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コメディ、その他+α(短編)

コマンドーしたのか、あの祠を

作者: いのりん

語録を繋げたらアクション小説になるって州知事が言ってた(言ってない)

 ドゴォーン!!


 その日、閑静な辺境村に轟音が響いた。

 バサバサ飛び立つ鳥、もうもうと上がる土煙。


 音がしたのは伝説の祠がある辺りだった。何事かと村人達は様子を見に行き……驚きに目を見開いた。


 祠が壊されていたのだ!


 そこにいたのは、先日村に立ち寄ったアーノルドという木こり。容疑者は男性、190cm、髪は茶、筋肉モリモリマッチョマンの変態だ。


 村人たちは彼を問い詰めた。


「アンタ、何でこんなことをしたんだ!?」

「いや、昨日酒場で『壊せるもんなら壊してみな』って村長がいってたから、やってみようかなって」

「本当に壊す奴があるか!」


 村人達は焦りまくっていた。

 なぜなら祠には、80年前に大陸を恐怖のズンドコに叩き落とした大魔族が封印されていると言い伝えられていたのだ。


 案の定、壊された祠から暗黒オーラが吹き出して、伝承にある通りの姿で凶悪な敵が復活してしまった。その怪物の名はーー



『鉄と蒸気を操る堅牢のティファール』



 それは当時討伐に向かった勇者パーティーですら打倒することは叶わず、封印するしかなかった恐怖の象徴だ。




「もうすぐ復活予定だったが、どういった訳か少々早く封印が解かれたな。理由はわからんが、まあいい。とりあえず貴様らを皆殺しだ」


 復活早々に物騒な事をいう大魔族。このままでは村の皆が葬送されてしまう!(かけことば)


 しかし、




「駄目だ」


 一切ものおじせず、魔族の前にずいっとでてきたのは旅人のアーノルド。



「俺が相手をしてやるよ」

「面白い人族だな、気に入った。殺すのは最後にしてやる」

「今度余計な事言うと口を縫い合わすぞ」


 戦いが始まった。





 大魔族ティファールは強かった。

 当然と言えば当然である。


 しかし




 ドゴォーン!!


「ぐあぁぁー!ば、馬鹿な」


 アーノルドはもっと強かった。



 信じられない光景を見ながら、村人達は思い出していた。



 ーー昨日酒場で『壊せるもんなら壊してみな』って村長が言っていたから



 村長はなぜそんな事を言ったのか。


 それは、『あの祠を壊すことなど出来ない』と誰もが思っていたからに他ならない。そう、あの祠はオリハルコン製な上に、聖力と結界魔法と竜闘気と縛道により守られた破壊不能オブジェクトに限りなく近いものであった。


 それを何故壊すことができたのか?


 それは、アーノルドがとんでもなく強かったからという証明に他ならない!


 堅牢のティファール?

 鉄と蒸気を操る魔法?


 もう、パパったら古いんだ


 こちとら散弾銃とロケットランチャーの魔法じゃい!



 そしてとうとう、アーノルドのロケットランチャーがティファールを跡形もなく吹き飛ばした。


「やったか!?」


 歓喜にわく村人、しかし……



「残念だったな、トリックだよ」


 ティファールは生きていた。劣勢の中、逆転の策として力を振り絞り、鉄と蒸気の魔法で本物そっくりの身代わり(カカシ)を作りだしていたのだ。


 そして、一瞬の隙をついて村の幼い子供を人質にとった。汚いな、さすが魔族汚い。


 大魔族の誇りもクソもない行いに、しかしティファールは悪びれない。むしろ「これこそ、魔族の粋!知謀知略を始めたのは人族ですか?冗談じゃない我々です。まあ一時は人族に押されましたがね、本家ですよ!」なんて、口調が変わるくらいに調子こいている。


「子供を離せ」

「まぁ落ち着け。あとはそっちの出方次第だ。子供を助けたかったら、こちらの言う通りにするしかないぞ、OK?」

「OK!」


 ズドーン!


