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悪役令嬢だって悪くない  作者: めめんちょもり
この不条理を変えてみせる
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死亡フラグ

雪煙が、ゆっくりと晴れていく。


白の向こうに見えた影は―――

一つではなかった。


「……」


そこにいたのは、パゴクロークスの群れ。


一体、二体ではない。

十数、いや二十近い影が、低く身を構えこちらを見据えている。


次の瞬間だった。


「―――!?」


視界が反転する。


「先に逃げるんだ!!後から追いつくから!!」


オマハに突き飛ばされ、エマの身体は雪の上を転がった。


「オマハさん!!」


振り返った瞬間、視界は再び雪煙に覆われる。


―――そんなの…死亡フラグじゃん……


頭のどこかで、そんな言葉が浮かんだ。


それでもエマは走った。

走りながら、背後を振り返る。


もうオマハの姿は見えない。


代わりに―――

轟音。


空が裂けるような音とともに、雷が地面へ叩きつけられる。


バチバチと空気が焼ける音。

続いて、金属同士が激しくぶつかり合う音。



その音を聞いた瞬間、嫌な記憶が蘇った。


チェンボルン。

大規模な雪崩とともに山から降りてきた、パゴクロークスの群れ。


麓の街、ティナリは―――全滅。


生存者は数十名。

人口数千の街に対して、あまりにも少ない。


ゲームの中の1つのシナリオで、この事故が聖女と皇子が初めて受けるクエスト。

そして、これをきっかけに二人の名は王国内に轟く。



―――この事故では、雪崩の中から見るも無惨に食い殺された二人の死体が見つかっている。


一人は、付き添いの者。

そしてもう一人が―――


―――エマ・フィールド


「……くそっ」


付き添いの者の名前は、作中で語られることはなかった。


……もしや


「オマハさん……?」


まずい。

加勢しなきゃ。


そう思って、引き返そうと後ろを向いた―――その瞬間。


「僕に剣を抜く気かい?」

「……え?」


そこに立っていたのは。


「……オ、オマハさん!?」


雪を踏みしめ、何事もなかったかのように走っている。


「い、生きてるんですか!?」

「うん。意外となんとかなったよ」

「…え?」

「お?」

「20匹は居ましたよね!? S級レベルの群れですよ!? あれを……たった一人で……?」

「うん。意外と弱かった」

「そんな……弱いだけで、なんとかなりますか……?」


言葉を失うエマ。


―――死亡フラグ、回避。


ゾンビ映画で「ここは俺が食い止める!!」って言う人は、

大体そのまま帰ってこないか、

帰ってきても「噛まれちまった……」って言うのが定石なのに。


無傷。


完全勝利。


「……とにかく、急いで街まで行きましょう!!」

「そうだね」


二人は顔を見合わせ、魔法を併用して全速力で下山を開始する。


……パゴクロークスの群れは全滅した。

なら、もう大丈夫―――


そう思いかけた、その時。


「……あれ」


下山ルートの途中。

山肌が窪んでいるところがある。

登山中にもそこを通ったわけだが…

そこだけが、常に淡く不自然に発光している。


「……魔力、ですか……?」

「……どうだろうね」


ルート上、どうしてもそこを通らなければならない。


警戒しながら、二人はその発光地点へと足を踏み入れる。


すると―――


そこには

「彼の理を越え、契約に応えよ。

異界の門よ今ここに開き、我が呼び声に姿を現せ。」


―――詠唱?

何の詠唱呪文だ?

もしや…召喚―――


エマが考えるよりも早くオマハは動いた。

「エマ!!こいつがパゴクロークスの群れの原因だ!!」

そう言うとオマハの剣は召喚士の首に吸い込まれていく


―――が、オマハの剣が召喚士の首に触れるよりも先に

ガキィィン!!


「っおまえぇぇ!!そこを!!どくんだ!!」

「退くわけにはいかねぇんだよぉぉ!!」


そう言うと剣の重みだけでオマハが後ろに吹き飛ばされる。


「どうしてだ!!下のティナリが大変になると分かっていないのか!!」

「知ったこっちゃねぇ!!命令に従うだけなんだよ!!」


そう言うと肩の紋章がちらりと光る


「王家の紋章…?」

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