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特に予定のない休日になってしまった。ここで級友に遊ばないかと気軽に問える性格だったら、俺にはまだ婚約者がいたのだろうか。どの角度からでもこの話に帰結するの困るな。
家にいると気が滅入るので特に当てもなく外出したが、今の俺の精神状態は思いの外荒んでいるらしい。目に映る誰も彼もが俺より幸せそうに見えて困る。
将来設計の全てが瓦解した今の俺に、ほっつき歩いている時間なんて無駄もいいところなのだけれど、どうも現実味がない。
まだヒルドに未練でもあるのか。無いと言うには長すぎた。
結局本屋で本を買って、目についた喫茶店でそれを読むという不毛な一日だった。『気弱侍女の恭しい面会』の一巻。新作らしいけど、過去作と比べて作風が落ち着いている気がする。作者の方に何か変化でもあったんだろうか。
家はまだ気まずい。特筆すべきことはない。