魔物とヘーゼルの町
読んで頂きありがとうございます。
『』はリッター「」はカーティルでいきます。
対魔の石をしまった途端、周りの空気が変わった気がした。
『これより先、魔物などが現れますご注意を』
リッターさんが剣を抜いてそう言った。
「分かったよ」
リッターさんが先頭で僕が真ん中、最後にカーティルさんで森を少し歩くと、 「ガサッ、ガサッ」と音がした。
僕は気を引き締めて、貸してもらった短剣に力を入れる。
少し握った手が震えている、、
カーティルさんは、僕が緊張している事に気付いたのか
「シルヴァ様、短剣にお力を入れすぎでございます。
もう少しお力を抜いて下さい。私達が必ずお守り致しますのでどうかご安心を」
「うん、ありがとう」
深呼吸をして、目の前に集中する、、、と出てきたのは角が生えたウサギだった、これは角ウサギだね。
本に書いてあった通りの外見だ。魔物と言えば魔物だが、この世界の子供でも倒せるぐらいの強さらしい。
『角ウサギぐらいが最初は丁度いいのかもしれませんね。ただ油断は禁物でございます。カーティル!』
「はい、兄さん。【影よ縛れ ジャドール】」
カーティルさんがそう言うと、角ウサギの影が蠢き角ウサギの動きを止めた、、これも魔法か、、
「シルヴァ様、私が動きを止めておきます。トドメを」
「わ、分かった」
もう僕は人を殺している、今さら戸惑う事はない、、けど、無抵抗じゃないか、、
「カーティル、、ごめん。魔法を解除して欲しい」
「?、、分かりました」
角ウサギの影が、元に戻り動けるようになった。
僕は短剣を握りなおす、これで襲ってくるなら、、
、、、一瞬角ウサギと目が合ったが直ぐに逃げていった。
「ごめんね、二人共わがまま言って」
「『問題ありません』」
少し森を歩くと、リッターさんが立ち止まる。
『少し先に気配があります。少しお待ちを』
僕とカーティルさんはその場で待機してリッターさんを待つ
『お待たせ致しました。少し先にゴブリンが三体居ました。
どう致しますか?』
ゴブリンは邪の物、倒す以外の選択肢はない。
「二体はお願いできる?一体は僕がやる」
「『はっ!』」
気配をなるべく立てないように先にいるゴブリンに近づく。
どうやら食事中で、素人でも分かるぐらいに隙がある。
『では、先に二体をやります』
リッターさんとカーティルさんが一瞬でゴブリンに近づき
その首を落とした。さすがだね。
よし! 僕は驚いてパニックになっているゴブリンに走って近づく。
短剣の効率が良い振り方を教えてもらった通りに振るう。肉を裂き骨に当たり嫌な感触が手に伝わる。だが、ここで手を抜けば即死にはならない。邪の物だからって無駄に苦しませることも無い。
僕は、さらに短剣を加速させた。
ボトっとゴブリンの頭が地面に落ちた。
血の匂いが充満する。
「『お見事でございます』」
「短剣で首を落とすのは技術が必要です。それを一度でなされるとはさすがでございます!」
カーティルさんが自分の事のように喜んでいる。
「カーティルの教え方が良いんだよ、ありがとう」
あと、完全記憶と追随だね。教えて貰った事を完全記憶してその動きを追随により再現出来た。
"プシューッ"
三体のゴブリンだった物は煙に消えた。
邪の物は死んでも何も残さない。魔石や素材も無い。もちろん魂位にも影響を与えない。
実りが全く無いので人気もない。が、平和の為に倒さなければならない。
そして、昨日の半分の距離を進んだぐらいで日が暮れてしまった。僕はあれからゴブリンを二体と角ウサギを一匹倒した。角ウサギは解体の仕方を教えてもらい、昼ご飯の糧とした。僕の血抜きが悪かったのか、臭かったが我慢して食べた。
後はオークが一体出たが、僕にはまだ早いと言う事でリッターさんが剣で一閃していた。2メートルぐらいある二足歩行の豚のような顔をした怪物を唯の一閃で倒したのには、口を開けて驚いてしまった。
次の日の朝、朝食を食べ終わった時に
もっと強くなりたい。と二人に話したら
「ダンジョン都市に行ってみますか?」
と言われた、、、ダンジョン都市だと、、
やはりあるんだね、ダンジョン、、あると知ってしまったのならば、行かないわけないよね、、
『ヘーゼルの町には今日中に着くでしょう、そこで馬車を借りダンジョン都市【ライブリィ】に行きませんか?
そこからならば、プラータ王国も近いですし』
うん、そうしよう!!
