止めてくれる少女
僕は小学校を卒業し、地域の中学校に入学した。
だが、形式的には小学校を卒業し、中学校に入学したのだが、6年生の時から一度も学校に入っていない。
「もう少しで、貯金も尽きるな……」
毎日自分の部屋で閉じこもる生活、世間一般的に言うと、引き込もりに値する。ずっと一人で両親の残した財産で今までやりくりしていたが、約1ヶ月で底をつく。
「ぐぅ」
お腹が鳴ったみたいだ。ここ3日まともに食事していない。一週間ほど着こなしたパーカーと短パンのまま、コンビニに向かった。
「あった、たまちゃんヌードルカレー味!」
簡単に食べられるものを次から次へと籠に入れた。
「4274円になります。」その時僕は金額にゾッとした。
食料以外の目的が無かったため、まっすぐ家に向かっていると、少女が走ってこちらに近づいてくる。少女は言葉にならない何かを叫びながら僕の手を握り、歩道に飛び込んだ。彼女のお陰で、僕は轢かれず済んだ。僕はこの頃よりいっそう自分の世界に閉じこもっていた。だから、僕にはもう色なんて区別がつかない。僕はもうモノクロの世界しか知らない。
彼女が、スケッチブックを取り出し何かを笑顔で書き始める。
「これあげるよ。わたし食べても意味ないから。」
彼女は果実の入った紙袋を僕に渡してきた。
「私林檎か、梨か味の違いがわからないんだよね。だから、君が美味しくたべてねー!」
僕には、ただ黒い物体にしか見えない。しかし、彼女の顔は光り輝いていて、僕の世界の太陽かと思った。