第6話 後編《師弟の距離②》
その後、2時限目の講義も無事に終えたソニアは、学生食堂の隅で1人ポツンと昼食を取っていた。
(言い訳はしたつもりだけど…シュヴァイガー大佐はまだ疑っていそうよね。3時限目か個別指導の時間に、大尉にきちんと報告しておかないと…)
そう考えつつ、ソニアは黙々と昼食を口に運ぶ。
食事を終えたソニアが茶を飲みながら一息ついていると、食堂の入り口の方に見知った人物の姿が見えた。
(あれって…)
ソニアは素早く食器類を片付けると急いで食堂の外に出て、その人物に声をかける。
「クロイツァー大尉?」
彼女に気付いたユリウスは、少しホッとしたような表情を浮かべた。
「シュミット…ここにいたのか」
「はい、昼食をとっておりました。何かご用でしょうか?」
「少しな…すまないが、このまま執務室まで来てくれるか?」
「承知いたしました」
そう答えつつ、ソニアな小首を傾げる。
(大尉がわざわざ学生食堂までいらっしゃるなんて、何か緊急事態かしら…)
疑問に思いながら、ソニアは先を歩くユリウスの後を追った。
執務室に辿り着いたユリウスは、ソニアを中に招き入れると軽く外を見回してから扉を閉める。
昼休憩中のためか執務室内はがらんとしており、ユリウスはソニアを休憩スペースへと促す。
そこにはギルベルトの姿もあり、ソニアはサッと一礼した。
「ベルクマン准尉、お疲れ様です」
「嬢ちゃん…良かった、何ともなさそうだな」
ギルベルトの言葉に、ソニアは何事かと隣に立つユリウスを見上げる。
「…今から説明する。とりあえず座れ」
「はい…」
そう促されたソニアはソファに腰掛け、ユリウスもそんな彼女のすぐ横に腰を下ろした。
「実は…2時限目の時間に、大佐から声をかけられてな。お前の魔術コントロール力が急に改善されたことを、不審に思ったらしい」
ユリウスの言葉に、ソニアは一瞬ハッと目を見開く。
(既に、向こうから大尉に接触していたのね…)
そう思いつつ、ソニアは講義の際にあったことを報告する。
「──以上が、今朝の講義でのやり取りです。この言い訳では、やはり苦しかったでしょうか…」
ソニアの説明を腕を組んで聞いていたユリウスは、小さく首を横に振った。
「いや…状況からして、それ以上の言い訳は通用しなかっただろう。俺からも、元々難ありだったコントロール力を集中的に鍛えたと念押ししておいた。が、半信半疑な様子だったな…」
「もう少し考えてから魔術を使用するべきでした。大尉にまでご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません…」
ソニアが頭を下げると、ユリウスとギルベルトは小さくため息をつく。
「嬢ちゃんは何も悪くねぇだろ?普通に講義受けてただけなんだからよ…」
ギルベルトは苦々しくそう言葉を吐き出すと難しい顔をして黙り込み、その様子にソニアは首を傾げた。
「准尉、どうかされましたか?」
「ちょっとな…。大尉、今ここで話しちまうか?」
ギルベルトにそう問われたユリウスは、誰もいない執務スペースの方をちらりと見やってからギルベルトに視線を戻す。
「…タイミングとしては、ちょうど良いだろう」
ユリウスはそう言うと、真剣な表情でソニアに向き直った。
