第43話 30試合経過
シーズンは進み、30試合が経過した。
ここまでのクリッパーズは17勝10敗3引き分けで2位。
昨年に比べたら上々ではあるが、直近は3連敗中と勢いにかげりが出始めている。
ルーキーながらここまでフルイニング出場を続けている平山と鎌倉に疲れが見られ、中継ぎ陣にも登板過多の傾向があり、選手層の薄さが顕著に出ていた。
ゲイリーがさすがの打棒でここまで本塁打13本。断トツのリーグトップ。
育成上がりのシンデレラボーイ、恵良は代走起用の多い中で、これもリーグトップの17盗塁と、チームメイトの米丸の10盗塁を大きく引き離している。
頭部デッドボールから復帰した後藤も復帰し、ここまで6本塁打。早くもキャリアハイの成績を残している。
投手陣はエースの今井がここまで4勝と好調を維持。しかし、登板過多の中継ぎ陣は、モーガンが16試合、エルナンデスが13試合、前田が12試合に登板している。
「30試合消化した時点で、モーガンが16試合登板……。いくらタフとはいえ、このペースじゃ夏場までもたないぞ」
「先発が試合を作っても、勝ちパターン頼みの継投が続いていますからね。エルナンデスも前田も、登板過多で直球のキレが明らかに落ちています。今井が完封したような『省エネ完投』をしてくれれば助かるのですが、毎回そうもいきません」
主力野手陣の個人タイトル級の活躍と、エース今井の孤軍奮闘。
しかしその裏で、連戦のシワ寄せを一身に受けるブルペン陣は、今にも悲鳴を上げそうになっていた。
汗を拭いながらアイシングを重ねる前田とエルナンデス。その傍らで、モーガンがいつもの明るい笑顔で俺に話しかけてきた。
「カミヒラサ〜ン!マダマダ ナゲられますヨ!マイニチ デモOK!」
「気持ちはありがたいがな、モーガン。お前を壊すわけにはいかん」
俺はモーガンの肩を力強く叩き、決意を新たにする。
連敗を止めることは急務だが、ただ勝ちを急いでリリーフ陣を使い潰せば、シーズン後半に大崩壊を招く。
フレッシュな若手の起用か、先発陣の長いイニング消化か、それとも一軍野手陣の打撃力でリリーフを助けるのか——。
試練の3連敗中。次の一手がクリッパーズのシーズン前半戦の明暗を分けることになる。




