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平和過ぎて不気味、というのは意外とそんなに珍しいものではなく、特に失踪していた父親が不審な帰宅を遂げた翌日にこうも何事も起こらないとなると、それこそ不気味と形容するしかない。
月曜に兄貴の元婚約者であるドロア嬢を訪ねたというのはそれこそ当然のように校内に広まっていて、以前ヒルドに疑われたことがまるで真実であるかのようになるのももはや時間の問題だろう。
それこそ、ドロア嬢に迷惑をかけた、と言えなくも無いが、それを謝るために再訪するというのも重ねて迷惑になる。
今日から学園に復帰した兄貴がどういう対応を受けたのかは知らないが、少なくとも俺は、露骨な腫れものに触るかのような対応を受けた。もし仮に俺とドロア嬢が結託していたのだとすれば、それ以上の醜聞はなく、関わることが自身の損にしかなり得ない。
元々最近は誰とも関わっていなかったので、変化なしといえばそうなのだが。
兄貴が俺の現状についてどう思っているのか聞いてみたくはあるが、それこそ殴り合い殺し合いに発展しても全然不思議ではないのでやめておく。
当時の兄貴の浮かれっぷりを思い返すと、疑いだけで殺されそうだ。




