表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/59

2/11

 昔から俺のことをお兄さんと呼んでくるヘルデちゃんが突然押し掛けてきた。姉が迷惑をお掛けして申し訳ないと出会い頭に謝ってきたが、気にしないでいいから顔を上げてくれ、と言えなかった俺は器が小さい。迷惑は確かに掛けられたしな、と思ってしまった。

 ヘルデちゃんの話によると、アップリテル家は現在冷え切っているそうだ。原因は当然ヒルドで、俺を婿に迎えて跡を継ぐはずだったのに、逆にテアマット家に嫁入りすることになったことで計画は全てご破算。

 そうなるとヘルデちゃんが後を継ぐことになるので、その辺りでかなり揉めているとのこと。

 その話を現当主である父親から聞かされたのが昨日の夜で、謝りに来るのが遅れて申し訳ないと重ねて謝られた。干渉のしようも対策のしようもない妹が謝る理由も本来ないので、そこでようやく、気にしないでいいと言えた。

 そも、姉の浮気の責任など、まだ十四歳の少女にあるわけがないのだ。

 会うのが久しぶりだったこともあって、結局五時間ほど話し込んでしまった。お互いに婚約者のいない身の上だが、大目に見てほしい。

 兄貴がアップリテル家の親族からもかなり恨まれてるらしいとか、俺に新しい婚約者を紹介しようと企んでる人がいるらしいとか、ヒルドの肩身が本当に狭いらしいとか、聞いてるだけで胃もたれしそうな話題が多かったが、俺は最後までへらへらして、本当に言わなければならないことを言えなかった。

 俺はもう、ヘルデちゃんのお兄さんにはなれないのだと言えなかった。

 笑顔で帰りの車に乗り込むヘルデちゃんをただ見送った。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