硬い殻は(自力では)割れない
……はっ?!
寝てた?!
いつの間にか揺れが止まっていた。
周りからはなにやら話し声が聞こえる。
……この声は……確か……私を保護しようとか言ってた支団長って呼ばれてた人と、コルザって呼ばれてた人かな?
「……で、支団長。」
「……なんだ?」
「この卵の世話、まさか自分一人でやろうと思ってませんか?」
「それがどうかしたか?」
「うわ開き直ったよこの人!……じゃなくてですね、仮にもこの支部の長で只でさえ仕事が多いのに、そこに卵の世話まで入れる気ですか?!」
「そこまでの事ではないだろう。」
「やっぱ鉄神……」
「何か言ったか?」
「な、何でもありませんじゃあこの辺で……」
「ああ。」
多分だけど、支団長は本気で聞こえなかったんだろう。でも、早く仕事に戻れ、という圧が凄かった。私には向けられていないのにこっちまで来てたよ、圧。
ていうか、そろそろこっから出たいんだけど、これ、どうやって出んの?やっぱり卵みたいだから中から割ればいいの?
えいっえいっ、とくちばしだと思う口先をぶっつけているが、びくともしない。泣きそう。
とかやってたら、卵ごと揺れた為なのか、また転がってしまった。
一瞬フリーフォールの感覚に襲われたと思ったら、
ガシャーーン!
落ちた。そして割れた。
いや割れたのはいいんだけど、
「キュウ……」
痛い……