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【新装版】枯れたおっさん、何もしないで異世界を救う  作者: アズマユージ


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第23話 ナーチャンの報告書

――王国中央監査局

極秘扱/内部共有資料

件名:辺境調停官ユージに関する評価報告書

作成者:王女直属補佐官 ナセ・ニシノナ(通称:ナーチャン)



1.概要


辺境村に派遣された調停官ユージについて、

当初想定されていた「緩衝材的存在」という評価は、

現地状況を踏まえ、全面的な見直しが必要と思料する。


結論から述べる。


当該人物は、

極めて高度な調整能力を“自覚なく”行使している可能性が高いと判断する。


なお、本人はこれを一貫して否定している。


2.想定と現実の乖離


【当初想定】


権限なし

軍事力なし

命令執行能力なし

責任のみ付与


→ 王国・村・魔族の板挟みにより、短期的に疲弊・孤立すると予測。


【現実】


王国兵と村人の衝突:発生せず

村内部の不満蓄積:兆候なし(むしろ、大幅に改善)

魔族の干渉:確認されず

すべて、「問題が顕在化する前」に解消されている。


3.特筆すべき行動様式


(1)指揮命令系統の欠如


ユージは、一切の指示・命令を行っていない。

代わりに、全当事者の話を聞き素朴な意見を述べるのみ。

しかしその結果、

各陣営が「自律的に解決した」形になっている。

これは、強制ではなく自発的行為であり、反発や遺恨を生まない、非常に高度で有効な手法である。


(2)責任回避


責任を背負っているように見せるが、

行動を起こしていないため、背負うべき責任が生じていない。

能動的に回避するのではなく、結果として責任を回避した形となっている。

本来、極めて緻密な計算を要する方法であるが、彼はそれを無意識の内に行っている模様。


(3)魔族の沈黙


現時点では、魔族側は沈黙を守っている(最も異常な事態)。

なお、当然のことながら、魔族側も彼の異常行動を把握している模様。

小規模干渉の試み、情報攪乱、誘導行動を行った形跡はあるが、

いずれも肩透かしに終わったとの報告あり。


結果、魔族側のステータスが「当面静観」に移行したことを確認。

これは、監視対象として一段階上に引き上げられたことを意味し、

魔族側にとって、彼が重要人物と認識されたと推測される。


4.能力評価(暫定)


当該人物は、

魔力:測定不能

武力:一般人以下

統率力:公式にはなし


にもかかわらず、

境界領域(王国・村・魔族)の均衡を単独で維持している。


この現象は、

カリスマ型でも

戦略家型でも

指導者型でもない

分類不能。


5.危険性について


本人は、

無自覚

無欲

無計画

である。


だがそれ故に、

周囲が「勝手に最適化」してしまう。


このタイプは、

利用しづらく

排除しづらく

敵に回すと致命的

という、最も扱いにくく、非常に危険性の高い存在である。


6.提言


当該人物を王国から切り離してはならない。


同時に対魔族という観点で、王国に完全に組み込むことは極めて危険。

 (組み込んだ場合、魔族が敵対行動と看做し、全面戦争につながる恐れあり)


7.所見


彼は、自己の正確な評価が出来てない稀有な人材。

実際の彼の力は、彼の認識を大きく上回る。


それがゆえに、意識せずに影響力を行使しているという点で非常に扱いが難しい存在。


正直に申し上げて――

彼が敵に回った場合、王国は非常に厄介な立場に置かれる懸念大。


ついては、王国が派遣した人材による常時監視の対象とするべきであると強く意見具申する。


以上。

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