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世界一賢い人

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/05/26

 劣等感に苛まれた少年がいた。

 彼は哀れなほどに頭が悪かった。


 勉強をしても知識が中々つかない者もいる。

 生まれ持った知恵が他者と比べて極端に低い者もいる。


 困ったことに少年はそうではなかった。

 生まれ持った知恵は人並みであったし、勉学に励めばやはり平均程度には知識がつく。


 しかし、少年は努力が嫌いだったのだ。

 怠り、怠り、怠り続けて気づけば自分が見下していた者にも抜かれていた。

 ただそれだけだったのだ。


 そんな劣等感に苛まれた少年の下に悪魔がやってきて言った。


「願いを一つ叶えてやろう」

「なら、世界で一番頭の良い人にしてほしい」


 悪魔はにっこり笑ってその願いを叶えた。



 *



 その日、人類の大半が突如死亡したがその理由は未だに分からない。

 なにせ、今の世の中には少年より賢い者はもう存在していないのだから。

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