 言いながらハンドガンの魔法をぶっ放すアーノルド。ダメージを受け「んあああああ!」と叫ぶティファール。


 しかし、子供を巻き込まないように選択したハンドガンの魔法では堅牢な鉄の防御を貫き絶命させるには至らなかった。


 逆に、子供を盾に放たれた攻撃がアーノルドの左腕を砕いた。あああぁぁぁ~、絶対絶命!


「最後に殺すと約束したな。あれは嘘だ。」


 勝ち誇るティファール。


 当然だ。ここから逆転するには『人質を開放して』『片腕で硬い防御を突破する』必要がある。


 しかし、用心深いティファールは子供を開放するつもりはない。そしてロケットランチャーの魔法は片腕では使えないのだ!




「どうした?何とか言えよアーノルド。腕はどんな具合だ?」

 

 挑発的な台詞――それを聞いた瞬間、アーノルドの脳裏に秘策が生まれた。




「――さあな。こっちにきて、確かめてみたらどうだ?」


 彼が浮かべたのは、不敵な笑みだった。


「……そいつは遠慮しておく」

「片腕をやられた。お前でも勝てる」

「!?」


 筋肉式☆洗脳術、開始!


「・・・楽に殺しちゃつまらんだろう。その爪と牙を突き立て、俺が苦しみもがいて死んでいく様を見るのが望みだったんだろう。そうじゃないのかティファール」


 説明しよう!

 筋肉洗脳に掛かると、合理的な判断が出来なくなり、人質の子供も魔術も捨てて、格闘戦で決着をつけることしか考えられなくなるのだ!


「怖いのか?来いよ、ティファール!肉弾戦だ、人質なんか捨てて、かかってこい!」

「野郎、ぶっころしてやる!」


 かかった。

 人質を開放し、砲弾のようにアーノルドに向かってくるティファール。


 アーノルドは腰のホルスターからコンバットナイフを取り出し迎え撃つ。しかし、ハンドガンさえ通さない堅牢な守りをどう貫くのか?



 両者が激突する。

 そしてーー





「な――がっ!?」


 驚愕の声を上げるティファール。

 鉄より硬い腹筋に、どういったわけか深々とナイフが突き刺さっていた。



 貫けた理由?

 筋力だよ!



「お、俺を安物のナイフで刺しやがって!」

「地獄に落ちろ、ティファール!!」



 続けざま、アーノルドにゴキッと首の骨を折られ、ティファールは絶命した。決着である。






「ねえ、この人どうしたの?」


 先程人質に取られていた幼児がきいてくる。何が起こっていたか、幼すぎて理解していなかったようだ。


 凄惨な現実を知らせたくないアーノルドは村人から麦わら帽子を借り、ティファールの遺体に被せると言った。


「ツレを起こさないでやってくれ、死ぬほど疲れているんだ。」


 ひゅー、カッコイイ!






 全てが終わり、村を旅立つアーノルド。

 別れを惜しむ村人達。


「良かったらいつでも遊びにきてくれ」

「いえ、もう会う事はないでしょう」


 そういうと彼は巨大な鉄の塊に乗り、次の巨悪を倒しに大空へ飛び立っていった。




 あの巨大な鉄の塊は飛行機?

 いいえ、ここはファンタジー世界。


 翼のついたカヌーよ。

◯魔王を打倒した伝説の四人組

勇者:ヒンムク(人)

僧侶:アイヤー(人)

魔術師:フリーチン(エルフ)

戦士:アイゼン惣右介(死神)


少しでも笑ったら↓⭐︎を5つ入れるか感想を書く、OK?

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どうした?かかってこいよ、ベネット!


※作者は本編を視聴したことがないカカシです

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― 新着の感想 ―
エルフの名前で最後の一突き やられた…!!
サクッと読めて面白かったです いやぁ〜最終章の親指を立てて魔王と共にマグマの中に沈んでいくアーノルドさんは涙無しには見れませんでしたな
──いや待て、いくら支える筋力がハイパー化していても鉄と激突したら、安物のナイフでは剛性が足りずに貫く前に砕け散るのでは…? これもトリック? 幻術か! ──止めておけ、カカシ。その術(はなし)は作…
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