王の目覚め
読んで頂きありがとうございます。
とりあえず技能や能力値は誤魔化しておこう。
「して?どうであった?」
王様、、父さんが聞いてきた。
「僕はっ!!」
そこで本当に僕が貴方達の子供です!と言っても良いのか突っかかってしまった。この人達は真子供にそっくりなあの人を息子として大事に育ててきたのだろう。それをいきなり言って、信じてくれなければ僕はどうなる?
信じてくれたとしてもこの長い年月居なかった僕よりも彼をとるのではないか?なによりそうなった時が、、怖い。
そして、彼は気付いているのだ。僕が鑑定を弾きケイパーの名前が出た瞬間彼の顔が焦ったようになった。
僕が本当の事を言っても彼は阻むし殺そうとしてくるのは顔をみたら分かった。だけど彼はまだ僕が本当の子供だとは確信してない。なら、、、、波風を立てる事は無いか、、
僕はこの世界にも居場所が無かった。
「ん?どうしたナナシよ?」
「あ、いえ。何でもありません。八方さん?僕また体調が悪くなったから部屋に戻りたいんだ」
「大丈夫!?分かったよ!伝えるね!」
僕は部屋に戻り枕を濡らした。
僕は完全記憶のせいで同年代より達観して精神力は強いはずなのにな、、
次の日まだ体調が悪いと伝え、カーティルさんにこの世界の本を沢山持ってきてもらった。言葉が伝わらないのは本当に苦労した。
そして文字の意味や構成、発音を記憶していった。
その日の夜にはこの国の言葉はマスターした。
だけど怪しまれたくはないのでまだ話したりはしない。
ステータスについては他のクラスメイトの情報を八方さんに教えてもらい平均的な数字を伝え、職業は旅商人にし少ししたら旅に出たいと伝えて貰った。
そして、僕には妹がいて彼女は召喚のために犠牲になったと聞いた。どうやら魔力枯渇が原因みたいだ。
僕の魔力で助ける事は出来ないだろうか?
それから数日は体調不良を原因にして知識を集めた。
カーティルさんには怪しまれているが特になにも言ってこないので気にしないことにした。
クラスメイト達は訓練に励んでいるみたいだ。八方さんは毎日来て今日はこんな事をしたなどの報告をしてくる。
僕のように戦闘にむいていない職業の人はそれに見合った訓練や勉強をしているらしい。
担任の変川は親身にクラスの女子達をケアしているみたいだ。僕の所には一度も来ていないが、、
どんな気持ちであっても毎日来てくれる八方さんには感謝しないといけないな。
そして、今夜妹を救いに行こうと思う。
ここ数日で城の内部を記憶し、見張りや兵士、メイドの動きも頭に入れた。
夜中の一瞬だけ手薄になる場所を見つけ妹達が寝ている場所までのルートを決めた。気分はスパイ映画の主人公さ。
僕は寝たふりをしてその時を待った。
よし、カーティルさんが部屋を出て行った。彼女は専属ですからと言って部屋の片隅にずっと居るので思春期の僕にはきついが、この夜中は別でいつも部屋から出て行くのだ。
ミッションスタートだ!
部屋の扉を5センチ程開け周囲を確認する、、クリア!
さっと扉を開け、足音を立てない様に廊下を突き当たりまで進む、クリア!あと10秒程で見回りが来るので死角になる甲冑が並んであるとこで身を隠す、、、来た!
息を潜めてやり過ごす。クリア!そこから右へ左へと移動して行った。クリア!とうとう妹が寝ている部屋の扉まで来た。今は見張りの交代時間なので誰もいない。これではまだ少し心許ないので時間稼ぎ用のギミックを仕込んでおいた。
ドアに手をかけようとした瞬間背筋が凍る感覚がした。
下を見ると僕の首にナイフが触っていた。
「ここは召喚者様方が来る様な場所ではありませぬよ?
部屋にお戻りください」
渋い老人の声が後ろから聞こえた、、、ありえない!誰もいなかったはずなのに、、、振り向くと斬られるよね、、
「長老、その方は我らの言葉を話せない様ですよ?」
もう1人いたのか、、でもこの声カーティルさんじゃないか?
