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 春の陽射しが差し込む朝の教室で、俺――市川蓮いちかわ れんはいつも通り、窓際の席でのんびりと過ごしていた。

「今日、転校生来るらしいよ」

「女子だって。しかも美人らしいぞ」

 そんな会話がクラスのあちこちで囁かれる中、教室のドアが開いた。

 入ってきたのは、黒髪ロングにダボっとしたパーカー、カバンには大量のキーホルダー。白肌に赤いアイシャドウが目元を強調していて、どこからどう見ても“地雷系”だった。

「月宮ルカです。よろしくお願いします」

 無表情でぺこりと一礼した彼女は、担任に促されて俺の隣の空席に座る。

 その瞬間だった。

「ねえ、ちょっと」

 小声で話しかけてきたかと思ったら、彼女は無表情のまま口を開いた。

「あの、私あんたの将来の彼女で、あんたに殺されるんだけど? だから、タイムスリップして、今ここであんたを殺しに来た」

 ……は?

 衝撃的な告白に、思わず俺は吹き出した。

「え、何? 今なんて言った?」

「だから、私、未来の彼女で。で、あんたに殺されるの。だから、先に殺してやろうと思って来た」

 席に座るやいなや殺人予告してくる女って何?

「ちょ、待て待て待て! それっておかしいだろ!? それ本当に俺か?」

「はぁ? ざけんなよ、そのアホ面忘れるかよ」

「で、でもよ……今ここで俺が死んだら、お前自身の存在もなくなるんじゃないか? お前、未来から来たんだろ? だったら、俺を殺したら今のお前の存在、消えるんじゃね?」

「…………あ」

 ルカの顔に、明らかに“しまった”という表情が浮かぶ。

「ま、まぁ、そうかも……しれない……」

 やっぱバカだ、この女。

「ていうか何で俺なんだよ! 未来の彼氏って、他にいなかったのかよ! 地雷の彼氏なんて……最悪だ……」

「ひっど! は、死ねよ。未来でのあなた、結構イケメンだった……ように思う。今のあなたはちょっと地味だけど、伸びしろあるっていうか……殺しがいがあるというか……」

 褒めてんのか殺意高いのかどっちだよ!

 しかも殺しがいって何!?

「はぁ……」

 俺が頭を抱えてため息をつくと、ルカはニコッと微笑んだ。

「というわけで、殺すのはちょっと保留にするね。代わりに今日から、あんたのことずーっと見張るから」

「見張るって……」

「だから、あなたが変な行動取らないように、放課後とかもずっと一緒にいる。家にも行くし、部屋もチェックする」

「いやいや、なんで勝手に同棲前提みたいになってんだよ!!」

「心配だから。私、重い女だから」

 わざわざ自己申告された。地雷属性×重い女=最悪の組み合わせである。


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