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 特に何もない平和な一日ということにしたかったが、そういうわけにもいかない。腹立たしいことに。学園では特に何事も無かった。図書室で誘惑に負けて、普通に小説を読んでしまったことくらいしかなかった。

 問題は帰ってきたら俺の部屋の扉の下に紙が挟んであったことだ。なんと兄貴からの手紙だった。とりあえず破いてからどうするか考えようかと思ったが、今の兄貴が俺に何を言ってくるのかという嫌な好奇心に勝てなかった。俺は弱い。

 読んでみれば大したことは書いておらず、えらい短めの謝罪文が書いてあっただけだ。このページに挟んでおくが、将来的に破りたくなったなら破っても構わないとだけ書いておこう。

 しかし、昨日も書いたがもうことが起こってから半月が経過しているのに、今更こんなペラペラの謝罪をされても感じるところが無い。ああ、兄貴も反省したんだな、とかそういう前向きな印象を抱けない。

 むしろなんというか、厚かましいとすら感じる。心の整理がついたとか、そういう理由からの謝罪なのか何なのかはわからないが、それを手紙で済ませようとするなよ。

 俺に殴られてもいいと思って直接言いに来いよと思ってしまう。

 だから、俺はこの手紙の存在を誰にも話していない。当面話すつもりもない。婚約破棄についてはどうとも思っていないが、この態度には腹が立つ。

 謝罪の一つでもあれば、俺はとっくに許している。

 ヒルドのことは悪いと思っている。申し訳ない。

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