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【第0章】~プロローグ~ ②ラジオ体操

『まあ、現世のころは大変だった様子じゃが、貴殿の記憶を見てみたところ、そこそこ善良に生活をしておるな。』


「そりゃ、悪いことをしている暇じたいが無い人生でしたから。

 あと小心者ですし・・・」


 うむ。


 神様は、うなずくと『お主は、転生や転移ということを知っておるか?』


「そりゃ小説とかで読んでますから知っていますよ。」


 神様は、頭を横にふりながら


『あ~・・・お主の言うのは、あれじゃろ?

 魔物とかモンスターの世界に、そのまま行くか、生まれ変わって、赤ちゃんの状態で行って、そこで冒険していったり生活していったりするみたいなやつじゃろ?』


 うなずくと


『そういうのじゃなく、一般的な方じゃ』


「一般的?」


『そうじゃ一般的な方じゃ。

 お主の世界でいうところの天国などにいって、そこで幸せにくらして、その後、また世界に戻って来るっていう方の。』


「あ~色んな宗教により考え方は違うでしょうけど、そういう風な感じの教えのものもありますね。仏教だっけ?」


『普通、魂はてんごくに行った後に、そこで満足するまで生活をし元の世界や他の世界に転生する場合、ブレンドされおる。』


「ブレンド?」


『そうブレンドじゃ。いろんな魂と、がっちゃんこするってことじゃな。』


 衝撃の事実。「まじで?」と聞き返してしまった。


『そうじゃ。死んだあと、現世なり異世界に行く場合、その魂がブレンドされ、一般的には魂は平等にブレンドされる。

 普通、魂は新しく生み出されて新しい生物に入っていくのじゃが、死んだ後の魂も新しい生物に入っていくことになる。

 新しい生物に入る際に、魂がブレンドされないと、どんどん増え続けることになるからの。

 また、ブレンドされることにより、さらに優れた魂になっていくという特徴もある。』


「たしかに、人間もハーフの方がキレイですもんね~」


 それ違う・・・という表情をしている神様。


『たとえば、お前人生何週目?っていう感じで言われる人間がおるが、当然その人間の努力や資質、環境、運などもあるが、それはうまい具合に色んな魂の経験が融合した結果という部分も大きいじゃろうな~』

 

「あ、なるほど。」


『まあ、前世の記憶も魂がブレンドされた結果の副産物として相互の魂の記憶が反発・・というか混乱して、結局は、お母さんの体内におるときに、だいたい忘れておる。』


「なるほど。だから、行ったことないのに、こういう景色を見たことがあるとかあるんですね。」


『うむ。いろんな学問などで、それぞれの学説でそれっぽく言われておるが、その通りじゃ。


 しかし、たまに魂がブレンドされている状態でも、その中で特定の魂の影響力が強い魂をもったものが生まれることがある。


 たとえば、たまに前世の記憶があるという話しがあるじゃろ。

 それは、その以前の魂の一つの影響が物凄く強く出た結果じゃな。


 他のケースじゃと、性別が違うように感じるのも、生まれた性や環境よりも、逆の性の魂の影響が強く出ている結果じゃの。』


 へ~そうなんだ~。


『その中で、ごく稀にじゃが、現世の行いで良かったものには、天国などへいったあと、魂はブレンドされず、元の魂のまま違う世界などへ行けるというものがある。


 この場合は、天国などで過ごすことによりさらに魂が浄化されるため、元の世界に戻っても影響は少ないんじゃが、万が一も考えて他の世界に行く感じになるんじゃがの。』


 そういう仕組みになっているのね~


『一般的に、お主らの世界にある小説などで描かれている転生・転移の世界は、天国などに行くという過程を省いて、ごく稀に現世での行いが良かったものが適用される感じを表現したものじゃな。』


 なるほど


『だが、更に、極々稀に、天国などに行くという過程がなく、そのままの魂で、元のいた世界なり他の世界へ行くことができる場合がある。』


 それはもしや


「それって、異世界転生ものの小説とかに書かれているものですよね。」


『その通りじゃ。まあ、本当に極々稀じゃな。小説みたいにポンポンと異世界に転生したら、その世界は異世界人だらけになってしまうからの。』 


 たしかに、そうだよな~。


『ちなみに、お主は、異世界のことをどう思っとる?』


 まあ、この流れで否定的なことも言うのもあれだけど、この神様は、自分のことを全知全能とか言っているし、何でも知っているならと、思っていることを率直にいう事にした。


「はい、異世界転生ものの小説は好きですね。空想に浸れますよね。」


『そうじゃろそうじゃろ』


「だから、そういう魔法とかのある世界に行こうっていう感じになると、凄い楽しそう。」


『そうじゃろそうじゃろ』


「ついでにオイラみたいに、ついていない人生だった場合や、未来がなく現状に満足していない場合、その世界なら夢のある未来を切り開けると思えるんじゃないかな。」


『そうじゃろそうじゃろ』


「ただ、あれは物語や小説だから面白いのであって、転生とか転移って現実的に考えてみると、あれってどうみても地獄行きの人間が行くところですよね。」


『そうじゃ・・・え?』


「だから、転生したいかっていう感じの話を言われたら、「だが断る」っていう感じで、断ると思います。むしろ天国でまったりと過ごしたい。」


 神様は、額にタラーっと汗をだし、驚愕な顔をしながら


『な、なぜ、そんなことを・・・』


 何故か動揺をしていらっしゃる・・・


 オイラは┐(´д`)┌ヤレヤレという表情をしながら


「そりゃそうでしょ。最近令和になり、このホワイトになってきた世の中で、転生した先は、どう見てもブラックな社会。

 だいたいのケースで、風呂に入ることさえままならない中世が舞台でしょ?オイラは風呂に入るの好きですし。

 

 さらに、いくらスキルとか魔法とか持っていても、魔物とかモンスターに急襲されたら一巻の終わり。

 こういうサバイバルな中に放り込まれたらどうなるか知ってます?

