表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者: ピチャ

 私の命の源は子である。

この子を育てる。そう思っていると、自分のすべてを絞り尽くして捧げなければいけない気がする。

それが責任というものか。

地方でのんびりと、責任とは無縁の生活を送ってきたが、どうもこれ以上生きるには子が必要なのだとか。

そりゃ、一人で生きていけない子の保護者は私になるでしょうよ。

可愛かろうが、可愛くなかろうが、そんなものは関係ないのだ。

この子を死なせたら、私の責任になる。

だから、生き延びさせる術を考える。

自分を削る。


 パートナーも私も、世間では優秀なほうだ。

この子も一定以上は優秀な子になるだろうから、本人が望めば、教育に投資しようと考えていた。


 そして月日が経った。

子育てにはお金がかかる。自分の収入だけではとうてい足りないことがわかった。パートナーの分も含めたって、十分な生活はできない。

世代間で金銭感覚は違うので、幸いにもお世話は親に手伝ってもらえるが、金銭面は自分たちで考えていくしかない。

子が成長すると、私は老いる。親も老いる。

若いうちに産んで、育てる。それしかない。安全策などとって後回しにしていたら、子どもを守る体力までなくなってしまう。

私自身への投資などもう考えられない。やるべきことをやって、必要最低限な中でできるだけ休むしかない。自分と子が生きるために。

子どもっぽい大人を相手にしている暇などない。育たないものは最低限で、育つものが最優先だ。

自分たちで何ともならないものは、お金を使うしかない。私が潰れるわけにもいかないのだ。

醜い姿を晒しても、子の成長と将来を守る。

そのために削れる私など些細な問題だ。

私は子のために生きなければならない。


 それなのに、ああどうして。

子どもは自分で死に向かってしまう。

私よりも早く死のうとする。

そんなのはだめだ。あってはいけない。

感情と思考を分離させる。

子を生かすために、私も社会の歯車となろう。

考えないことは愚かなことじゃない。必要ないことは考えない。

とにかく強く。強く。

生き残る強さを付けて、それを金にする。

大人とはそういうものだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