極端に苦手なはずだ」

「申し訳ございません…」

「ソニアが謝罪する必要はない」


そう答えつつも、ユリウスは考え込む。


(…とはいえ、その生き方は変えていくべきだろうな)


そう判断したユリウスは、ソニアの目をまっすぐに見つめる。


「…もし、居場所が必要だというなら、お前の居場所はここにある。助けが必要な時は、いつでも俺たちがここにいる。今まで辛かったな…だが、もう大丈夫だ。ソニアが望むなら、俺たちは必ずお前の力になる。これからは遠慮なく頼れ」


そんなユリウスの言葉に、ソニアの目に再び涙が溜まっていく。


「大尉…ぐすっ…」

「おい、また泣くのか…?」

「も、申し訳、ございません…ひっく…。止めたいのにっ、止まらなくて…」


そう言いながらポロポロと涙をこぼすソニアに、ユリウスはやれやれと口を開く。


「…無理に止める必要もない。今日くらい、気の済むまで泣いたらどうだ?」


そう言ってソニアの頭をくしゃくしゃと軽く撫でると、ソニアは再び声を上げて泣き出してしまう。

ユリウスはそんな彼女の隣で、再びソニアが落ち着くのを待つのだった。


そのまま泣き続けていたソニアだったが、泣き止んだ頃には何だかスッキリしたような気分になっていた。

そんな彼女に隣のユリウスが声をかける。


「ソニア、もう良いのか?」

「えっと…散々泣いたと思うのですが…」


恥ずかしそうに顔を赤らめてそう言うソニアに、ユリウスは思わずフッと笑ってしまう。


「泣いたり照れたり…今日のソニアはよく表情が変わるな」

「申し訳ございません。不愉快でしょうか…?」


そう言うソニアに、ユリウスはやれやれと口を開く。


「お前な…そんなわけないだろう。その時の気持ちで表情が変わるのは、ごく自然なことだ。全く…ソニアは周りに変に気を遣い過ぎだな」


ユリウスはそう言いつつ、ソニアの背をポンっと軽く叩いた。


「すぐに直せとは言わないが…俺たちの前ではもう少し肩の力を抜け。敬語だって、そこまで堅苦しくする必要もないんだぞ?」

「…はい、わかりました」


その時、執務室のドアがそっと開く音が聞こえ、ソニアはふと顔を上げる。

少しの間の後、ギルベルトたち4人が休憩スペースの入り口から顔を覗かせ、ソニアはバッと立ち上がって頭を下げた。


「すみませんでした。せっかく歓迎会を開いていただいたのに…」

「別に誰も気にしちゃいねぇよ。安心しな、嬢ちゃん」


ギルベルトにそう言われたソニアは、涙の痕が残る頰を押さえながら小さく息を整える。

その横で、ヴェルナーが一枚の紙切れをユリウスに手渡す。


「大尉にはこれ渡しときますんで」

「何だ…?」

「領収書っすよ。今日、大尉の奢りって話だったのに途中で退散されちまったんで…とりあえず俺が立て替えときました」

「すまないな。すぐに返そう」


そう言ってポケットから財布を出して何枚か紙幣をヴェルナーに手渡すユリウスを横目に、ラルフはソニアに小さな箱を差し出した。


「これ、ソニアちゃんの分のお昼ね。食堂のおばちゃんに詰めてもらったからさ」


そう言うラルフから昼食の入った折り詰めを受け取ると、グゥ…とお腹が小さく鳴ってしまい、ソニアは思わず顔を赤くする。


「あはは、とりあえず食べなよ。お腹空いてるでしょ?」

「はい、いただきます」


そう答えたソニアは、折り詰めに入った定食をユリウスと揃って口に運ぶ。


「ま、嬢ちゃんたちはゆっくり飯食ってな。俺らは仕事の準備でもしとくか」


ギルベルトはそう言うと、他の隊員たちと共に一旦休憩スペースを後にして執務スペースの方へと戻っていった。

そんな彼らを見送ったソニアは、再度昼食を頬張り始める。


「…学生食堂のものとは、味が全然違うのですね」

「向こうは、どちらかというと味より量や安さ重視だからな…美味いか?」


ユリウスは優し気な表情でソニアにそう問いかけ、彼女はコクリと素直に頷く。


「…はい、美味しいです」


ユリウスの表情につられたのか、穏やかに微笑んでそう答えたソニア。

ユリウスはそんな彼女を驚いたような表情で見つめ、ソニアは何事かと首を傾げる。


「大尉、どうかしましたか?」

「いや…お前が笑ったから少し驚いてな…」


