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俺とヒルドは婚約破棄という形になった。俺としてはあまり波風立てたくなかったので、解消のち兄貴と再婚約、というのが一番ありがたかったのだけど、ことが寝取りなだけにそうもいかなかったらしい。
最初から、兄貴に相手を変えたい、と言ってくれていれば、もっと平和だったんだろうな。
不貞を目撃した時は衝撃だったが、二日経った今ではもう大分吹っ切れている。我ながら切り替えの早いことだ。ヒルドはこういうところが気に入らなかったのかもしれない。
兄貴は自室に謹慎させられていて、昨日の話し合いの時以来姿を見ていない。お互いに何も言えないだろうから、これが正解なんだろうけど。
母さんは心労からか顔色が一日中悪いし、父さんも会うたびに溜め息吐いてる。
どうして当事者の俺が一番平気な顔をしてるんだろう。
なんでおじいちゃん帰っちゃったの。