 猫を例にとってみます。」


『猫じゃと?』


「そう猫です。猫の場合、何の天敵もいない大切にされている家猫の場合、寿命は15歳前後って言われていまして、住む世界が天敵だらけの野良猫の場合、寿命は4歳くらいと、家猫の、3分の1から4分の1になるんですよ。」


 神様は、更に汗が出てきた模様だ。


「また、運よく魔物とかモンスターとかにやられなくても、現地にいる人は、こっちの人と同じ常識は無い人間が中心でしょうから、食うか食われるかの世界で、心が落ち着くことは多分ないでしょう。


 あと、魔物とかモンスターを狩りながら生活するって虫を見るだけで嫌悪感を抱く人間が沢山いるこの現代社会を生きる日本人にどんだけ拷問なんですか・・・。

 

 仮にモンスターやら動物を倒した場合でも、そこから解体するんでしょ?

 魚を切り身でしか知らないような人間がいるこの現代日本、異世界は、どうみてもハズレ社会でしょ。

 

 ついでに、食べ物もせいぜい塩くらいしか調味料がないだろうから、まずいだろうし。


 いくら現世の魂を持ったまま転生したところで、令和を生きている人間からすると、そんな文明のない世界にいったところで、罰ゲームにしかならないですよね・・・」


 神様は、汗が出きったのか焦った表情をしている。


 というか今さらだが、神様って汗かくんだな。


『な、なぜ中世のような世界が舞台がダメだと・・・普通、現世で苦労している人間で、異世界転生ものの小説が好きな場合、魂がそのまま転移する特典のことを言って新しい世界に転生するっていったら、大半は、騙さ・・・いや、説明すると皆、こぞって行きたがるぞい。


 冒険と剣と魔法、モンスター討伐、狩りで成り上がっていく夢のような社会!こんな世界で冒険したいと』


 オイラは、間髪いれず答える


「今、騙さ・・・っていいましたよね。騙さって言いましたよね。」


 大事なことなので2度言いました。

 

 それはそれとして・・・


「当たり前じゃないですか。


 以前、中世のようなイメージのあるヨーロッパのとある国に、海外旅行にいってみたら、そこらへんから異臭はするわ、そこらへんにゴミは落ちているわ、犬のふ〇は落ちているわ、歩いていただけでジャッ〇って人種差別されるわ、現代社会の日本で生きていたら、ろくでもないもんでしたよ。


 だから人種差別とかの概念やら法律はそっちからきているんですよ。

 そんな社会に好き好んで逝きたいって、どんな酔狂な人間ですか・・・。」


 神様は、そっか~ヨーロッパの悪いところ見ちゃったか~と、頭を押さえているが、あわててフォローを入れる。


『そ、そんなことはないぞい!中世のヨーロッパもいいところも沢山ある。

 例えばじゃ・・・中世のヨーロッパのような街並みがある!』


 神様は、ドヤ顔をしている。。。


・・・


 全知全能の神よ、どこへ旅立って行った・・・


 少したってから、オイラも突っ込まないと可哀想だな~と思い、何故だか似非関西弁で突っ込みをいれた。。。


「そりゃ中世のヨーロッパだから当たり前やん・・・」


『ま、まあ、気にするな。これはクジ・・・いや、貴殿の運命で決まったことだしな。そんなことを気にしていると禿げるぞい。』


 と、神は髪のない頭をペシと叩きながら答えると


『ということで、君は、転移するぞい。ええな~』


 神様は焦っている様子だが、オイラは聞き逃さなかった


「いまクジって・・・『ほほいのほい!そら転移!れっつみゅーじっく!』」

 

 大事なことなので2度言う前に、それより大事な「転移」って言われてしまいました。

 そんなことより、れっつみゅーじっく?

 夏休みの朝、流れてくる曲が流れだし、神様はラジオ体操を踊りだした。

 さらに歌い出した。

 唖然としているオイラ。

 しかも爽やかなラジオ体操なのに、暑苦しい大阪弁バージョンや・・・


 そして「明日も・・・」と最後の声のところで、はっ我に返りヤバイ転移させられると直感したオイラ。


 異世界転生ものの小説読みまくっているオイラは感が冴えてしまっている。


 ラジオ体操しているところで辞めさせればいいだろう、という突っ込みがあるかもしれんが、ラジオ体操の大阪弁バージョンを歌いながら、頭に輪っかを載せている、つるっ禿げの爺さんがキレッキレに踊っていると想像してみてくれ。


 面白さしかないぞ?


 とはいっても時間の短さはどうしようもなく、あわてて


「普通に天国に行きたい!」

 

 いや、妥協に妥協を重ねて転生するならするで


「色々とスキルやら魔法やら何かくれ!」

 

 もっと大事な、むしろ一番重要な


「できれば、キレイなお姉ちゃんとのハーレムを作ってくれ!」


 などと願っていると、急に目の前が真っ暗になり。。。


 最後に神様が何故かウインクをしているところが見えた気がした・・・



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