ベッドと表情筋
私は支団長さんが持ってきた夕食の残りをありがたく完食させてもらった。
とっても美味しいご飯をくれたし、やっぱりこの人はいい人だと思う。
顔は怖いけど、人を顔で判断しちゃいけないって言うもんね。
「……うまかったか?」
「キュ!」
「そうか、良かった。」
支団長さんはそう短く言うと、お皿を片付けにまた部屋を出ていった。
その間私は美味しいご飯の余韻を楽しむ。
あー美味しかった。
あれは何肉だったんだろう?
牛……は無いか……。
でも、豚肉っぽくも無かったし、鶏肉な形じゃ無かった。
あれか、ジンギスカン……じゃなくって、羊肉とか?
食べたことないけど。
う~ん…………、と考えている間に戻ってきたらしい支団長さんがまた何か手に持っている。
気になって少し近付いてみる。
「……よし、出来たぞ、お前のベッドだ。」
支団長さんは私の為にベッドになりそうなものを持ってきてくれたらしい。
幼児が軽々入ってしまいそうな大きさのバスケットの中にに緑色の毛布がきれいに敷かれている。
わあ!いいの?!やったー!!
という感じで遠慮なくベッドにダイブさせてもらう。あ、柔らかい物が下に敷かれてるっぽい。
地面の部分がフワフワしてる。クッションかな?
「どうだ……?気に入ったか?」
はい!もちろんですとも!
キュー!と鳴いて答える。
「……そうか。」
支団長さんはまた短く言って自分もベッドに入っていった。
でもね、私は見たよ。
言った後嬉しそうに笑っていたよ!
笑ってたって言うか、微笑む?って感じだったけど、とっても嬉しそうだった。
支団長さん、表情筋が固まってるだけで、もしかしたら普通にいい人なのかも。