【第二章】~禁止エリア編~ ⑥大きくなったり、小さくなったり~美少女登場~
「焼き鳥」の説明後、受けていたレイコ~さん。
『やだ~共食いじゃないwww』
はい、仰る通りです。
ということで、鳩語?で少々不安だったが「チェンジ!」と言うと人間に戻ることが出来た。
『あら、鳩の姿も可愛かったのに・・・』
少し残念そうなレイコ~さん。
しかしどうしたもんか。
前回の異世界よりハードモードな世界に来てしまった気がする。
食べれるかしらんけど、森の奥の方の木に実もなっているし、おそらく食べ物はあるんだろうけど、それ以上に、生きていくのが大変な感じだ。
前の異世界とは、ホントに別世界。まあ、別の世界だから当然だけど・・・
無いものねだりとはわかるが、前までいた世界との落差が凄い。
「レイコ~さん、これからどうするか一緒に考えましょうよ~」
『どうするかって言っても、もう別の世界に来てしまったし、慣れていくしかないわよ。そんなに焦ってもしょうがないでしょ~。』
そりゃ~レイコ~さんは、物体じゃないから火が飛んできても大丈夫だと思いますけど、オイラはそういうのが一発でも当たったら即焼き鳥だから、焦りますって。
普通の異世界転生ものなら、ここら辺から歩いていると、何かのんびりした村にたどり着いたり、美人、美少女、美獣人、美メイドなどと出会って、そこから物語が進むんだろうけど、リアルな世界はそんなに都合は良くないもんだろうし。。。
~~~数時間後~~~
『「うま~い!」』
食べ物を頬張っている美少女とオイラがいた。
森の中に入り魔獣とか出ると怖いので、何かないかな~としばらく森と平地の堺を歩きまわったら当然減るものは減って来るわけで、グ~とおなかが鳴った。
前の世界なら、ここでおなかに何か入ってくるのだが、今はそんなことはなく、おなかは空いたまま。
やはり別の世界に来ると食べ物を食べることは必要だよな~。
これは本格的に何か食べないと、この世界ですぐにつんでしまう。
食べ物は手元にないのであたりをみまわしてみるけど、当然食べ物のようなものはない。
さっきのレイコ~さんが丁重に焼いた、焼き猿を食べるのもいいけど、現代社会に生きていたオイラ、出来れば、それは最終手段にしたい。
そういや、さっき木の実みたいなのあったな。
森の奥の方を見てみると何やらリンゴのような木の実がなっている。
これは食うしかないべっ!てことで、まさにリンゴって感じの果物を口に入れてみた。
「これは、まさにとれたて果実の味。みずみずしく、若干の酸味と甘みのハーモニー!これらが絶妙に味のコントラストを奏でている!フルーツのオーケストラや~」
どっかのレポーターみたいな感想を述べてみる。
要するに、まんまリンゴだ。
リンゴをむしゃむしゃ食べていると
『美味しそうね~』
レイコ~さんがうらやましそうに言ってきた。
「そりゃ前の世界では食べ物なかったし、久々の食べ物ですからね~!・・・って、レイコ~さんは、食べ物が美味しいとか、そういう感覚あるんですか?」
『そりゃ、幽霊になる前は食べ物を食べて生活していたし~。』
えっ、あの世界でそれっていつの時代の話しだ?
ほんと、レイコ~さんはいったい何さ・・・
『みやび君?顔に出ているわよ?』
見えないけど、たぶん怖い笑顔のレイコ~さんがいる姿が見えた気がした・・・
「あ、す、すみません。」
ただ、こういう状況になると自分一人で食べ物を食べるのも気がひけるな~。
そういや神様があんなこと言ってったっけ?
試してみるか。
「とぅ!」
そうポーズをとると、目の前に美女が現れた。ただの美女ではない。巨大な美女だ。
『「え!」』
レイコ~さんは驚いた声を上げる。
オイラはそういや神様が、他のものの姿を変えることが出来るみたいなことを言っていたことを思い出し、試しに目の前の幽霊さんを元の姿に戻して~って考えながらポーズをしてみた。
そうすると、目の前の幽霊さんの姿が変化していき、お、成功したって思ったんだけど、まさかまさかの巨人族が出てくるとは思わず、思わず声をあげてしまった。
巨大な美女はしばらく、マジマジと自分の身体を見て、涙がツツ~って流れている。
『ずっと幽霊のままかと思っていた・・・みやび君、ありがとう!』
涙を流している巨大美女を見て、しばらく何も言えないでいたけど、少し落ち着いてから
「いや~1人で食べ物を食べるのもアレなんで、一緒に食べようと・・・」
と言うと、オイラは、巨大な美女に抱きかかえられた。
美女からの抱擁!
異世界は、これだよな!
