味にしゅーちゅーできない
朝です。おはようございます。
私は幼児らしく寝起きもすっきりだったが、支団長さんはそうじゃなかった。
半分だけ目を開けたかと思うと、私の方を見てからゆっくりと起き上がって、五分ほど微動だにしなかった。
その目付きが鋭くて、ビビった私はまた腰を抜かしかけた。
「……ああ、昨日保護したんだったか……。」
あ、成る程です。
まだちゃんと起きて無かったのね。
「……ちょっと待ってろ……。着替えるからな……。」
私はベッドと戯れていたので見てない。
決して支団長さんの細身に見えるのに意外と筋肉があって細マッチョだったとか、そういうのは全然見てない。うん。
「……よし。昼食、食べに行くぞ……。」
「…………キュ?」
私は言葉の意味を考えてから、ん?となる。
んえ?食べに『行く』?
疑問符を頭に浮かべながらも支団長さんについていく。
程無くして美味しそうな匂いがしてきた処で私はやっと理解した。
「……食堂だ。」
「キ、キュー……」
「……一応人が少ない時間帯に来てみたんだが……。」
支団長さんの足の後ろに隠れているとそう言われた。まじですか。
奥の方のテーブルで食事をするが、少ないとはいえ周りの人の視線が気になって味どころじゃない。
イスの影でご飯を食べることにする。
あ、このスープ美味しい。ポテトスープかな?
ベーコンと細かく切られたキャベツが美味しい。
パンは支団長さんに千切って食べさせてもらう。
ブルーベリーの入っているパンで、酸味と甘味がほどよいバランスだ。こちらも美味しい。
いくらでも食べたい食事だったが、生憎私の胃は体の大きさと同じく小さいので、直ぐにお腹がいっぱいになった。
支団長さんは先に食べ終わっていたので、私も腰を上げる。
「あれー、支団長、その子まさか!」
話しかけてきたのは、多分声からしてコルザさん。だと思う。
「……コルザか。そうだ、昨日すぐに卵から出てきた。」
「そうなんですかー。やー可愛いですねぇ。ドラゴンだったんですねぇ。」
あ、やっぱりそうなるよね。ドラゴンだって分かるよね。
でもなんかさっきから感じる目線は愛玩動物を見るような暖かい目線なんだけど……。
私がまだ小さいからなのか?
確かに弱いけども……。