表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

4.5階。

僕はエレベーターが苦手だ。

急いでいても階段を使う。


それには、十年前に体験したある不可思議な体験が起因している。



ある冬の日、僕は母の再婚で市内のマンションに引っ越すことになった。


当時、十五歳になったばかりの僕は、再婚と引っ越しというのにあまり気乗りしなかった。


だが、再婚相手(おじさんと呼んでいる)の人も優しく気立てのある人で、マンションも自分の部屋が持てるという事で次第に新しい生活に期待を膨らましていた。



引越しの二週間前、母と二人で引っ越し先のマンションを見に行った。

マンションは九階建てで、築十五年という、どこにでもありそうなマンションだった。


だが、今まで市営住宅に暮らしていた身としては、そのマンションが超高級マンションに見えた。


なかでも、そのマンションにエレベーターが付いているのが嬉しかったのを覚えている。



そして二週間が経ち、僕を含む新しい家族は新居に引っ越しをした。


僕たちの新居は五階で、荷を運ぶ引越し業者のおにいさんが冬だというのに汗だくになっていた。


僕の部屋は玄関を入ってすぐの部屋だった。

その日は、引越しの荷の箱の十五箱分と勉強机が場所を取り、部屋には足の踏み場もなかった。


さっそく、自分の荷物の荷ほどきをしようというところで、おじさんが夕飯を食べに行こうと言った。


作業を一旦中止し、皆で近くのファミレスに行くことになった。



五階から一階までは、もちろんエレベーターに乗っていった。

ハイテクなエレベーターが嬉しくて、ニコニコしていたら母に笑われた。


だが、一階に降りたところで僕は携帯を忘れたことをふと思い出した。


ファミレスの場所は分かっていたから、先に行ってて、と言って僕だけもう一度エレベーターに乗った。



──僕がおかしな体験をしたのはこの先のことだ。


エレベーターに乗った僕は、迷うことなく五階のボタンを押した。

エレベーターはすうーっと階を上がっていった。


この時、僕はエレベーターの階数表示の電子板をじっと見ていた。


1階から2階、3階、4階と一定の速さでローマ数字の表記が変わっていく。


だが、4階から5階の表示に変わる時だけ、妙に早かった様に僕は感じた。


チンッ、という音と共にドアが開いた。


僕は、表示のスピードの事は特に気にも止めず、駆け足でエレベーターから降りた。


異変は次の瞬間に起きたのだ。


エレベーターから降り、階の床を踏みしめた瞬間、視界がグニャリと捻れ、視界がぼやけたのだ。

目の前に風景が酷くゆがんで見えた。


目眩を感じて、思わず僕はその場に膝をついた。

すると途端に、床が粘土の様に柔らかいものへと変わったのだ。


ついた膝も手も、床の中へと沈んでいく。

まるで底無し沼にはまったかの様な感覚だった。


僕は怖くなって必死にもがいた。


だが、掴むものも踏みしめられるものも無く、僕の体は床の中へゆっくりと沈んで行った。


沈んでいくさなか、歪んだ視界の隅の壁に階数表示の彫りが見えた。


4と5という数字が、階という字の隣に並んでいた。


しかし、視界が歪み、二つの数字が混ざり合い、違ったように僕には見えた。


4.5階


僕の視界にはそう見えた。



その後、僕は四階のエレベーターの前で寝ているのを、その階の人に発見された。

その人は、僕はかなりうなされていたと言っていた。


もちろん、この話は母やおじさんにすぐに話した。


だが、夢だのなんだので全く信じてもらえなかった。

なんで四階で寝ていたかの事は有耶無耶になった。




†ーー†


ここまで読んでいただきありがとうございます。

この話は私(話中'僕')が体験した実体験をもとに書いています。(多少の脚色はありますが)

なのでオチなどは特にありません。


それでも、不思議な体験だったので衝動的に書かせていただきました。


ちなみに、こうした体験は他にも幾つかあるので、いつかまたここで文にしようと思ってます。


なので、よかったらまた話を聞きに…読みに来てください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