生まれたてのおぢさん
こんにちは。おぢさんだよ。
いい夜だね。
きみはそこで何をしてるのかな。
おぢさん?おぢさんはついさっき生まれたところだよ。これから外に出ようとしているんだ。
まあ外っていうか本当に外なのかはわからないけどね。
おぢさんには目がないからね。
……目、ないよね?
たぶんないと思うけど。だって何にも見えないからね。
わからないね。
ところできみ、ずいぶん無口なひとなんだね。
さっきからおぢさんばっかりしゃべってるじゃあないか。いけないね。人間同士のえんかつなこみにゅけーしょんのためには、相手にばっかりお話しさせてちゃだめだよ。
おぢさんは紳士だからちゅうっこく!してあげるね。
ほら、おしゃべりしてごらん。きみの声を聞かせておくれよ。
……。
…………。
……………なるほど、なるほど。
そういえばおぢさん、耳もなかったから何にも聞こえないね。
こりゃ一本取られたよ。ハハッ。
やれやれ全くなんなんだいこの茶番は。知的紳士ことおぢさんはこんなことにかかずりあっていられないよ。
時間がもったいないからもう行くね。
おぢさんは忙しいんだ!
くだらないことにわたしの貴重な時間を使わせるんじゃあない!本来であれば懲罰ものだがゲーリング海のように広い心ことおぢさんが許してやる!泣き伏して感謝しろ下等生物めがッ!
まったく!
まったく!
おぢさんはぷりぷりしながらいざ大海への第一歩を踏み出すよ。
略しておぢっとプリキュア!ドキドキお出かけ大作戦!だよ。
それではね。
きみはそこで独り虚しくおぢさんが愛と勇気でこの世界を踏破してゆく素敵な背中を指を咥えて見ているといいよ。
アデュー。