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Blank is All  作者: Destroyer
1/3

Blank from


誰にも望まれず、

誰にも願われず、

神さえも想うことなく、……



少女は、生まれてきて()()()()ーーーーーー



******


時は中世、所は天森国あまものくにでのこと。

国は皇帝である柳橋(やなぎはし)家が治める帝国であった。


政治も経済も安定、気候も穏やかで、比較的皆が幸福に暮らしている国、世界ではそう思われていた。


()()()が産まれるまでは……



皆が祝福の時を待つ中、黒雲が近づき、雷鳴が轟き始めていた。

こんな嵐の夜は、今まで誰もが経験したことのない、何か超自然的なものを感じさせるものである。

神への祈りを捧げ、鎮めようとするも、嵐は刻一刻と強まっていくばかり。

両親も、皇族もみな、何か不吉なものを感じ始めていた。


そして、赤子が今まさに母の腹から出んとするとき……

その赤子目掛けて、天井をも突き抜けて、

雷が落ちた。


誰もが、母とその赤子の安否を真っ先に確認しようとした。

だが彼らがそこに見たのは……

母の死、そして死よりもさらにおぞましいものだった。


その赤子は、

生を疑わせる純白の髪、

死を思わせる冷酷な青い瞳

を持っていた。

生まれてきたばかりの赤子なのに、虚無を思わせる、そうとしか言いようがないほどに。


さらに大人たちを驚愕させたもの、それは赤子の首に青白く光る、鎖の刻印。

見るだけで縛られそうになる刻印であった。


天森国はもともと(とざ)されている国。

それゆえに、迷信というものが深く根付いていた。

そんな国で、まさに破天荒と言える中生まれ、怪物のような姿の赤子が、誰かに受け入れられるはずもない。

それが災いして、少女は、愛してくれるはずの、自分を望んでくれるはずの、両親にも忌み嫌われる存在になってしまった……


悲しむ彼らを気にすることもなく、空は雲ひとつない快晴へと豹変。

空を憎いほどに明るく照らす満月が、満点の星の光をかき消していた……

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