ユリウスの言葉に、ソニアは思わず目を丸くした。


「えっ…?私、笑ってました?」

「ああ…。だが、笑うというよりは微笑むという方が正しいか?いや、微笑むのも笑うのも同じか…」


首を傾げながらそう言うユリウスの様子が何となくおかしくて、ソニアはついクスクスと笑ってしまう。

そんなソニアの様子に、ユリウスはフッと微笑みながら彼女をじっと見つめた。


「えっと…大尉?」

「…ソニア、俺たちの前ではいつものポーカーフェイスは止めて、普段からもっとそういう風に感情を表に出したらどうだ?」

「…努力してみます」


ソニアがそう答えると、ユリウスは再び昼食を口に運ぶのだった。


しばらくして昼食を食べ終えたソニアとユリウスは、揃ってユリウスの淹れた紅茶を飲んでいた。


「ソニア、あれで足りたか?」

「はい、十分です。久々にお腹いっぱい食べました」


満足気にそう言うソニアの言葉に、ユリウスは首を傾げる。


「まさかとは思うが…変なダイエットでもしているんじゃないだろうな?その歳で無理な減量は良くないぞ?」

「いえ、いつもは食費をやりくりしながら…というだけなので、ダイエット等ではありません」


ソニアの説明に、ユリウスは怪訝な表情を浮かべた。


「やりくり…?軍大学では毎月手当が出ているだろう?実家から仕送りをもらっている学生も多いはずだが…」


そう言われたソニアは、少し気まずそうに頰を掻きながら口を開く。


「私、仕送りしてもらっていないんです。『親に頼らず全部自分で何とかする』という条件で、入学を許可してもらったもので…。なので、お金がない時はたまに食事を抜いています」


ソニアの説明に、ユリウスは深くため息をついてから真剣な表情で彼女に向き直る。


「…ソニア、食事は絶対に抜くな。軍人は身体が資本なんだぞ?」

「それは私も理解しています。でも、無い袖は振れませんし…」


ユリウスの指摘にソニアがそう返すと、ユリウスは再びため息をつく。


「お前な…今後そういう時は俺に声をかけろ。飯くらい、いくらでも奢ってやる」

「…そこまでしていただくのは、流石に申し訳ないです」

「心配無用だ。弟子に奢るのも師匠の務めだからな」

「…承知いたしました。その時はお声がけさせていただきますね」


ソニアはそう言ってユリウスにペコリと頭を下げた。

そんな彼女の様子にフッと笑みを浮かべていたユリウスは、ふと表情を変えて口を開く。


「それにしても、随分と厳しい父親なんだな。むしろ、ソニアのことを思えばこそということか…?」


そんなユリウスの言葉に、ソニアはどう説明したものかと思考を巡らせながら話を切り出す。


「その辺りは何というか…色々と事情がありまして。入学を散々反対されたのも事実ですし…」

「まあ、1人娘が軍大学に入るなんざ、父親も心配して然るべきだろうな…。父親とは、きちんと連絡を取っているのか?」


ユリウスの問いかけに、ソニアは(最後に父さんに連絡したのって、いつだったかしら…)と記憶を辿る。


「最後に電話で話したのは、編入したすぐ後だったと思います。最後に会ったのは…確か、半年以上前だったかと」

「改めて聞くが…お前、父親と不仲なのか…?」


そう問われたソニアは、即座に首を横に振った。


「いえ…仲は良い方だと思います。ただ、私はここ2年以上寮生活ですし、父も仕事で忙しくしているのでなかなか会うタイミングもなくて」

「なるほどな…」


そう言ったユリウスは、少し考え込んでからもう一度口を開く。


「ソニア、来月は試験休暇があるだろう?せっかくだから、実家に帰ってみたらどうだ?」


その言葉に、ソニアは顎に手を当てて考え込む。


(確かに、休暇中なら外出許可も出やすいし…久々に帰ってみようかしら)


ユリウスの言葉に、ソニアはそう思い立つ。


「…それもそうですね。父に1度確認してみようと思います」

「そうしておけ。血の繋がりがなくとも、お前の大切な父親なんだろう?会える時に会っておいた方が良いと思うぞ」


ユリウスの言葉にソニアはコクリと小さく頷き、その様子にユリウスはフッと笑うのだった。

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