「…大佐が、これほどまでにシュミットのことを注視する理由が気になってな。ギルベルトに少し調べてもらったんだ」
「調べる、ですか…?」
そう首を傾げるソニアに、ギルベルトは少し気まずそうに頭を掻きつつ口を開く。
「…今でこそ大尉の部下やってるけどよ、俺は元々諜報部所属だったんだよな」
「えっ…?」
思いもよらぬギルベルトの経歴にソニアが少し目を丸くしていると、彼は更に補足を入れる。
「大尉が独立部隊組むってなった時に、師匠って縁で向こうを抜けて付いてきたんだ」
その言葉に、ユリウスは小さく頷いて口を開く。
「その関係で、今でも調査周りはギルベルトに頼むことが多くてな…。今回もそれに倣った、ということだ」
「そうだったんですね…。准尉は何を調べられたのでしょうか?」
ソニアの問いかけに、ギルベルトは一瞬言い淀んでから話を切り出す。
「…碧眼についてだ」
その言葉に、ソニアは一瞬ドキッとしてしまう。
ギルベルトは、そんな彼女の目をじっと見つめた。
「大佐が嬢ちゃんのことを気にし始めたのは、その瞳の色がバレて以降だからな。何かあるんじゃねぇかと思って、ちょいと文献を引っ張り出させてもらった」
「…何かわかったのですか?」
ソニアの問いに、ギルベルトはコクリと頷く。
「テオリム教関連のかなり古い文献に載ってたんだが…碧眼を持つ人間は、本来魔術が使えないんだとよ」
ギルベルトの言葉に、ソニアは思わず目を見開く。
「魔術が、使えない…?」
そう声を上げながら、軽く混乱するソニア。
(えっ?でも、それが事実だとしたら…私はどうして…?)
そんな彼女に、ユリウスが声をかける。
「…お前が戸惑うのも理解できる。現に、シュミットは人並み以上に魔術を使えているからな」
「文献の記載自体が間違ってるって可能性も十二分にある。何せ、2000年近く前の文献だからよ」
「その可能性が高いような気もしますが…でも、何故わざわざテオリム教の文献を?」
ソニアの疑問に、ユリウスとギルベルトは顔を見合わせた。
ユリウスは一瞬足元に視線を逸らしてから、ソニアに向き直って口を開く。
「…軍や警察がテオリム教会と不仲なのは世間的にも有名な話ではあるが…シュヴァイガー大佐は、軍内でも数少ない『教会派』と呼ばれている人物だからな」
「教会派…」
ポツリと呟くソニアに、ギルベルトは補足を入れる。
「まあそう呼ばれてるってだけで、実際の業務なんかにはほぼほぼ影響ないんだけどよ。宗教の信仰は個人の自由でもあるしな。ただ…軍の上層部は国政にも関わるし、大佐たち教会派のことを警戒してんだよ」
「なるほど…」
その言葉にソニアは少し考え込んでから、ギルベルトに向き直った。
「准尉、その文献を見せていただくことは可能でしょうか?」
「おう。ちょうどまだ手元にあるぜ」
ギルベルトはそう言うとゴソゴソと1冊の古ぼけた書籍を取り出して、とあるページをソニアに見せる。
そこにはギルベルトの言っていた通り『碧眼を持つ人間は、術式展開ができず魔術が使えない』といった旨の文章が記載されており、ソニアは以前復習した魔術理論の基礎を思い浮かべた。
(『展開』ができないということは…『ネーベルを媒介として使用できない』もしくは『放出できる魔力が存在しない』のどちらかに当てはまるのかしら…?)