・・・が、これ、やば・・・身体がポキポキ鳴ってる・・・
「うげ!しまるしまる、身体が折れるって、レイコ~さん!」
異世界は、これだよな・・・
『あら、ごめんなさい。嬉しくってつい・・・テヘっ』
推定年齢、数千歳?の美女にテヘっとされた。
『でも、この姿も少し不便ね・・・』
そういうと、レイコ~さんの身体がみるみる小さくなっていき・・・
美少女がそこにいた。
推定年齢、数千歳?の美少女だ。
胸にカラフルなゲジゲジマークの服を着た美少女。
幽霊から変化した時に裸になることはなく、すでに何故だか異世界の服を着てたけど、今度は服のサイズも自動的に変化している。
無駄にユーザビリティの優れた世界だな~。
まあ、異世界だし、そういうもんだんだろう~と思うことにして、これでこの美少女にゲジゲジマークの服じゃなく日本の着物でも着させれば、恐らく、人類史上、もっとも千歳飴が似合う数千歳の美少女だろうな。
それはともかく
「レイコ~さん、身体は小さくなれるんですか?」
『そうじゃよ。身体が大きいと何かと不便なことがあるからの~。そういう時は人間サイズに小さくなるのじゃ。』
人間サイズか。。。そういや幽霊の時は人間サイズだったような気がする。
にしても、実体化したら小さくなりすぎじゃないかい?
美少女の方が数千歳年上だろうけど、現代社会で2人でいると親子でもない限り確実に犯罪者・・・
それはともかく、レイコ~さんに、さっき取ったリンゴをあげてみた。
それを手に取って、恐る恐るリングに口をつける少女。
リンゴを一口だべると、ハムハムと一生懸命食べだして、涙を流しながら食べている。
『美味し~!』
数千歳年上の熟女?でも、保護欲がわいてくる光景だな~。
オイラもリンゴを食べる
『「美味し~!!!」』
これだよ、これ。こっちにないものは!
美味しいものを一緒に食べながら、その感動を共有する。
これぞまさに食文化。
リンゴを2人で頬張りながら
「そういや前の世界って食べ物が自動的に腹に入って来る感じですけど、幽霊って物理的にできないっすよね。幽霊の時って、食べ物はどうしていたんですか?」
『幽霊の場合、食べ物は特に不要じゃよ。ジメジメしているところにいると、パワーが戻って来る感じだからの。』
だから、禁止エリアの奥の方とか、トンネルとか暗くてジメジメしているところに幽霊はいるのか~。
「今の姿だと、ジメジメしたところだと、逆にパワーが減りそうですよね」
『そうじゃの~。食べ物が食べれると、ジメジメしたところにいても気がめいりそうじゃの~。今後は食べ物を食べるってことになるのかの~。』
これから食糧不足になったらレイコ~さんには、幽霊の姿に戻ってもらおう。
あ、オイラも幽霊になれば、腹は減らないのか。
でも、レイコ~さんが実体化したら何か変わってきたような・・・
「レイコ~さん、なんか実体化したら、口調がかわっていませんか?」
『そんなことないぞよ。』
・・・やっぱり変わっている気がする。
「それで、これからどうしましょう?いつまでも、ここら辺にいるわけにもいきませんし・・・」
『え?みやび君も幽霊になれるんだし、そりゃ、行くしかないのじゃ!』
「え?いくって?どこへ?」
~~~丑三つ時~~~
「レイコ~さん、ついてきていますか?」
小声でしゃべるオイラ。
『ついてきているわよ~。みやび君は、気配で分かるから、はぐれたりしないわよ~。』
レイコ~さんも小声でしゃべっている。
口調もいつものレイコ~さんに戻ってきている。
レイコ~さんが、ここにずっといてもしょうがないし、人がいる場所は、合戦をやっているところにしか無いんだから、行った方がいいということを言いだしたので、2人とも幽霊の姿になって、現在、先ほどまで合戦をしていた片方の陣地に潜入している。
聞いた時はたしかにそうだな~と思ったけど、よくよく考えると命を取るか取られるかの現場。
幽霊の姿になったとはいえ、オイラはビクビクしながら片方の陣地に入った。
レイコ~さんは、鼻歌を歌いながらついてきている・・・感じがする。
さすが幽霊歴数千年の大ベテランだけあって、度胸がすわっている。
『みやび君、顔に出ているわよ~』
この人は、見えないのにわかるのか・・・
「す、すみません。」
周囲を改めて見回してみると、かがり火をたいていて、まさに戦国時代という様相だ。
ただ、見張りの人間もいて、暗がりで顔は見えないけど、うつらうつらしているし、割とゆるい感じだ。
陣地の中をうろうろしていると、奥の方に大きなテントがあり、入口を見張っている人間がいる。
見えないけど、レイコ~と顔をあわせてうなずく。
恐らくここに大将がいるんだろうと。
幽霊になっているだけにバレようがないんだか、バレないようにそ~とテントの布を通り抜け、中に入ってみた。
テントの中は、色々な書類と飲み物が置いてある机とイスがあるくらいで、いたってシンプルな作りだ。
あと、あるのは布団。
そこに大将と思しき人間が背をこちらに向けて寝ている。
枕元には、刀が置いてある。
とにかく話しかけないと、ここに来た意味がないよな~オイラは意を決して「すみません」と声をかけてみた。
大将が「誰やつ!」と叫び刀をとり振り返ってきた。
大将の姿を見て息をのんだ。