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呂布の思索

朝議が終わると官吏一同はそそくさと解散した。

呂布の胸中は「もし孫堅が攻めてきたら必ずこの方天画戟ほうてんがげきで仕留めてやる」という気概にあふれていた。

しかし朝議でそれを口にしなかったのは、呂布自身がこの戦いの意味について考えるようになったからである。これまでの自分は、主人に従う犬のように西に行けと命令されれば西に走り、東へ行けと言えば東に走った。そのためには、ただ速く走れる馬と鋭い武器があればよかった。

その行為の意味や正当性など考えたことも無かったのである。

アリストテレスは「人間の行動の第一の目的は幸福である」と述べていた。

俺は董卓に付き従って幸福なのか?と自問するようになった。

戦場で活躍することにより、位階は上がり、大きな家も建った、しかしそんなことよりも、俺は戦場を疾走し、戦いに勝つことが何よりも幸福なのだ。

いわば俺にとって、戦闘とは手段ではなく、目的なのだ。他のものは出世の為や名誉のために戦っているかもしれないが、俺は戦うことが幸福そのものなのである。

俺は、もはや犬のように指示されて戦場に向かうのではなく、幸福のために自発的に戦争を求めたのである。

それからというもの、俺の戦争は芸術アートとなった。


呂布奉先が戦場において鬼神や魔王のごとき存在として敬われ、恐れられるようになったのはこの時からであった。


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