そう頭を悩ませつつ、口を開く。
「…確かに、准尉の仰る通りのようですね。肝心の理由は書かれていないようですが…他のページに記載があるのでしょうか?」
ソニアがそう言いつつ顔を上げてギルベルトに視線を向けると、彼は目を丸くしてソニアを見つめている。
何事かとソニアは首を傾げた。
「准尉?」
「…嬢ちゃん、ひょっとして古代語読めるのか?」
「はい。中等教育時代に一通り覚えました」
「こりゃ驚いたな…」
感心したようにそう言ったギルベルトは、少し考え込むと真剣な表情でユリウスに視線を向ける。
「…大尉、嬢ちゃんのことは俺が貰って良いか?」
「は!?」
突然のギルベルトからの申し出に、ユリウスは思わず驚きの声を上げる。
「いや、シュミットは俺の弟子だぞ?」
「それはそうなんだけどよ…古代語が読める人材なんざ、今時めちゃくちゃ貴重なんだぜ?」
そう言ってギルベルトはソニアに向き直る。
「なあ嬢ちゃん、大尉じゃなくて俺の弟子にならねぇか?」
「えっ…?」
いきなりそんな話を振られたソニアは、思わず内心一瞬狼狽えてしまう。
(…私に真剣に向き合ってくださったのは、他でもない大尉だもの。准尉も信頼に足る方だけれど…)
そう考えるソニアは、ペコリとギルベルトに頭を下げた。
「申し訳ございません、准尉」
ソニアはそう謝罪すると、ユリウスの方に向き直って彼の緋色の瞳をまっすぐに見つめる。
「…私は、クロイツァー大尉の弟子です」
はっきりとそう告げたソニア。
その言葉にユリウスはフッと満足気な笑みを浮かべ、ギルベルトに向かって口を開いた。
「…だそうだ。諦めろ」
「見事に振られちまったかぁ…ま、大尉がそんだけ良い師匠だってことだな」
ギルベルトの言葉にソニアはコクリと頷く。
「はい。とても尊敬できる師匠です」
ソニアからのストレートな褒め言葉にユリウスは少し照れ臭そうに頰を掻き、その様子にギルベルトはくっくっと笑う。
「そりゃあ、大尉も指導者冥利に尽きるってもんだ」
ギルベルトはそう言うとふと真剣な表情になり、ソニアとユリウスに向き直った。
「…とりあえず、話を戻すか。碧眼と魔術の関連性についてだが…どの文献にもそれ以上の記載はなくてよ」
「つまり、現状詳細については不明ということですね…」
「悪ぃな、そういうことだ」
ギルベルトは申し訳なさそうに頭を掻きつつそう答え、ソニアは少し考え込んでから口を開く。
「…私がすべきことは、何かありますでしょうか?」
「いや…シュミットは普段通りに生活していれば良い」
「だな。嬢ちゃんが今すべきなのは、各講義の単位をきっちり取っとくことだぜ。万が一、4年の士官養成課程と被ったらかなり厳しいからよ…」
「承知いたしました。ですが、もし何かお力になれることがありましたら、その際はお声がけください」
ソニアがそう言うとギルベルトはコクリと頷き、ユリウスはちらりと室内の時計に目を向けた。
「…そろそろ3時限目か。シュミット、移動するぞ」
「はい」
ソファから立ち上がるユリウスに倣ってソニアも席を立つと、ギルベルトに頭を下げる。
「准尉、色々とありがとうございました。私はこれで失礼させていただきます」
「おうよ。講義、頑張ってきな」
そう答えるギルベルトにソニアは素早く一礼し、ユリウスに続いて執務室を後にした。
「さて…俺も、お前の本来の実力を見せてもらうとするか」
「本来の実力と言いましても、コントロール力が多少改善された程度だと思いますよ?」
「どうだかな…」
そんな話をしつつ、講義室までやって来たソニアとユリウス。
揃って講義室に足を踏み入れようとすると、室内で既に待機していたソニアの同級生たちが、一斉に彼女に視線を向けた。
その視線にソニアは思わず立ち止まってしまう。
(私、何かしたのかしら…?)
