幸福な人生を送るために
俺は呂布奉先。言わずと知れた中華一の武人だ。
馬を操っては天下一だし、一騎討で負けたことなどない。
こと武力に関しては俺に並び立つものなど居ない。
しかし最近、嫌な夢を見る。
配下の武将と共に鎖で繋がれ、城壁に吊るされ処刑される夢だ。
いや、これは夢ではない、曹操、劉備・・こいつら俺を殺しやがった男たちだ。
俺はもう一度同じ人生をやり直しているのか?
二度とあのような惨めな結末を味わいたくはない。
人生をやり直したいのだ
しかし、俺は去年義父の丁原を殺してしまった。
今は董将軍(董卓)に使えているが、はっきりとは覚えていないが、これも昔あった事のような気がする。
運命を変えることは出来ないのだろうか。
何千回何万回人生をやり直しても、自分が変わらない限り同じことの繰り返しなのだろうか。
俺は貪るように様々な本を読んだ。論語、大学、中庸、孟子、荘子、孫子・・この国の本だけでは満足出来ず、外国の本も貪り読んだ。
そのなかには大秦国(ローマ帝国)の貴重な本もあった。
サブタイトルには「幸福な人生を送るために」と書いているらしい。俺は大金を積んでこの本を翻訳させ、軍役が終わると夜中まで読解に励んだ。