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やゆよ  作者: 毛 飛猿
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失われたのは意外な物。馴染み深い不思議な話

失わないもの、無くしてはいけないもの、無くならないもの、絶対とはは何かということをお爺は語り出しました。お爺は大戦を経験し戦後、事業を起こしました。これはまぎれもない事実で、証拠となる写真や事業主としての履歴もあります。私らが想像のできない経緯と速度で失い、得てまた失うを繰り返したのです。友、信頼、金、地位、すべては変動し留めておくことは困難であり、一つを引き止めることに冷静さを無くし、全てを失うということも頻繁にあると、まだ小さい私らには難しい話でしたが、両親らはお爺のいつもと違う真剣な口調に、実の親が話しづらい「教訓」を子に教えるという意味合いを期待していたのでしょう。公務員の職場で出会った二人には想像ができないお爺の右翼曲折の人生。私の両親はついつい大事な教育はお爺任せになっていました。

 

お爺は「心の籠った言葉だけは絶対だった...あの日まで」と言いました。「歌でつながった、苦しい時も嬉しい時もわしは仲間と歌った。歌は救いで歌詞は絶対だった。心に刻まれ、意味を考え、口ずさむ」とお爺のロマンチズムが盛り込まれた話は定番です。


 「しかしのう、あの日のあれはのう」いつもの歯切れの良さはありません。酒が回ったのか。しかし、舌先があまりに流暢な話より、考えるように、思い出すように話すお爺の話は細部までこだわった描写が盛り込まれ、いよいよ内容の不思議さ、描写の実話感に真実なのか脚色された話なのかわからなくなり、じっくりと聴きこまずにはいられなくなるのです。


この話は格別に私とカンちゃんにいつまでも不思議な話と心に残り、二人の心の根でつながる共通点となりました。

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