「そうだね!行こう!!」
「良かったです。すこしお元気になられたようで、、」
顔に出るのはなんとかしないとね。
「ありがとう」 「『はっ』」
しばらく森を歩くとリッターさんが
『あの先に見えるのがヘーゼルの町です。王都に一番近い町なので活気があり、さまざまな物があります』
おぉー!!意外に大きいな!
一応三人ともフードがついている外套を着た。
町に入るために門の外で長い列を並んでいると
リッターさんが
『シルヴァ様、町では、私達は貴方様の従者でシルヴァ様はプラータ王国のシルヴ商会の若旦那で各地を見るために旅をしていると言う設定で行きたいと思います』
ん?
「それだと、調べられたら嘘ってばれないかな?」
『ご安心を、王の守人は各地にいて動いていますので』
そう言うと、リッターさんは手帳のような物を渡してきた。
『これはシルヴァ様の身分証になります』
驚いた、、、、いつのまに?
「僕が名前を変えなかったらまずかったね」
「ご安心を、如何なることも想定済みでございます。
ナナシ様の身分証も用意しておりました」
えぇー。凄いな、、
「あ、ありがとう。王の守人ってそんなに人数いるの?」
「そうですね。秘密を守るために王の守人だと言う事は最小限の者しか知らないですが、傘下の者達は各地にて活動しており、数は数百はいると思います」
スパイみたいでカッコいいな、、
長い列を並んでいる間に設定を詰めていった。
「次の者!」
とうとう順番が回ってきた。代表してリッターさんが三人分の身分証と銀色の硬貨を渡した。
すると、ふてぶてしかった門番が上機嫌になった。
「うむ、、、ようこそ!ヘーゼルに!次からはあっちの門でいいからな!」
町に入り、リッターさんに質問する。
「リッター?町に入るのに銀貨も必要なの?」
この国の通貨は半鉄貨、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨の六種類で日本円に換算すると、半鉄貨は十円、鉄貨は百円、
銅貨が千円、銀貨が一万円、金貨が百万円、白金貨は見る事はないだろうが、一千万円だ。
そして呼び方は国と同じ名前のラカスだ。
リッターさんは、銀貨3枚も渡したので三万ラカスと言うことになる。入るだけで三万円もいるなんてこの先不安すぎる。
僕は自慢じゃないが、一文なしなんだ!、、
『本来ならば町に入るためにお金は必要ありません。身分証さえ有れば入れます。ですが、心付けにお金を払うことによりスムーズに入れますし、暗黙の了解とでも言うのですか
多ければ多いほど次から優遇されます』
あぁ、だから次からは空いている門に行って良いっていったのか、、
「そうなんだ。ありがとう。お金は必ず返すので、、」
『それには、及びません。カイエン殿から支度金を頂いているので大丈夫です』
そ、そうなんだ、、、僕も稼がないと!
設定は、旅商人なんだから!
聞きたい事を聞けたので改めて町並みを見渡した。
王都よりは少ないが、人で溢れていて、喧騒に飲まれそうだ。だけど町は思った以上に清掃されていて、変な匂いもしない。中世風な町並みではあるが、魔法のおかげなのか生活水準は高いのだろうか?
「ここはヘーゼルの町東地区です。この辺りは平民が多く活気がある場所です。治安は悪くはないですが、スラムの人間にはお気をつけください」
そうなんだ、やっぱりスラムはあるよね。
詳しく聞いてみたら
東は主に平民や冒険者、商人と言った者達が多く、北側には領主館と貴族街があり、西側には裕福な者が住んでおり、高級店が並んでいる。南側にはスラム街や歓楽街があるそうで北側以外は誰でも行き来できるらしい。
「先ずは馬車を取り扱っている店に行きましょう」
馬車を取り扱っている店は西側の門の付近にあるみたいだ。
町並みを見ながら歩いていると大きな看板が目に入る
【冒険者 ギルド ヘーゼル支部】
冒険者ギルド!!
じっとみつめていたら
「シルヴァ様?冒険者になられますか?」
なりたいか、なりたくないかと言われたらなりたいかもしれない。せっかくだしね、、
冒険者はギルドが斡旋する依頼を受けてその報酬で生計をたてる人達で魔物や邪の物の討伐からアイテムの収集さらには、おつかいまで幅広い業務内容の仕事だ。
「そんな簡単になれるかな?」
『そうですね。支部によって変わりますが登録料と少しの審査でなる事は可能です。ただ、依頼を定期的にこなさなければ永久に剥奪されてしまいます』
永久ってシビアだね、、
ん〜どうしようかな〜。
「シルヴァ様がされたいようになさってください」
カーティルさんが背中を押してくれた。
うん!やれるだけやろう!
「冒険者になってみたい。二人とも手伝ってくれるかな?
「『はっ!』」
僕たちは冒険者ギルドの門をたたいた。
ありがとうございました。




