表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

残念、それは残像だ。

実話に多少の脚色を足して投稿しています。

次の話は少し怖かった経験を投稿しようと考えてます。

いつだったかは曖昧だが、事の発端は小学生の頃だった。


その日は特に寒い日で、教室の前にあるストーブの周りにクラスメイトが丸くなって集まっていた。


後ろの方の席の俺は、あまり寒がりじゃなかったのでストーブに当たる事はあまりしなかったが、友人達が皆ストーブの周りにいるから歩いて近づいて行った。


それから、ストーブの周りで一番仲のいい友達と話して、ストーブの上に水を掛けたりしていたりいた。


すると、しばらくして後ろから肩を叩かれ女の子に呼ばれた。「何?」と言って振り返ると数人の女の子達がおり、不思議そうな顔をして俺の席を指差し言った。


「今、あの席にいなかった? なんで? どうやったの?」


少し興奮気味の女の子に、俺と友達はポカンとした。友人がA(俺の仮称)ならここで俺と話してたよと言って、俺もここにいたよと言ったが女の子達は中々信じてくれなかった。


「ストーブの方を見ながらぼーっとしてるの見たもん! なにしてるんだろ、って私達話してて…それで、目を離したらいなくなってて」


女の子達はそんな事を言っていて、俺は確かに自分の席でストーブの方を見ていたがぼーっとはせずにすぐ移動した事を伝えた。


その日はそれで有耶無耶になったが、女の子達がその日から俺の事をよく見ている事は俺も友達も気付いていた。監視されてるなぁという居心地の悪さがあったが、女の子が俺を見ているというのはあまり悪い気はしなかった。


それから数日経った日、また同じようなことが起きた。

その日も俺は監視されていた。しかも最初の女子数人だけでなく人数が増えていて、女子の半数ぐらいが俺を見ていた。


この頃には俺はすでに飽きていて、目線をあまり気にしなくっていた。


そして四時間目が終わり、給食の配膳が始まった。俺は普通に歩いて配膳の列に並んだ。


──だが、


「あーっ! 消えた! どこ? どこに消えたの?」


女の子達と俺の友達数人が、俺の席の周りで大声を上げながらキョロキョロと俺をさがしていた。

そして並んでいる俺を見つけて詰め寄ってきて質問責めにされた。


「自分の席で寝てたじゃん! なんで?」


俺はわけがわからなかったが、一つ疑問が生まれた。彼女達が見ていたという俺は授業中の俺の事なんじゃないかと。確かに俺は授業中には寝ていたから。


その日は、配膳係の女の子が俺の証人だった。もっとカレー多くお願い、とか話してた事を証言してもらった。


しかし、その日から俺がいきなり消えるという噂はクラス中に広がり、監視の目はさらに増えた。

正直な話、気が滅入った。


だが、それに拍車をかけるように同じようなことが数日毎に起こった。俺自身は普通に歩いて移動しているのだが周りは「いきなり消えた」「瞬間移動だ!」とか、騒ぎ立てた。

あやうく学校七不思議の一つにされるところだった。



──それから数年。


就職し結婚もしたが、その噂はまだ続いている。

しかも両親や兄弟、さらに嫁までもが同じことを言いだした。今でも俺はたまに消えるらしい。


だがそんな時、俺は皆にこう説明している。


「残念、それは残像だ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