少し声色は変えているようだけど、、
このまま何もせず帰るなんて嫌だ。
「もう言葉は話せますよ?カーティルさん?」
「っ!?、、、」 「未熟者が、、」「申し訳ありません」
「僕の話を聞いて欲しいのですが、、このナイフを退かしてはくれませんか?」
「、、分かりました。ですが、妙な真似はしない方が貴方様のおためになりますぞ」
「分かりました」
ナイフが退かれ、振り向くと全身黒の服を着た2人がいた。
あまりここで時間をかけていられない。賭けに出るか。
「僕は妹を救いに来ました。僕はこの国の王子です」
「なにを言うかと期待したが、時間の無駄であったな。
カーティル記憶を消し寝かしてくるのだ」
「はっ!」
カーティルさんが近づいてくる、、僕には、、
「待ってくれ!これは真実だ。僕には魔力が有り余るほどあるそれを妹に分けさせてくれるだけでいい!中へいれてくれ!僕の、、、"邪魔をするな!"」
人生で初めてこんな大声をだした。
「こ、れは、、、」 「ちょ長老、、?」
ん?どうしたんだろ?僕の気迫にびびる訳はないよね。
「その左手の紋様は、、、」
左手に紋様?そんなものあった?確認すると青白く光を放っていた?え!?
その紋様は三つの円が鎖の様なもので繋がっておりその中心に花があった。
いつのまに!?
「まさか、、だが、目の前が真実であるのは間違いないか。
先程の無礼誠に申し訳ありません」
「も、申し訳ありません」
え、、、いきなり老人とカーティルさんが跪いた、、
戸惑っていると。
「私は【カイエン】と申します。貴方様のその左手にあるのは王紋またの名を【レクス クレスト】と言われるものです。私達は【王の守人】"王"に仕えるものでございます」
王紋か、、僕が王族だからかな?守人??
「これからのお話しをさせて頂きたい所ではありますが、あまり時間の猶予はございません。ミラ様にお会いになってあげてください」
そうだね、もうすぐ見張りが戻ってきてしまう。
ミラは僕の妹の名前だ。
「お願いします」
扉が開けられ中へ入ると、広間になっておりそこにはベットが並んであった。妹だけではなく一緒に犠牲になった人達かな、、皆顔が青白く、苦しそうだ。
中心に歩いて行くとカーテンがしてある大きなベットがあった。
「ここにミラ様はおられます」
カーテンを開けると、綺麗な銀髪の少女がいた。
この子が僕の妹なんだね、、
兄とは一生言い出せないかもしれない、、
だけどにいちゃんが必ず助けるからね!
ふと真子供の顔が思い浮かぶが、、もうあの頃には戻れないだろう。
「カイエンさん、どうすれば魔力を譲渡出来ますか?」
「はっ!失礼ながら魔力譲渡はあまりおすすめ出来ませぬ。
魔力は皆それぞれ違うのです。それを性質変化させ他者に与える事は可能ではありますが並大抵の技術では出来かねます
血族であっても難しいと存じます。ですが貴方様の王紋の力
【王技】を使う事でミラ様を救えると愚考致します」
ステータスにあった王技か、、、
どうやって使えば良いのか?
「やり方はわかりますか?」
「はっ!王たる意志とイメージで発動すると言われています。貴方様の王紋はトリプルと呼ばれ三つの王技が使えますですが、一度使えば一定数の民の忠誠が無いと再使用できませぬ」
王たる意志ねー、、、僕は王なんかになるつもりはないのだけどね、、まぁ妹の為だし今回だけだ。
イメージ、イメージ、王は独裁ではいつか破綻し殺される傀儡では意志もない。なら僕は、、、僕の都合の良い王かな?
これでは誰も忠誠なんてもたないだろうけど、僕は一人でも生きてけるさ、、。
妹とついでに寝ている人達を救う!!
【王の意志を確認、、王技 王の温情の発現を確認、、承認】
頭に機械的な声がして、王の温情を理解した。
これを言わないといけないの?、、恥ずかしいな、、
「【我、王の名において汝らに与える 王の温情!」
身体から白銀の魔力が溢れ妹達に流れ込む、、、
「これは、、、やはり、、そうなのですね、、」
「き、綺麗です、、」
流れが収まり妹の顔を見ると血色が良くなり寝息をたてていた、、うまくいったんだね、、よかった。
「お見事でございます!」
「僕の事は他言無用にして欲しいです」
「それは、、よいのですか?」
「良いんだ、、僕は、、」
あ、れ? 体に力が入らない、?意識が、、、。
ありがとうございました。