ソニアがそう考えていると、彼女の背をユリウスがポンと軽く押す。
「シュミット、入らないのか?」
「あ、はい…」
そう答えつつソニアは講義室に入り、隅の方の空いているスペースに移動すると周りの同級生がヒソヒソ話している声が聞こえてくる。
「ねぇ…やっぱりあの噂ってホントなわけ?」
「さあな…でも、今一緒に講義室まで来たぞ?マジなんじゃねーの?」
一体何のことだろうかと思いつつ、ソニアはユリウスの方へと視線を向ける。
が、何も気付いていない様子のユリウスは、そのまま講義の開始を宣言するのだった。
30分ほどが経った頃、ソニアは講義室内前方に張り出されているトーナメント表に赤線を追加する。
ユリウスはこの日、実戦訓練の一環としてトーナメント戦を提案し、ソニアは3勝目を収めたところなのであった。
(次の相手は…)
次戦の相手を確認したソニアは、該当の男子学生の所へと歩み寄って声をかける。
「あの──」
「お前、何かズルしてんだろ?」
男子学生からのいきなりの言葉に、ソニアは首を横に振った。
「いいえ、私は何もしておりません」
「はあ?適当なこと言ってんじゃねぇよ。先週まで、魔術コントロールすらろくにできてなかったくせに」
「コントロールできるよう、自主鍛錬に努めたまでです」
相変わらず表情を変えず淡々とそう答えるソニアに、男子学生は次第に苛立ちを募らせる。
「1週間でそこまで劇的に変わるなんて、どう考えてもおかしいだろ!お前、鬼教官に取り入ってるんじゃねぇのか?」
「クロイツァー大尉には別途指導を賜っておりますが、特段取り入るといったようなことはしていません」
「…チッ。お前のことは、俺が徹底的に叩きのめしてやる…」
男子学生は舌打ちしつつそう言うと対戦フィールドの片方に移動して行き、ソニアもその反対側に立つ。
審判役の学生が開始の合図を出すより早く、相手はソニアに向けて一気に魔術を展開して放った。
(いきなり反則…!?)
ソニアはそう思いつつ、冷静に相手の放った魔術を分析すると、相殺するための魔術を素早く前方に展開して直撃を防ぐ。
それを面白くないと思ったのか、男子学生は間髪入れず再度複数の魔術をソニアに向けて放ち、ソニアも再度それを相殺した。
「…チッ」
男子学生はそう舌打ちすると、今度は中級魔術を展開させる。
「あの、ルール上は基礎魔術のみの使用──」
「うるせぇ!」
そう叫んだ男子学生が魔術を放ち、ソニアはそれを相殺すべく同じように中級魔術を展開しかけると、不意に腕を引かれて後ろによろけてしまう。
(えっ?このままじゃ倒れ──)
そう思ったソニアの身体は誰かの腕でしっかりと支えられ、その直後に彼女の目の前に上級魔術が展開される。
男子学生の放った魔術は、その上級魔術に完全に相殺された。
ふとソニアが顔を上げると、怒りを滲ませた様子のユリウスの顔が目に入る。
「…大尉?」
「シュミット、大丈夫か?」
ユリウスが自分の身体を支えてくれていることに気付いたソニアは、素早く体勢を整える。
「はい。ありがとうございます」
「…お前が怪我をしていなければ、それで良い」
ユリウスはそう言うと、ソニアの対戦相手に向き直った。
「…基礎魔術以外は使うな、というルールだったはずだが?」
「……」
ユリウスにそう言われた男子学生は、黙りこくったままソニアを睨みつける。
「…何が取り入ってない、だよ。やっぱりお前、教官のこと手玉に取ってるんじゃねぇか」
「仰っていることの意味がよく理解できないのですが…」
「現に今、大尉が割って入っただろ!」
そう言う男子学生に、ユリウスは深くため息をつく。
(こいつは何を言っているんだ…)
ユリウスは内心呆れつつも、男子学生をまっすぐに見据えながら口を開いた。
「実践訓練で学生がルール違反を犯せば、教官が止めに入るのは当然の道理だろう。講義で死傷者を出すわけにはいかないからな」
「…にしても、止めに来るのが早過ぎませんかね?」
