三鬼と戦う Ⅰ
三鬼と戦う Ⅰ
じいちゃん「如月、今攻撃をかけると三匹を相手にしなければならなくなる。伊勢の神と出雲の神が、3匹を引き離すようあらゆる手段を使っているようだ。もうしばらく待機するぞ」
如月誠「了解。それにしてもあの神様、鬼に酒を注ぐしぐさや手つきまで、みどりのママにそっくりだ。なんでこうなるの?」
しばらくすると出雲の神と伊勢の神がうまくやってくれたようで、黄鬼と青鬼が場を離れた。十分堪能したようだ。そして一番酒好きの赤鬼だけが飲み続けている。チャンス到来だ。
如月と神田じじは、気付かれないよう少しずつ鬼との距離を縮めていった。
神田じじ「如月、正面の赤鬼が酔っぱらっているぞ」
如月誠「よし、一気に決めるてやる」
赤鬼のすぐ近くまで迫っていた如月は、赤鬼に襲い掛かり、聖剣を十字に振りかざした。
如月誠「聖剣よ、われに力を与えたまえ!うりゃー!」
赤鬼「×■◇◎★@*…」
断末魔の叫びなのか、赤鬼は不気味な声をあげながら倒れた。
完全に不意を突かれた赤鬼は反撃の機会すらなかった。第一段階の作戦は予想以上の成果であった。
神田じじ「よし如月、でかしたぞ。赤鬼は砕け散った。ほかの鬼に気づかれる。近くの岩陰に隠れるぞ。急げ、わしもそちらに行く」
如月誠「一匹倒したので気づかれたか…。奴らの足音がする。岩があって奴らから身を隠せても、こちらからの攻撃も仕掛けにくいな」
赤鬼いつまでたってもやってこないのを不審に思って、青鬼と黄鬼が戻ってきた。
青鬼「×▲☆●@Д◎…」
黄鬼「○△×★ф■…☆」
如月は鬼の言葉がわからないの焦りを感じていた。鬼たちに気付かれたかどうか見当がつかないからだ。
如月より少し遅れて神田じじが岩のところにやってきて身を潜めた。
如月誠「じいさん、鬼はなんて言ってんだ?」
神田じじ「おお、そうだな。わかーる薬を飲み込むんだ。奴らの言っている言葉がわかるようになるぞ」
如月誠「じいさん、本当かい?まるで漫画の世界だな」
神田じじ「わしの言うことを信じて、飲んでみろ。効果はすぐに出る」
赤鬼が倒れているのを見て、青鬼が叫んだ。
青鬼「この太刀筋はスサノオか?いったいどんな奴がやったのか。他にも数名いるな」
如月は青鬼の激しい憤りが、赤鬼を倒した自分に向けられているということを実感し緊張した。
如月誠「おれをスサノオと勘違いしてるのか。おれ達が見つかるのは
時間の問題だな。後はサッチィンや子供たちのことを
いっているのか?」
三鬼と戦う Ⅱ
如月の心が不安で揺れた。
如月は、この戦いに命運がかかっているというプレッシャーに押し潰れそうになっている。
だが、ここで倒れたら家族だけでなく日本は終わるのだ。
神田じじ「心配するな。ここは特別な結界の中だ。わしらに有利のはずだ」
如月誠「わかった。こちらに引き付けるしかないな、サッチィンと子供たちのところに奴らが行ってしまったら大変だ」
神田じじにそう伝えた後、如月は大声を出し、鬼の気を引き付けた。
如月誠「おれは如月誠だ。スサノウではない」
青鬼は如月の姿を確認し、素早く近づいた。如月との距離は三十メートルほどだろうか。如月は光の剣を正眼の位置に構え、戦闘態勢に入った。
青鬼「如月誠だと…。おのれ、そこにいるオオクニヌシ、
貴様の差し金か」
如月誠「じいさん、オオクニヌシなのか?」
神田じじ「それもわたしだ」
如月誠「たしか、大黒様だよな」
神田じじ「それもわたしだ」
青鬼「貴様スサノオでないなら、人間か?虫けらに等しいやつらよ。捻りつぶしてやる」
如月誠「冗談じゃないぜ。簡単にやられるかよ。人間をなめるなよ」
青鬼と如月が大声でやり取りしている声を聞きつけて、黄鬼が戻ってきた。
黄鬼「スサノオ?ということは近くにクシナダヒメもいるんだな。どうやら、美味しい人間の匂いがするぞ。酒のつまみに食ってやる。けけけー」
黄鬼は日本を守っているシールドを破るために動いていたのだが、戦いの気配を感じ取ったのか、瞬間移動して飛んできたのだ。
黄鬼「こっちも面白そうだな。断層の闇から仲間を呼んでくるぞ。
待っていろよ。けけけー」
如月誠「黄鬼が煙のように移動した。奴らの狙いは仲間の鬼たちの召喚だ!
クソ、サッチィンと子供たちが危ない」
神田じじは黄鬼の行動を予想していたようで、すでに次の手を打っていた。
神田じじ「如月!この青鬼に集中しろ。
いま、出雲の神と伊勢の神が子供たちの所に飛んだ」
如月は動揺したが、じいちゃんの一言で気を取り直した。
如月誠「わかった。じいさん。オラオラオラ、上等じゃねえか鬼どもよ!
