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アッセクア家の長女からは結局逃げられなかった。広くはあるが、行動圏が限られている校内でいつまでも逃げ続けられると思っていたのが甘い考えだったんだろう。昼休みに図書室に向かっている途中であっさりと捕まった。
ドロア・アッセクアは思っていた以上に真人間だった。真面目さゆえか話し方が少し高圧的に聞こえるきらいはあったが、それ以外は極めて善人。勿論、猫を被っている可能性を完全に否定は出来ないが、あれが演技なら騙されていても自分を許せはする。
俺は兄貴の婚約解消がどういう経緯で起こったのかまでは知らなかったが、ドロア嬢の話では、アッセクアの現当主の独断で決まり、解消後初めて報告を受けた、ということらしい。
独断で決まり、独断で終わったと。
当人に何も言わずに解消するとか正気じゃないが、どうやら例の非嫡出子の話は一点の曇りもない真実らしいので、それを踏まえると納得のいく狂気具合ではある、かもしれない。
あの家から出るために兄貴と結婚したかった、という事情だったと言われても、それをすんなり鵜呑みにするのはなかなか難しいものがあるが。
俺を探していたのは、偶然耳にした兄貴の悪評は本当なのか俺に確認を取りたかったとのこと。それ次第で婚約解消が結果的に良かったのかどうか判断したいと言われて、気持ちは理解できるだけに拒否できなかった。
あと少しで浮気男と結婚することになっていたと言われたら、身内としての申し訳なさは少なからず湧いてしまう。
俺の婚約者と、というところは知らなかったそうで、死ぬほど気まずそうな顔で謝られて慰められた。知らなかったなら仕方ないし、俺としても別に気にしていない。
ドロア嬢とはそれだけで別れたが、問題は兄貴の浮気話がどこから漏れたのかということだ。これは本当に問題だ。このままどこからか漏れ続ければ、俺が家をでて自活するとかそれどころじゃすまない大問題になる。
流石にこれは父さんに報告せざるを得ないと思ったが、問題が起こったとかで午前に出かけ、帰りは明日かそれ以降になるそうだ。どんな問題でどこに行くのかを言い残していかなかったので連絡も出来ない。
なんでそんなに間が悪いんだ。
過去一番の長文になってしまった。
手が疲れたから寝る。