「学生が怪我をする前に止めなければ意味がないだろうが…」
やや呆れ気味にそう言ったユリウスは、男子学生に鋭い視線を向ける。
「それとも何だ?お前は初めから、シュミットに怪我をさせるつもりでやり合っていたのか?」
その言葉に、男子学生はバツが悪そうにユリウスから視線を逸らす。
「…沈黙は肯定と受け取らせてもらおう。後で学年担当官には話をしておく。処分はザクセン中佐からの沙汰を待て」
そう言われた男子学生はギロリとソニアを睨みつける。
「そいつだって、中級魔術を使おうとしていました!俺だけ処分なんですか!?」
「シュミットの場合は正当防衛に該当する。処分対象外だ」
ピシャリとそう言い切るユリウスに、男子学生は返す言葉がないらしく、悔しそうに顔を歪めた。
言い争うユリウスと男子学生を見ていた周りの学生たちも、ヒソヒソと話し始める。
「あの鬼教官が庇うなんて…やっぱりあの子、教官たちに色目使ってるんじゃないの?」
「女を武器にするってか?あいつ、他の学年での中間評価も良いらしいし…ったく、真面目にやってる俺らが馬鹿みたいだよなぁ」
そんな言葉を耳にしたユリウスはキッと学生たちを睨みつけ、その視線と圧に彼らは震え上がる。
ユリウスがちらりとソニアに視線を向けると、彼女は少し俯き気味に黙ったまま立ち尽くしていた。
(こいつ…ひょっとして、今まで似たようなことを言われ続けてきたのか?)
そう察すると、学生たちに対する怒りが込み上げてくる。
ユリウスは、気まずそうに黙りこくる学生たちを一瞥して口を開いた。
「何やら勝手な勘違いをしているようだが…シュミットは、お前たちよりも何倍も真面目に訓練に励んでいるぞ」
ユリウスは真剣なトーンでそこまで言うと、ソニアの肩に軽く手を乗せて続ける。
「こいつは毎日のように訓練所で自主鍛錬を積んでいるが、俺が向こうでお前たちの姿を目にしたことはないからな。日々努力している学生の方が実力を付けるのは早い。指導教官が、そういう学生の方をより評価するのは当然の流れだろう」
ユリウスがはっきりとそう言い切ると学生たちは気まずそうに口を噤み、ソニアはちらりとユリウスを見上げる。
ふと彼と目が合うと、ユリウスは彼女に向かってフッと微笑んだ。
(…やっぱり、この人が『鬼教官』だなんて嘘だわ)
ユリウスの表情に、ソニアはそう結論付ける。
(大尉が厳しいのは確かだけど…これは、軍人になるにあたって必要な厳しさ。そもそも結果を出せばきちんと評価してくれるし、聞けば的確なアドバイスだってもらえる。指導教官としても…そして、おそらく上官としても、これほど頼もしい人物は、きっと他にいない…)
ソニアはそう考えつつ、同級生たちに視線を向けた。
彼らは反論できないのか黙りこくっており、それを一瞥したユリウスは再度口を開く。
「…同級生を妬む暇があったら、それを越えられるように各々努力したらどうなんだ?お前たちももう3年だ、これまでの2年間で積み上げてきたものが十分なのか足りないのかは、自分で判断をつけられるだろう」
ユリウスからの厳しいお叱りに学生たちは返す言葉もないらしく、講義室内が一瞬シンと静まり返る。
そんな学生たちに呆れつつも、ユリウスは言葉を続けた。
「…それすら判断できないようであれば、来年からの士官養成課程なんざ付いていけないからな。全員、気を引き締めろ」
ソニアの同級生たちは気まずそうに小さく「はい…」と答え、そんな彼らの様子にユリウスは深くため息をついた。
「…全員、トーナメント戦を再開しろ」
その言葉に学生たちはそれぞれの持ち場に戻って行き、ユリウスはソニアと対戦相手の男子学生に声をかける。
「お前たちのところは、反則行為によりシュミットの勝利とする。シュミットは次戦の相手を確認して来い」
「…承知いたしました」
ソニアはちらりと男子学生に目を向けてからトーナメント表の方へと駆けて行く。
ユリウスはそんな彼女の背中を見送ってから、講義室内を再びゆっくりと周り始めるのだった。