貴様らの悪行はこの如月誠が阻止してやる。これ以上、
暴れさせねえよ!」
青鬼「どうかな、人間のぶんざいで生意気な。そんな減らず口は叩けないようにしてやる。われの力を思い知るがよい」
青鬼は右手で黒い闇を集めて球形にし、如月に投げつけてきた。
如月は一歩下がって剣で闇の球を受け止め、圧力に耐えた。
如月誠「すごい力だ。さすがに鬼の攻撃は半端なく強い。だが、こんなことで怯まないぞ」
神田じじ「如月、ふんばれ!」
如月誠「弾き・返す・ぞー。たーー」
如月は球形の黒い闇を剣で弾いた
青鬼「太刀筋はスサノオだが、変わったかまえだな」
如月誠「その通りさ。一か月かけて編み出した必殺技だ。くらえ!」
如月は青鬼に光の剣を下に向けてから急に上に振り上げ、光の波動を放った。しかし何回放っても、青鬼はヒラリとかわしてしまう。
如月誠「攻撃が当たらない。なんて素早いやつなんだ」
青鬼「久しぶりに戦いがいのあるやつよ。よし、今度はこっちから行くぞ。闇の波動だ、受けてみよ!」
青鬼はもう一度、闇の球を拡大して如月めがけてうちはなった。しかし如月は難なく跳ね返し、同時に必殺技をくり出した。
如月は、青鬼が渾身の攻撃を行った直後のわずかな隙をついて反撃した。
如月誠「そんな攻撃は跳ね返してやる。よし、『聖剣よ我に力を!』
くらえー!」
青鬼「う、なに、右腕が…」
如月の放った光りの剣の攻撃は、青鬼をとらえ、右腕を切り落とした。
青鬼「うううううー。右腕をやられた。貴様には闇の攻撃は効かないのか。
こいつは油断ならない。腕が再生するまでいったん引こう」
如月誠「させるかー。腕が再生しないうちにカタをつけてやる」
青鬼は接近戦は不利とみて空高く飛び上がった。
如月誠「やろう、黒い翼で逃げるのか…」
青鬼「どうやら、貴様にはもっと恐怖の攻撃がよさそうだな。
人間め、空からの攻撃には弱いはず」
青鬼は空中から闇の技を繰り出してきた。宇宙から隕石を呼び寄せて地上に降らせるという特殊攻撃だ。
隕石は光を放ちながら、銀色の帯を引いて数十個飛んできた。
青鬼「逃げるだと?俺様を甘く見るな。ぐわははー、隕石攻撃だ!くらえー」
ドドドドーーーと音を立て、隕石は地上の如月めがけて降り注いだ。如月はよけるのに必死で、一瞬の反撃の機会すら得られない。やっとのことで岩陰に隠れ、隕石攻撃をしのいだ。
如月誠「恐ろしい攻撃だ。奴がこんな攻撃をしてくるなんて予想できなかった。これでは太刀がきかない。じいさん、上から隕石の嵐だ。何か策はないのか」
隕石攻撃にてこずっている如月はじいちゃんに助けを求めた。
神田じじは如月の言葉に呼応するように両手を広げ、大声で叫んだ。
神田じじ「やあー!神通力」
如月と神田じじの上に隕石攻撃を弾くシールドが張られた。
如月誠「あっ無事みたいだ。助かった。なあ、じいさん、
こんなところで、なんだが、聞いていいか?」
神田じじ「両手を使って神通力中だが、どうした…」
如月誠「青鬼のやつが、『スサノオか』とか言ってたが、いったい何のことなんだ?」
如月はちょっとでも納得がいかないと前に進めない性格である。
青鬼の攻撃をしのいでいて大変な状況なのに、じいちゃんに質問を投げかけてきた。
神田じじ「如月、知らんのか?日本の昔話だぞ…。
もともと、アマテラス様に頼まれてスサノオ様は、悪を倒し
日本の国造りをしていた。だが、悪の化身、鬼の罠にかかり
黄泉の国に行かざるをえなくなられた」
如月誠「その、罠とはなんだ」
神田じじ「スサノオ様はあと一歩で、国造りを完成されるところだった。
そこに闇を操る悪の怪物が、人間の司たちを人質にとり、
国造りをやめなければ全て抹殺すると言ってきた。
スサノオ様は人間の身代わりとなり倒れた」
如月誠「なんてことだ。そんな歴史があったのか」
青鬼の隕石攻撃に耐えながら、如月の質問にも答えていた神田じじだが、いよいよ鬼の攻撃も強さを増してきて、シールドが少しずつ押されてきている。
ガラガラ、ドドドーー、隕石の音が強まり、神田じじに疲れの表情が見えてきた。
神田じじ「それより如月、青鬼の攻撃が強くなった。多分直後に、鬼はありったけの力をもって我々を倒しに来るだろう」
青鬼「どこまで持つかな、オオクニヌシ!弱い人間をかばうなど、
バカげていて片腹痛いわ。カッカッカーー」
如月誠「くそ、どう、戦う!」
神田じじ「……」




