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【新装版】枯れたおっさん、何もしないで異世界を救う  作者: アズマユージ


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第39話 それぞれの思惑

特区――中央広場。


王都から戻ったユージとナーチャンを、

仲間たちが取り囲んだ。


「どうだった?」


「王国、何て言ってきた?」


ユージは少しだけ言いにくそうな顔をした。


「……まとめて話す」


簡易会議室。


タスクフォースと月影の宴旅団の主要メンバーが揃う。


ユージは深く息を吸った。


「収穫の半分は特区の維持に使う」


「残り半分を、王国と魔王国で均等に分けることにした」


静まり返る。


ユージは視線を神楽耶に向けた。


真面目な声だった。


「ここは、元々旅団の土地だったのに」


「相談も無く決めてきてしまった」


「本当に申し訳ない」


神楽耶は腕を組み、しばし沈黙。


周囲も固唾を飲む。


やがて、ふっと笑った。


「なにを謝る」


皆が息を吐く。


神楽耶は続ける。


「なかなかに良い落としどころじゃ」


「もとより、すべてを我々のものにすることなど出来はすまい」


「それに、今までの荒れ地と比べれば、半分でも十分すぎる」


「しかも、戦争まで終わらせるかもしれんのじゃろ?」


目が細くなる。


「反対する理由など、どこにもありはせぬ」


「むしろ、礼を言うのはわらわの方じゃ」


ユージは肩の力を抜いた。


「……よかった」


神楽耶は小さく頷く。


「片方に寄れば争いになる」


「両方に与えれば、奪う理由が減る」


「お主、なかなか狡いの」


「言い方!狡いとか言うな!」


「あはは、自覚がないのが一番怖いのじゃ」


周囲に小さな笑いが広がる。


リシュンが腕を組む。


「で? 魔王国は?」


ナーチャンが淡々と告げる。


「急ぎ交渉に向かわねばなりません」


ユージが頷く。


「そうだな」


少し考えた後、にやりとする。


「王国には俺とナーチャンで行ってきたからな」


「次はリシュンたちに任せるか」


得意げ。


一瞬の沈黙。


そして――


「「「あんたが行くに決まってるだろ」」」


その場の全員から突っ込みが入った。


タケシトが肩を叩く。


「リーダーの仕事だ」


イコタンが笑う。


「あなたの案ですよね?」


サトータが追い打ち。


「当事者以外が行けば、誠意を疑われますしね」


リシュンがにやり。


「リーダー、あんたしかいねえだろ」


ユージは天を仰ぐ。


「王都から帰って来たばっかなんだけどなぁ」


ナーチャンは今度も同行してくれるらしい。


ユージがチラ見すると、満面の笑みを浮かべて言った。


「早く行かなければ、交渉上不利になります」


「明朝出発しましょう」


「とほほ、マジですか……」



魔王国――黒き城塞。


重厚な門が開く。


空気が違う。


冷たい。


緊張が張り詰める。


「帰りたい……」


ユージが小声で言う。


「ついたばかりです。しっかりしてください」


ナーチャンは平然と言う。


二人は、謁見の間に通された。


玉座には魔王アサダ。


左右に強面の魔王軍幹部が勢ぞろい。


その中に、軍師サムの姿もある。


二人に視線が集中する。


逃げ場はない。


「辺境調停官ユージ殿」


アサダの声は低く響く。


「わざわざご来城いただき、感謝いたします」


優しい言い方ではあるが、周囲からの威圧感が半端無い。


まさに完全包囲だった。


ユージの背中に冷や汗が流れる。


(やっぱり怖ぇぇぇ……!)


サムが静かにユージを観察している。


その視線は鋭い。


アサダが続ける。


「王国に行かれたそうですね。どういうお話をされて来られたのですか?」


沈黙。


空気が重い。


ユージの隣でナーチャンが小さく囁く。


「大丈夫です」


ユージはゆっくりと顔を上げる。


魔王の瞳と、真正面から視線がぶつかった


「……我らの新たな土地と」


「そこから得られる資源についての話だ」


「なるほど、やはりそういうお話ですね」


魔王は、少しの間沈黙してから、静かに言った。


「では、本題に入りましょうか」


重苦しい空気が、さらに張り詰める。


ユージは一瞬だけ目を閉じた。


そして、意を決したように、まっすぐ魔王を見据えて口を開いた。


「ああ」


「今日は――戦争を終わらせるために来た」

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